VoIPアプリケーションを提供するルクセンブルグSkype(米eBay傘下)は1日(現地時間)、米Motorolaでモバイルデバイス部門を率いた経験を持つScott Durchslag氏をCOO(最高執行責任者)に任命したことを発表した。辞令は即日発効され、Durchslag氏はSkype社長Josh Silverman氏のレポートラインに入ることになる。
Durchslag氏はMotorolaに2002年に入社。パーソナルコミュニケーション部門の最高戦略責任者してモバイルデバイス事業を率い、Motorolaのシェア倍増に大きく貢献したという。この間、米Google、米Microsoftらとの提携を成功させ、マルチメディア端末の共同開発などにかかわった。
Skypeは2003年に創業、2005年にeBayにより買収された。買収後、業績がそれほど振るわず、eBayは昨年10月、Skype買収に関連した評価損を計上している。これと同時に、共同創業者のNiklas Zennstrom氏はCEOの座を退き、暫定CEOによる移行期間を経た後、Silverman氏が正式なCEOとして今年3月24日付けで就任した。Silverman氏はShopping.comの出身。今回新たなCOOを迎えることで、経営の土台を固めていく方針だ。
創業時からSkypeの課題は収益性といわれてきた。Skypeクライアントを利用したユーザー間の通話は無料で、Skypeはこれに、「Skype Out」「Skype In」といった有料オプションサービスや、ユーザーがSkype上で有料サービスを展開できる「Skype Prime」「Skype Find」などのサービスを加えてきた。
モバイルへの対応も積極的に進めており、「Windows Mobile」に続き、Symbian/S60への対応も部分的に実現した。さらには、ハードウェアメーカーと提携してSkype携帯電話を展開しているほか、モバイルオペレータとの提携も行っている。
Skypeによると、現在、登録ユーザーは3億900万人に達したという。2008年第1四半期の売上高は1億2600万ドルで、前年同期比61%増。5四半期連続での増収だ。また、先月には、ビデオ会話機能を強化したメジャーアップデート「Skype 4.0」ベータ1をリリースしている。
なお、同社はこの発表に併せて、ホワイトスペース周波数帯の開放を求める業界団体「Wireless Innovation Alliance(WIA)」への参加も表明している。