米Microsoftは7月8日(現地時間)、現在米テキサス州ヒューストンで開催されている「Microsoft Worldwide Partner Conference 2008」において、SaaSライクなシステム導入が可能な「Microsoft Online Services」の新製品ほか、パートナー企業向けの新戦略群を発表した。Online Servicesの新製品ではPCの利用時間が少ない"デスクレス"なユーザーをターゲットに、電子メールやスケジュール管理、文書共有など、基本的なコミュニケーション機能を備えたアプリケーションスイートを月額3ドルからの低価格で提供する。

今回発表されたのは「Exchange Online Deskless Worker」「SharePoint Online Deskless Worker」の2つのOnline Services製品。Microsoftによってサービスがインターネットのデータセンター上にホスティングされており、SaaSのような形態で簡単にアプリケーションを利用できる。特にユーザーの利用頻度を念頭に低価格設定が行われている点が既存バージョンとの違いになる。Exchangeは電子メールやアドレス帳、スケジュールの機能のほか、電子メールに付随するアンチウイルスやアンチスパム機能も保持している。またオンライン経由でExchangeにアクセスするユーザーに対して、Outlook Web Access LightによるWebクライアントも提供する。SharePointはコンテンツリポジトリ機能を有しており、チーム共通の情報共有ポータルへのアクセスのほか、蓄積されたコンテンツの検索機能、ユーザーの権限に応じたアクセス制御など、ポリシーに応じた情報公開・共有が可能になっている。両サービスの利用料は単位ユーザーあたり月額3ドルで、どちらか一方のみのサービスの利用も可能。

このほか既存のOnline Servicesポートフォリオを組み合わせてスイート製品とし、単位ユーザーあたり月額15ドルで利用できるオプションも用意する。スイートには上記のExchange / SharePointのほか、IM機能を提供する「Office Communications Online」、Web会議機能を提供する「Office Live Meeting」が含まれる。これらもすべて個別利用が可能だ。

Microsoftビジネス部門プレジデントのStephen Elop氏は「パートナーはつねにMicrosoftのビジネスの中核にあり、今後もそれは変化することはない。今回発表する新しいビジネスモデルのオンラインサービス群は、顧客に対して多大な価値と選択肢を提供し、同時にパートナーにチャンスと利益をもたらすものとなる。また同時に、Microsoftの"Software plus Services"戦略の鍵の1つでもある」と述べている。Online Servicesをベースに顧客ユーザーに対して新たな価値を提供し、インテグレーションからカスタマイズ、コンサルティング、マネージドサービスまで、あらゆるレベルでユーザーのニーズを満たして友好な関係を築いてほしいというのが同氏の意見だ。

MicrosoftはOnline Servicesのほか、さまざまなパートナー向け施策をPartner Conference上で発表した。1つはMicrosoft Dynamics CRM Onlineの拡販戦略で、より幅広いユーザーへの浸透を狙い、北米地域の認定パートナーに対して自社組織内での同サービス利用時に2008年秋以降、特別割引を適用する予定だという。またWindows Vistaのさらなる普及を目指し、互換性検証ツールの「Windows Vista Compatibility Center(WVCC) Beta」、SMB顧客を抱えるパートナー向けの支援リソース集「Windows Vista Small Business Assurance(SBA)」などが新たに用意された。SBAでは、Vista利用における各種のテクニカルサポートや各種リソースが無償で提供される。そのほか携帯を利用するSMBユーザーを対象にしたパートナー向け支援プログラム「Mobile Readiness Program」などの提供も行われる。