日本オラクル、日本IBM、アシストの3社は、IBMのハード製品とオラクルのサーバ仮想化製品「Oracle VM」を活用した仮想化ソリューション、ITインフラ領域で協業、技術検証、販売・サポートで3社が協力、アシストは導入・構築や保守・運用支援サービスを提供するほか、仮想化技術を用いたインフラ構築を促進するため、仮想化アライアンスを設立する。

右から、日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏、アシスト取締役の大塚辰男氏、日本IBM 理事 モジュラー・システム事業部長の諸富健二氏

今回の提携に基づき、オラクルとIBMの検証施設である「Oracle GRID Center」や、両社の共同技術センターである「IBM-Oracle コンピテンシー・センター東京」の検証環境を用い、3社の技術者が共同で、IBMのサーバ製品「IBM System x」「IBM BladeCenter」やストレージ製品「IBM System Storage」と、オラクルの仮想化製品「Oracle VM」を組み合わせ、機能検証や推奨構成の作成を実施する。検証を実施する予定のサーバ製品は、「IBM System x3850 M2」、「IBM System x3650」、「IBM BladeCenter HS21」など。

また、近く「アシスト市ヶ谷検証センター」にも2社と同様の検証環境を整え、基礎的な検証は「Oracle GRID Center」で、顧客からのカスタマイズ要求に応える検証は「IBM-Oracle コンピテンシー・センター」「アシスト市ヶ谷検証センター」で行う。3社はこれらの検証結果を、ベストプラクティスとして活用できるようにまとめ、顧客やビジネスパートナーへのシステム提案活動に活用していく意向だ。

販売・サポートの点では、3社合わせて100人規模の体制で販売し、30人規模の体制でサポートを開始する予定だ。また、仮想化技術を試行的に導入したいと希望する企業には、アシストがその企業の開発環境、テスト環境への導入構築支援サービスを8月から提供、「Oracle VM」のインストール、仮想マシンの作成などを担う。さらに同社は、エンタープライズ環境への仮想化導入支援、データベース診断、「Oracle11g」の新機能と「Oracle VM」を組み合わせた基幹システム向けの仮想化導入支援サービスも、検証作業の終了後、随時提供していくという。

さらに3社は、コンソーシアム「アシスト・IBM・オラクル仮想化アライアンス」を7月10日に設立しており、オラクルとIBMの製品を活用した仮想化技術、ITインフラ導入の普及・促進を目指す。3社と参加企業により、サーバ仮想化技術に通じた技術者を育成するとともに、導入事例の紹介や「OracleVM」と「IBM System x」で稼動が可能なISVソリューションの拡大などの活動をしていく方針で、年間を通じた定例会などを軸に順次実施していく予定だ。同コンソーシアムでは当初アシストを事務局とし、年内には参加企業を50社程度に拡大したい考えで、すでに、インテック、ジャストシステム、住商情報システム、電通国際情報サービス、日本ビジネスコンピューターなど14社が賛同を表明している。

日本オラクル 常務執行役員 製品戦略統括本部長の三澤智光氏は、企業ユーザーが求めるITインフラは仮想化技術によるサーバ最適化など、IT資源の有効活用と業務継続性の確保、増大する一方のストレージコスト低減化などデータ管理の効率性、そして運用管理の効率性であると指摘、「今回の協業では、物理的に1台のコンピュータを論理的な複数のシステムで利用する技術で協力する」と話す。仮想化技術により、ビジネスの視点で効率化とコスト削減を望む需要に応える意向だ。

日本IBMはこれまで、「System z」などの大型汎用機や、「System p」などのUNIXシステムで仮想化技術を培ってきた実績がある。この技術基盤を「System x」「BladeCenter」といったIAサーバにまで拡張していくことが同社の狙いだ。同社 理事 モジュラー・システム事業部長の諸富健二氏は「Oracle VMを、xシリーズの仮想化の主力としていきたい」と語る。この協業で、大型汎用機からPCサーバまで、仮想化技術を利用できる製品の選択肢を広げることができる。

アシスト取締役の大塚辰男氏は「当社では、200人の営業要員が週に15軒の顧客を訪問しており、現場で顧客の声を集めているが、顧客の仮想化技術に対する関心、期待がたいへん高くなっている。当社は4,000社以上にオラクル製品を提供しており、技術面で実績がある。このノウハウを活かし、効率的なシステム構成の提案をサービスとして提供する」と述べ、協業による共同検証は「顧客の検証コストを省き、システムの納期を短縮でき、従来の1/4程度の期間で導入できるのでは」としており「年内に100件以上の案件を獲得する」ことを目標とする。