富士通は24日、グローバル企業向けに提供していたアウトソーシングサービスのメニューを5つのカテゴリに体系化し、新たに「グローバル・インフラストラクチャー・サービス」として、本年下期より順次ワールドワイドに提供開始すると発表した。

5つのカテゴリに再構築されたアウトソーシングサービス

富士通では従来、ITインフラをライフサイクルでサポートするグローバル企業向けのアウトソーシングサービスについて、グループ会社ごとに展開を行っていた。今回の「グローバル・インフラストラクチャー・サービス」は、海外の各拠点で既に提供されている「データセンターサービス」や「デスクトップマネージドサービス」などのアウトソーシングサービスを5つのカテゴリに整理・再構築したものだ。

さらに、各ビジネス拠点においてIT部門の総合窓口となる「グローバルサービスマネージャー」が統制やサービスレベル管理を継続的に行うことで、最適なITインフラ環境を実現する改善提案も実施。これらの取り組みにより、ユーザー企業は国ごとに異なるITインフラやITベンダーの管理などから解放され、グローバルに均質化・最適化されたITインフラの利用が可能になるという。

グローバル・インフラストラクチャー・サービスで用意されているカテゴリは「データセンターサービス」「デスクトップマネージドサービス」「サーバマネージドサービス」「ネットワークサービス」「サービスデスクサービス」の5種類。

まず、データセンターサービスは、高度なセキュリティと堅牢なファシリティを備えた同社データセンターでユーザー企業のシステム運用をトータルサポートするサービスだ。ホスティングやハウジングサービス、システムオペレーションも含まれており、メインフレーム系基幹システムからオープン系業務システムまで、ニーズに応じた運用を実施する。

デスクトップマネージドサービスは、PC資産の運用・管理業務についてサポートを実施。システム展開からPCの調達や増移設、PC資産管理、ソフト配布運用、PCトラブル、セキュリティ管理まで幅広い対応でエンドユーザーの満足度向上に貢献する。

サーバマネージドサービスは、サーバシステムの運用・管理業務をサポート。同社グループの運用要員がデータセンターまたはユーザー企業のビジネス拠点でサーバ運用を行い、障害時の迅速なシステムの復旧や適切な運用管理を実現する。

ネットワークサービスは、WANおよびLAN環境の運用・管理業務をサポート。ネットワークに関して監視・性能管理、トラブル対応・セキュリティ管理、構成管理、増移設対応などを実施する。

サービスデスクサービスは、総合的なエンドユーザーサポートを多言語で提供するもの。エンドユーザーからの問い合わせを一元的に受け付け、インシデントの分析・改善活動を継続的に実施、エンドユーザーの利便性と満足度向上に貢献する。サービスデスクサービスは上記4サービスに共通で提供されるほか、このサービスのみでも提供が可能となっている。

運用基盤の強化などを積極的に推進

今後のビジネス展開としては、「グローバル・インフラストラクチャー・サービス」の提供に向けてグループ各社が得たインフラストラクチャーサービスのナレッジとノウハウを結集、「サービス運用基盤の強化」「サービス品質の標準化」「高度な人材育成」への取り組みを積極的に推進していくという。

具体的な取り組みは、まず海外拠点のサービス基盤強化として2008年にタイ、韓国、ロンドン近郊などへデータセンターを新規開設。今後もシンガポールやオーストラリアにデータセンターの追加開設を予定しており、今年度中に全世界で計85カ所のデータセンターおよび47カ所のサービスデスク拠点を配置するという。

サービス品質の標準化に関しては、特に業務システム開発などユーザー固有の要件が多く見られる領域でニーズに応じたきめ細かい対応を実施。その基盤となるインフラストラクチャーサービスについてコスト、信頼性、性能、運用、管理などの各要件を考慮しながら、ワールドワイドにサービス基盤とサービス手法の標準化を推進していく予定だ。

また、今回のグローバル・インフラストラクチャー・サービスで採用されている5つのカテゴリにおいても、ITILのベストプラクティスに基づきサービスレベルの標準化、サービスデリバリーのプロセスやフローの体系化を行うなど、グループ内の標準モデルとして整備・適用を順次進めていく。

さらに、データセンターサービスではTIAおよびTUIの定めるTier基準をベースに、独自の観点で電源設備の冗長性やセキュリティ機能などについて拡充した80項目を超えるデータセンター基準を定め、世界中のデータセンターに適用を推進しているという。

高度な人材育成に向けた取り組みとしてはグループ各社と共同で教育プログラム「グローバルサービスマネージャー養成プログラム」を開発。サービスマネージャーや運用要員の品質維持・向上を目的に、サービス要員相互によるナレッジ共有推進の仕組み作りなど、高度なスキルをもつ技術者の育成に取り組んでいくという。