フィンランドNokiaは3日(現地時間)、ドイツ西部ボーフム市および周辺地域の復興基金として2000万ユーロを提供することを発表した。Nokiaは6月末、ボーフム市にある自社工場を閉鎖しており、今回の基金提供などの支援策は、工場閉鎖後の措置として労組と合意していた。

Nokiaは今後ボーフム市の雇用・経済支援策として、

  1. 長期的雇用機会創出を目的とした国際的な誘致キャンペーンの展開
  2. 新しい事業による雇用創出を図る「起業家センター」の立ち上げ
  3. ボーフム大学など教育機関で科学的研究を事業化する担当者の配置

などを挙げている。Nokiaの工場跡地については、財務支援や雇用を確保できるよう、投資先を探すとしている。

Nokiaはボーフム市に対し、財務支援として2000万ユーロを提供、それに加え、今後工場跡地の売却などで得た収益も提供するという。ボーフム市のある北ライン・ヴェストファリア州も、支援金として2000万ユーロを提供する。

Nokiaがドイツ最後の製造拠点となっていたボーフム市の工場閉鎖計画を発表したのは2008年1月のことだ。これに対し労働組合は大反発、デモやボイコットなどの抗議行動が起こり、話題となっていた。Nokiaは閉鎖の理由について、コスト高を挙げていた。当初、工場の閉鎖により、約2300人の雇用に影響が出るといわれていた。

その後、Nokiaと労組は4月、工場を6月30日に閉鎖することで和解した。和解の条件として、Nokiaは解雇手当として2億ユーロを支払うほか、1年の計画で企業を立ち上げ、その後の運用にあたるとしていた。この際、自動車事業を元幹部のRazvan Olosu氏と投資会社に売却する計画や、ソフトウェア開発施設をモバイルソフトウェア企業のSasken Communication Technologiesに売却する計画などを発表、300人の雇用を創出できると説明していた。

政治側で争点となっていたのは、市や国がNokiaに払った補助金だ。Nokiaは報道資料で、1990年代に自社が受け取った補助金の問題について、北ライン・ヴェストファリア州とは議論にピリオドを打ったとしている。

Nokiaはボーフム市の拠点を閉鎖し、労働コストが安いルーマニアに製造拠点を移している。