日本CAは、プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント(Project Portfolio Management:PPM)ソリューションの最新版「CA Clarity Project & Portfolio Manager v12 (CA Clarity PPM v12)」を発表した。企業や組織での、ITガバナンスの強化、プロジェクト群の成功率の向上、新規事業・新製品の開発などを支援する役割を担う。

PPMは、企業が事業活動を効率的に推進する上で、経営資源の配分を最適化するため、製品やプロジェクトなどをどう組み合わせればよいかを決定するための経営分析や管理の手法で、欧米では市場が拡大しており、今後、日本でも期待できる分野として、同社では積極展開していく方針だ。

ポートフォリオの画面(案件を球で表現し、縦軸は戦略整合性、横軸は終了日。上にあるほど戦略的で、リスクが高い順に、赤、黄、緑で表される)

"CA Clarity PPM v12"は、要件のプランニング、追跡、可視化に重点を置いている。要件プランニング機能をPPMソリューションに統合することで、顧客から寄せられる要件を受け入れ、それらを実行可能なITの成果物や製品ロードマップとして具体化し、要件の優先度、プロジェクトの進捗状況はダッシュボードなどでわかりやすく表示され、プロジェクトのライフサイクル全般にわたって要件を追跡することができる。これは、戦略的なプランニングをプロジェクトの実行につなげることが目的となる。

同社によれば、表計算ソフトや相互接続されていないシステムを利用して、要件追跡の作業をすると、要員間のコミュニケーションが不足しがちになり、プロジェクト状況の的確な把握や、期待される要件を実現することが難しくなり、プロジェクトの失敗につながることが多かったという。要件プランニング機能の実現は、このような状況に陥ることを防ぐのが狙いだ。

「Microsoft SharePoint」との連携強化も今回の製品の大きな特徴の1つだ。関係者間のコラボレーションの効率化ツールとして広く使われている「SharePoint」と直接統合することにより、プロジェクト・マネージャ、IT部門の管理者層などが、円滑にコラボレーションでき、プロジェクトの適用範囲、プラン、ドキュメント、行動計画についての最新情報を共有し、連携して作業することが可能になるという。

日本CA PPMソリューション営業部長 川崎晃司氏

同社 PPMソリューション営業部長 川崎晃司氏は「経営目標の変動や、突発的な事由により、優先順位が変わることがある。PPMは、それらに柔軟、迅速に対応でき、経営目標とプロジェクトが整合性をとれるようにするソリューションだ」と話す。

また、"CA Clarity PPM v12"は、IT部門だけでなく、製造業の新製品開発や、コンプライアンスへの対応などの領域でも、PPMソリューションの採用を支援するモジュールを提供している。新製品開発の管理を支援するオプションである「CA Clarity PPM for NPD」は、開発工程の製品ポートフォリオ管理機能をもち、製品革新の加速、リソースの最適化などを支援する。

日本CA PPMソリューション営業部 営業グループ 担当部長 河野昌利氏

同社 PPMソリューション営業部 営業グループ 担当部長 河野昌利氏は「プロジェクトが失敗する要因は、計画と実行の間に溝が存在することにあった。要件定義が適切でない、あるいは曖昧であったり、要求が十分に満たされていなかった」と指摘、"CA Clarity PPM v12"は、そのような「溝」を埋めることができるソリューションであると強調した。

PPMは「欧米では、1つのセグメントとして確立し、認知されており、全世界でおよそ3,000億円の市場規模がある」(川崎氏)との状況で、調査会社IDCによれば、2006年から2007年にかけての成長率は10,8%で、同社は、2008-2012年の年平均成長率を8,6%と予想している。一方で、2007年のPPM世界市場を地域別にみると、米国が全体の53%を占めており、アジア・太平洋地域は7%に過ぎないが、逆にいえば、今後大きく伸びる潜在力を秘めているともいえる。

同社は、このような状況をにらみ、日本市場でのPPMの成長に大きく期待しており、積極展開していく方針を打ち出している。この12月1日付で、専任部隊である「PPMソリューション営業部」を新設、大型汎用機関連製品、システム管理などの既存顧客には、直接販売部門が提案するとともに、新規顧客の開拓では、パートナーやコンサルティング会社と協業し、セミナーなどを通じ、PPMの実効性、優位性を訴求、間接販売部門がパートナーと歩調を合わせた展開をするほか、パートナーの提案を支援する。川崎氏は「日本ではまだ黎明期だが、自信をもって展開していきたい」と述べ、製品に継続的に積極投資していく意向を示している。