韓国Samsungグループのイ・ゴンヒ会長が22日、辞任を発表した。

かねてより捜査が行われていた、不正資金疑惑のため。17日には脱税や背任罪などで、特別検察官チームにより起訴されていた。

22日、SamsungグループのWebサイトには「イ・ゴンヒ会長、国民にお詫びおよび退陣声明」と題された声明が掲載された。

これによると「私は本日、Samsungの会長職から退くことといたしました」とあり、続けて「私による特別検察捜査問題で、国民の皆様に多大なご心配をおかけいたしました。心よりお詫び申し上げ、これにより法的・道義的責任をとりたいと思います」と述べている。

またSamsungグループ社員に対しては「(Samsungグループ会長に就任した)20年前、私は、Samsungが超一流の企業として認められるその日こそ、全ての栄光と結実は皆さんのものであると約束しました。その約束を守れなくなり、本当に申し訳ありません」と、お詫びの言葉を送っている。

イ会長はSamsungの創業者、イ・ビョンチョル氏の息子にあたる人物で、同グループをグローバル企業にまで育て上げた立役者として、韓国では尊敬されている経営者だった。しかしその反面、一族による経営や不透明な資金繰りなど、経営体制が問題視されてもいた。

経営刷新でスタート地点に立つ

イ会長のお詫び声明と同時に、Samsungグループの経営刷新内容も発表されている。

これによると、今回の秘密資金の管理などに関わってきた中核部署である「戦略企画室」は解体されることとなった。同部署のイ・ハクス副会長およびキム・インジュ社長は、残務処理が終了次第、経営の一線から退くことが決定した。

さらにイ会長の長男で、Samsung Electronicsの専務をつとめるイ・ジェヨン氏は、一旦辞任することとなる。その後、海外の事業所などで現場を体験しつつ、市場開拓の業務を遂行するということだ。

各経営陣の退任とともに、新しい体制による経営方針も、いくつか発表された。例えば社外取締役に関しては「客観的な視覚で経営に参加できるよう、Samsungと職務上関連のある人物は、これに選任しない」(Samsung)との方針が固められた。

Samsungによると、経営陣の辞任や戦略企画室の解体などは、6月末までに法的な手続きや準備を終え、7月から実行に移されるということだ。

最後にSamsungでは「今日発表したことだけで、Samsungの刷新が完了したとは考えておらず、単なるスタートに過ぎないことはよく理解しております」と述べている。

韓国最大のグループ企業の不正事件と、それに伴う会長辞任という今回の事件は、韓国社会に及ぼす影響や衝撃が多大で、それだけに同グループは今後変わっていくしかない状況にあるといえる。