ワイズスタッフが行ったアンケートに寄せられた声からもわかるように、テレワークによる働き方が定着すると、今度は時間単位ではなく、裁量労働による労働評価が求められるようになってくる。「今までの時間による労働評価だと、効率よく仕事をした人は労働時間が短くなり、必然的に損をすることになる。裁量労働を適切に評価する方法が必要」と提言する田澤氏。そこで、ワイズスタッフでは、現在、業務単位での報酬評価システムを開発中とのことだ。
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3人のお子さんの母親でもある田澤氏。「子育てしながら働くのは確かに大変だけど、産んでよかったと本当に思います」 |
テレワークによる女性労働者の活用を訴える田澤氏だが、「テレワークはあくまで選択肢のひとつ。お勤めできない人が働くための解決手段であって、選択は人それぞれに違う。しかし、選択肢は公平にあるべきだ」と、一貫して主張する。しかし、世間に先駆け、テレワーク企業の一人者として「テレワークは誰にでもできるものではない」とも語っている。「家庭と同じ場所で仕事をするテレワークは公私の切り分けが難しい。部屋を分けるとか、家で仕事をしていても子どもは保育園に預けるとか切り分け方は本人しだいだが、ある程度意識の高い人でないとできない。企業内で講座を設けて合格した人だけがテレワークをできるなど、企業の側もある程度敷居を設けることが必要」と、企業がテレワークを導入する際の教育プログラムの必要性を説く。
また、代替要員が豊富な大企業に比べ、人材の少ない中小企業ではテレワークが会社に与える影響は小さくない。しかし、この点について田澤氏は次のように説明する。「たしかにテレワークは組織としての体力がないと難しい。大企業のように福利厚生的な意味合いでテレワークを実施するとなると体力がないと絶対に無理。でもそこは発想の転換。つまり、人がひとり辞めることのマイナスと、テレワークで有能な人材を確保できることのプラスを考えたら、テレワークは絶対的に有利」。さらに、テレワークへの取り組みの進め方について「まずは社内業務のIT化から実践し、段階的に導入していけばいい。いきなり100%やろうとしないこと。テレワークの導入のしやすさは業種ではなく、IT化の進み具合だ」と助言した。
ちなみに、現在も継続して行われている、ワイズスタッフによるアンケート。現時点では寄せられた回答は800を超えている。田澤氏は「女性に関するアンケートはほかにも多くあるが、どれも数の集計であって、声としてまとめたものが少ない。今回のアンケートを"1,000人の声"としてまとめれば署名以上のものにはなると思う。政府の委員会でも女性の労働環境について一生懸命議論をしてくれているけれど、なかなか改善策が見出せないのは視点が違うから。今回のアンケートを実施してみて、実際、女性の側も声を出していないことがわかった」と語り、今後は1,000人の回答を集めた段階でまとめたものを政府の要人に提出したいという意向が明かされた。