StraVisionの根幹 - PCI指標とテキストマイニング

StraVisionでもっとも特徴的であり、SBIインテクストラの技術力の根幹にあるのがSBIインテクストラ独自の特許評価指標「PCI (Patent Competency Index)」だ。従来の評価方法であれば、たとえば企業がどれだけの特許数を出しているかで評価するが、これは適切ではない。出願するだけで製品技術に利用されない特許もあれば、他社の製品開発に必要不可欠となる技術的に重要な特許もある。数を評価するだけでは特許の重要度を評価したことにはならない。

特許は出願してから最終的に登録(権利化)、消滅するまでに、特許性の判断や、他社事業の妨げになる特許が権利成立を阻止されたりするなど、さまざまなアクションが第三者によって起こされることがある。PCIではこういった第三者からのアクションを表すデータや、被引用数、早期審査の有無、請求項の文字数などを使って特許1件のPCIすなわち質(重要度)を計算する。ここで重要なのは、SBIインテクストラが恣意的に数値を算出するのではなく、特許データから客観的にPCI値を算出している点にある。顧客の分析目的にあったウェイトへカスタマイズもできるようになっており、取得できるデータからそのニーズに適した指標を算出できる点に特徴がある。

もうひとつ注目すべきは、テキストマイニング技術を用いた項目の自動分類機能だ。マトリクスを作成して評価するには、評価すべき項目を抽出する必要がある。これまでは手動で項目を洗い出しマトリクスを作成していたが、最新のStraVisionではテキストマイニング技術を活用することで自動的に項目を分類して洗い出すことができる。

StraVisionの分類機能を用い、ある企業のポートフォリオを「技術」と「課題」に分類した例。左の図の縦軸は出願件数、右の図のそれは「外部からの注目度」「自社の注力度」を総合的に評価した「PCI」総和を示している。左の図からは、出願件数が多く、かつ、重要な技術課題が、右の図からは、注目度/注力度が高い技術課題がひと目でわかるようになっている。このUIはMicroStrategyのBI採用によって実現し、より深い分析が可能になったという

最新StraVisionではMicroStrategyのBI技術を採用

最新のStraVisionソリューション(StraVision BI)ではMicroStrategyのBI技術を採用している。StraVisionはASPでサービスを提供するという前提があり、その用途において各ベンダに相談した結果、マイクロストラテジー・ジャパンが最も柔軟に要求に応えてくれたという。もちろん機能の豊富さもあるが、柔軟な対応が採用の決め手だ。

マイクロストラテジー・ジャパンとしても、こうした知財管理の用途で同社のプロダクトが活用されるのは、米MicroStrategyでの事例も含め、めずらしいケースだとしている。マイクロストラテジー・ジャパンはStraVisionソリューションの開発支援も実施しているが、UI(ユーザインタフェース)を相当カスタマイズしており、同ソリューションからは「MicroStrategy製品」らしさは一見、消えているかのように思える。こういった顧客の要望に応じられるところに同社の強みがある。

BIを活用した新StraVisionソリューションでは分析の多彩さが大幅に向上し、よりさまざまな切り口からの分析が可能になった。検索機能、データベースも拡張された。顧客から要求されたさまざまなリクエストに応える - それが今回のソリューション強化のきっかけだ。将来的には、BIによって統合/分析できるデータの拡張性が広がり、それによって多角的な分析情報を意思決定に活用できるという付加価値を顧客へ提供できる可能性があると判断し、今回、MicroStrategyのBIを採用した。

「特許の情報は、知財部のみならず研究部や事業部、マーケティング部でも活用してほしい」と辻口氏。財務システムや情報システムと同じように、知財システムも企業の基幹部分として認識する時代になったといえそうだ。