今回は20周年であるので、Nick Tredennick氏がオーガナイザとなり、"Ready, Aim, Fire ? 20 Years of Hits and Misses at HOT CHIPS"と題するパネルディスカッションが行われた。

パネリストは、業界ジャーナリストのNathan Brookwood氏、MIPSの技術担当の副社長で技術関係を主導していたJohn Mashey氏、そして、UCBの教授でBerkeley RISCやRAIDの発明者、更にヘネパタ本の一方の著者として有名なDavid Patterson教授、Transmetaを創立したDave Ditzel氏、FairchildからIntergraphでClipperプロセサを開発し、後に、IntergraphがIntelから約$700Mをせしめることになる特許の発明者のHaward Sacks氏、そして、Microprocessor Reportの創立者のMichael Slater氏である。ちょっと、この業界に長い人なら、知らない人はいないというくらいの有名人である。但し、この20年を振り返るのであるから、当然ながら若い人はおらず、まあ、業界の長老である。

オーガナイザーのTredennick氏はその優れたユーモアのセンスで有名で、ひっくり返った露天掘りの鉱山で使用される大型ダンプカーの前に6人の男が立った写真を使ったオープニングスライドでパネルを開始し、悪名高いパネリストと6人を紹介した。

Nick Tredennick氏のオープニングスライド(左)と6人のパネリスト(右)。パネリストは左から、Howard Sachs氏、Dave Ditzel氏、Michael Slater氏、Nathan Brookwood氏、John Mashey氏、David Patterson教授

最初にMichael Slater氏が立ち、この20年のHOT CHIPSでベストのパネルディスカッションや正しかった見通しや間違った見通しなどを振り返り、この20年間に学んだこととして、次のスライドを掲げた。

パネルでのMichael Slater氏の20年間に学んだことのスライド

状況に関しては、テクノロジは第一級の進歩をしており、エンジニアリングは素晴らしい、しかし、コンピュータエンジニアリングは流行に左右されてきており、我々はランダム性に翻弄されてきたと総括し、その結果、進歩はポジティブではあるがごく僅かで、マネジメント層は役にたっているかどうか分からない、そして失敗は決して無くならない。このようになった原因として、コンピュータアーキテクチャは科学ではない、ムーアの法則(による急激な性能改善)が結果をゆがめている、そしてElvis and Nerdの問題をあげた。"Elvis and Nerd"はNick Tredennick氏を指す言葉で、彼の毒舌を皮肉ったものである。

その後、Slater氏が主催していたMicroprocessor Forumの終焉について触れ、背景としてはマイクロプロセサの開発メーカーが集約されるという状況があるが、Microprocessor ReportでNick Tredennick氏がIntelの初代ItaniumであるMercedの遅延を良くあることと書いてから、Intelとの関係が冷却し、IntelがMicroprocessor Forumでの発表を取りやめるというような状況が起こり、終焉を早めたとIntelを非難した。