--柔軟さが武器とのことですが、どこが他社と比べ柔軟なのでしょう。

まず、設立の経緯でも話しましたが、ソフト、ハードの自社開発に加え、ASICも自社で設計しています。このASICは、RAIDの計算処理を行うためのもので、これとハードウェア、ソフトウェアを組み合わせることで、パフォーマンスの向上を図ることができます。また、ブラックボックスが無くなるため、信頼性の向上も見込めるほか、カスタマイズが比較的楽になるという特徴があります。

さらに、全世界で500名程度の会社ですが、その内40%程度がエンジニアで占められており、こうしたエンジニアが個々の案件に応じた対応を取ることが可能です。こうした意味で、他社に比べ柔軟性が高いと思っています。

--日本での導入実績は。

大きなところでは、医療分野で東芝メディカルシステムズ、メディア分野でソニー、HPC分野で東京大学などに納入しています。東芝メディカルシステムズでは、X線CT装置「Aquilion ONE」の4次元データをビット落ちならびに欠損せずに記録するシステムとして採用されました。

また、東大では、素粒子物理国際研究センターが参加している国際プロジェクト「アトラス実験」の計算機システムの大容量ストレージとして合計物理容量1.1PBがシステムとして導入されています。

これらの導入は、カスタマからの要求を正しく吸い上げ、それを間違えることなく、それに応じたシステムを構築できたから可能になったものと思っています。"よりよりサービスを提供する"と言うのは簡単ですが、カスタマのニーズを真に理解し、正しく製品に反映させ提供するのは簡単なことではありません。

特に日本市場で狙っている医療やHPCなどの市場は、それぞれに応じたニーズが存在しており、個々の事情に合わせた柔軟さが必要となります。当社では、そうしたニーズのデータベース化を図ることで、知の蓄積を行い、情報分析を進めるシステムを構築し活用をしています。

--では最後になりますが、今後の日本市場に向けた取り組みと、市場の動きへの対応についてお聞かせください。

まず、日本市場に対する取り組みですが、現時点(2008年10月)でインフォトレンドジャパンは現地法人化されていませんので、3年をめどに現地法人化を果たしたいと思っています。

また、5年後には、Infortrendの売り上げ全体の25%を日本市場で占められるようにしたいと思っています。

市場の動きへの対応としては、これまでInfortrendが強みとしてやってきた信頼性やASIC設計、新インタフェースの採用などについては、他社も行ってきており差別化が難しくなってきています。そのため、今後はデータサービスを中心に、異なるインタフェースへの対応のみではなく、異なるアプリケーションへの対応を進めていく計画です。

この対応は大きく2つあり、1つは継続的にストリーミングが行われるCSAや一定の読み書き速度が求められるContinuous Streamingなどへの対応。もう1つは、アプリケーションのソフトウェアそのものを開発していくことです。

世界的に、データ量は増え続けています。そういった意味では、ストレージは今後も成長していく分野であり、将来に悲観はしていません。日本でも同様にデータ量の増大は続いていくことから、日本企業、外資系企業含めて競合とは良い競争をし、成長を続けていければと思っています。