3カ年の中期経営計画を策定
ソニーは26日、2008年度から2010年度までの3カ年の中期経営方針を発表した。同方針は、2005年度に策定した2007年度までの中期経営方針に続くもので、事業目標として、「コアビジネスの強化」「さまざまな製品に対してネットワーク接続サービスを提供」「PLAYSTATION Network(PSN)上でのビデオ配信の開始と主要製品への展開」「BRICs諸国での年間売上高2兆円」という4つの目標が立てられた。
ソニー 会長兼CEO ハワード・ストリンガー氏 |
同社会長兼CEOのハワード・ストリンガー氏は冒頭、「我々の改革はまだ終わっていない。利益を伴いながら成長し、かつイノベーションを起こす企業にするために、常に変革しつづける必要がある。そのためには現在の強みを維持しつつ、新たなビジネスモデルの構築を推し進める必要がある」と、現在のソニーの立ち位置を示した。
"コアビジネスの強化"としては、2008年度中にテレビ事業およびゲーム事業を黒字化することが示された。中でも「テレビ事業の黒字化は必達目標である」(同)とし、LCDパネルの戦略的調達や共通シャーシの採用によるコストダウンなどを推し進めるほか、差異化技術の内製化を行うことで、2010年度までに世界シェア1位を獲得することを目指すとした。
"さまざまな製品に対してネットワーク接続サービスを提供"という施策としては、「ソニーはユーザーに新しいエンタテインメント体験を提供できるユニークな企業」(同)と語り、コンテンツを楽しむための製品と、映画や音楽を同時に提供している現在の取り組みをネットワークに拡大、一貫性のあるネットワークサービス戦略をすべての製品に展開することで、いつでも、どこでも、好きなコンテンツにアクセスできるようにするとし、「2010年度までに製品カテゴリの90%をネットワークおよびワイヤレスに対応させる」(同)とした。
また、その先駆けとして、2008年夏よりPLAYSTATION Network上で映画やテレビのコンテンツ配信サービスを北米で開始するほか、秋には同じく北米にてIPネットワークを用いることで、従来の販売網やSTBを介さずに液晶テレビ「BRAVIA」に直接コンテンツを配信するサービスを開始する。「11月には映画"Hancock"のDVD発売に先駆けて、同作品をネットワークに接続したBRAVIAに提供する」(同)という。
"BRICs諸国での年間売上高2兆円"という目標については、「BRICs諸国には10億人を超す市場が存在し、ソニーにとっても大きなチャンスだ」(同)としており、インドの子会社Sony Entertainment Television Indiaで確立した成功モデルを横展開することなどの施策により、2007年度比で約2倍となる売上高2兆円を達成する計画。
なお、2兆円の内、エレクトロニクス事業が占める割合は6割となる1兆2,000億円となっている。こうした目標を達成するために、同社では2008年度からの3年間で行う1兆8,000億円の投資計画の内、イメージセンサ、リチウムイオンバッテリ、Blu-Ray Discなどのコアコンポーネントを中心に製品の差異化に貢献するコンポーネント・半導体事業に9,000億円を投資する。