米オラクルが米BEAシステムズを買収したことにともない、日本オラクルは、日本BEAシステムズの従来製品群とオラクル製品の統合についての基本方針を示した。「WebLogic Server」「Tuxedo」といったBEAの製品は、「Oracle Fusion Middleware」の製品体系に組み込まれ、「Oracle WebLogic Server製品群」「Oracle Tuxedo」などとなり、「Oracle Fusion Middleware」の守備範囲と基盤がさらに強化されることになる。

日本オラクルでは、「Oracle WebLogic Server製品群」「Oracle Tuxedo」「Oracle BPM Suite」「Oracle WebCenter Suite」「Oracle SOA Suite」「開発ツール」など、BEA製品と統合した新たなオラクル製品を9月1日から提供する予定で、「WebLogic Server」「Tuxedo」「JRockit」「AquaLogic Service Bus」「AquaLogic BPM」「AquaLogic Interaction」など、主要なBEA製品は、主要コンポーネントとして組み込まれ、従来のオラクル製品と順次統合される。

日本オラクル 遠藤隆雄 社長 最高経営責任者

米オラクルは、米BEAシステムズを買収した理由として、BEAはミドルウェアの先駆者、牽引者であり、製品やアーキテクチャが補完的、パートナー、販売チャネルのエコシステムの拡大--などを挙げている。日本オラクルの遠藤隆雄 社長 最高経営責任者は「"Oracle Fusion Middleware"を基盤にBEAを統合して、ミドルウェア製品群を再編する。主要な市場でのさまざまな領域で、ナンバーワンの地位を確立し、ベストプラクティスを提供していくことがオラクルの戦略であり、その点、BEAとの統合は非常に重要だ。統合により、新たな価値を創造できる。シナジー効果も期待できる」と述べている。

米オラクル Oracle Fusion Middleware製品マネジメント バイスプレジデントのエドワード・ゾウ氏

同社では、BEAとの統合後の製品戦略として、統一性、モジュール構造、標準への準拠、オープンであること--などを基本原則に、完全で統合されたミドルウェア製品群を提供する、としている。米オラクルOracle Fusion Middleware製品マネジメント バイスプレジデントのエドワード・ゾウ氏は「製品のあるべき姿の方向性、SOA実現のための見解などで、オラクルとBEAは共通点が多かった」と話す。

オラクルは、これまでBEA製品に投資してきた顧客の投資を守るために、引き続きBEA製品の開発およびサポートを継続する意向であり、現在BEA製品を使用しているユーザーは、これまで通り、サポートを受け、アップグレードを行うことができる。また、BEAサポートエンジニアのチームが引き続き製品サポートを継続し、現行と変わらないサポートサービスを提供する、としている。

日本オラクルと日本BEAシステムズは企業としての体制の統合化を進めており、7月1日からは窓口を一本化、営業、サポート、コンサルティング、エデュケーションなど、顧客への対応を担っている、日本BEAシステムズの社員が、順次、日本オラクルに出向し、組織の融合を図っており、日本オラクルは、日本BEAの既存顧客、パートナーを引き続き支援していく意向だ。

BEA側の営業、コンサルティング部門の大半は、「Oracle Fusion Middleware」営業チームに統合され、同チームは3,000人体制になる。また、BEAのサポート組織は「Oracle Fusion Middleware」のサポート組織一部となるが、BEA側の担当者はほとんど存置され、既存のサポート手順はそのまま継続され、BEA製品をサポートする。エンジニアリングの領域でも、BEAの研究・開発要員の大半は「Oracle Fusion Middleware」開発チームに統合されるが、中国、インド、南米などにある、BEAの開発センターはすべて存続される。

日本オラクル 志賀徹也副社長 ジャパンライセンス事業 システムテクノロジー営業統括兼ミドルウェア営業統括本部長

同社の志賀徹也副社長ジャパンライセンス事業システムテクノロジー営業統括兼ミドルウェア営業統括本部長(旧日本BEAシステムズ社長)は「オラクルとBEAは、業務のプロセス、企業文化が似ている。移行はスムーズに進む」と語るとともに、統合により、ミドルウェア事業をさらに強化できる要素が整ったことを指摘「もっともっと、おもしろいビジネスができると確信している」と、統合による効果への大きな期待感を示した。

両者とも、パートナー経由のビジネスが重要であることから、パートナーへの周知や支援活動にも力点が置かれており、技術面での詳細な解説、トレーニングなどの施策が、すでに米国、欧州で開始されている。国内では、顧客やパートナー向けに、9月1日から、以下のような、BEA製品のトレーニングの提供を新たに開始する。
・「Oracle WebLogic Server 9/10 システム管理 I/II」
・「WebLogic Platformを使った開発(J2EE、EJB、アプリ)」
・「Oracle Service Bus - SOAのためのサービス統合と管理」
・「Oracle BPMによるビジネスプロセス開発と管理概要」