マイコミジャーナルで3月1日~31日に掲載されたネット関連事件について、掲載から1週間のアクセス数をもとに注目度の高かったものTop10を集計してみた。中高生から小学生までが関連する事件や、定番の情報流出系まで、今さら珍しい話ではないとも言えるが、「ありがち」の一言で済ませず、現実と向き合うことで事例に学んでみようではないか。

2008年3月のネット事件簿アクセランキング Top10(3/1~31※)

順位 記事 掲載日
1位 ネット上の「擬似恋愛」で三角関係もつれ、熊本の中3女子ら全員"御用" 3/7
2位 国内発見の新種クワガタ、ネットオークションで絶滅危機 - 環境省取引禁止 3/24
3位 「埼玉の小学生殺す」と書き込んだ千葉県の10歳小学生補導 - 埼玉県警 3/4
4位 YouTubeに「子犬を崖に投げ殺す」米兵らしき映像 - 残酷さに批判相次ぐ 3/7
5位 削除依頼はしています……日銀松江支店で融資先情報など流出 3/25
6位 「100万円あげるから裸体画像送れ」会社役員を児童ポルノ禁止法違反で逮捕 3/10
7位 「メール内容をばらす」同級生男子を恐喝しようとした女子中学生を逮捕 3/6
8位 兵庫県警の巡査? 31歳男性公務員をWinnyによる著作権法違反で書類送検 3/25
9位 「神戸の小中高にテロします」 2ちゃんねる上で脅迫した高2男子逮捕 3/13
10位 ゆうちょ銀行、ネットバンキング狙ったフィッシング詐欺への注意呼びかけ 3/17

※ 各記事の掲載日から1週間のアクセス数をもとにしています。

"疑似痴情のもつれ"が現実にもたらした結果とは

今回最も注目を集めた「三角関係」事件は、その前半だけであれば他にも似たような出来事が起こっていると考えて不思議ではない。この事件がそこまで注目されたのは、サイトを移ってまで女子中学生を追い続けたという会社員のあきらめの悪さもさることながら、その後半から"全員御用"という結末に至る展開によるものだろう。

本人に非が無いとは言えないものの、ネット上のストーカー(会社員)に悩む女子が"彼氏"にそれを相談するのは、まあ有ること。しかしそこで"彼氏"が取った行動は、

高いレベルだった会社員のキャラクターを最低のレベルに引き下げたり、会社員のアイテムを自分のものにしたりした。

もしかして、リアルで言うところの「ボコる」をオンラインゲームに変換すると、こういうことになるのだろうか。しかし、

これを受け、会社員は兵庫県警に相談

サイト管理者への報告はスルーしたのか、事件は突如リアルへとそのフィールドを展開した。だが、世に「不正アクセス禁止法」という法律はあれど、この場合の被害届に書かれた項目は多分「レベルとアイテム」。警察が即座に対応する内容とは考えにくい。事件の発端が昨年の4月に遡ることを考えると、実際に警察が動くまでにはかなりの時間を要しているのではないだろうか。

しかし結果的に警察は動く。それまでに会社員が一度ならず警察に相談へ訪れているのなら、図らずもその熱心さが自らの罪状を浮かび上がらせてしまったわけだ。その盲目さぶりが何とも"恋愛"らしく、切なさを感じさせる事件だ。

むしろ未成年を加害者にしないフィルタリングは可能だろうか

3位には「埼玉の小学生殺す」と書き込んだ10歳小学生、9位には「小中高にテロします」と書き込んだ高校生と、未成年者が関わる事件がランキングされている。

千葉の小学生がなぜ埼玉に? 疑問は残るが、どちらも結果はあまりにあっけない。匿名掲示板であっても普通は書き込み主が割り出される仕組みになっている。情報科の授業でそれを習う機会は無いのかもしれないが、テレビなりで報道を見て学習してくれることを願いたい。

7位の女子中学生による恐喝未遂は少々毛色が違っていて、掲示板やチャットなどのWebサービスは一切関係しておらず、事件に関わっているのはメールという"無害"なツールだ。たまたま知った相手に過激な内容のメールを送るとか、メールを見て恐喝を思いつくという、規制ではどうにもならないところで事件になってしまったわけで、有害サイトのフィルタリングも出番なしだったようだ。