実際の携帯画面を説明する石井氏

きめ細かいサポートはユーザー側にも必要となる。この点について石井氏は、 「たとえば、登録するとたくさんのメールが来たり日記を書くのが楽しくなったりするから、パケット料金定額のプランがオススメですよ、というような案内もストアの方にしてもらうようにしています。もちろんご案内自体が難しいというストアもありますが、その場合には説明用のチラシを用意して置いてもらうようにしました」と語った。

また、現在はまだストアからの出店料をとっておらず、小松川電機が持ち出しで運営している状態だが「元々、完成には2年くらいはかかるだろうと考えていました」と石井氏は言う。パソコンや携帯電話に詳しい人ばかりではなく、地域住民の多くに参加してもらうことを目指す地域SNSでは、運営側の地道なサポートと粘り強い姿勢が必要だ、ということがわかる。

ストアマイページ

ゆっくりとした歩みで進んできた「Fan'sえどがわ」は、1年間で約300人のユーザーを獲得した。これが、2008年4月1日、一挙に3282人へと膨れ上がった。一度に増えた9割を占める会員は、江戸川区内の小中学生をもつ保護者のコミュニティ「ピヨネット」の会員だ。

従来の「ピヨネット」では警察から提供された子供の安全に関わる情報をメールニュースとして配信してきた。小松川電機は「ピヨネット」に対して、携帯電話と子供に関する勉強会を年に数回提供するという関係であり、石井氏自身も会員だった。

「今まではニュースを受け取るだけでしたが、今後はコミュニティづくりを推進したり子供の居場所を知る機能を提供することで、知ったニュースに対する対策ができるようにしたいと考えています。私自身の経験ですが、ニュースだけを知らされると地元でもこんなに事件があるんだ、と不安になってくるんです。だから、それを解消できるサービスにしたいですね」と石井氏。

そのためのサービスとして期待されるのは、携帯電話のGPS機能を利用してユーザーの居場所を確認する機能だが、これは現在まだ提供されていない。

「いろいろな問題はありますが、1つ1つ解決してできるだけ早い段階でたくさんの機能を提供したいですね。たとえば、ソフトバンクへの対応や、パソコンでの閲覧も目指しています。江戸川区をモデルケースとして、いずれは城東エリアを全てカバーするつもりです」と石井氏。

「ピヨネット」との統合で会員数も大幅に増え、今後はコミュニティも増えることが予想される。行政主導ではない、地域企業が旗を振る地域SNSの成長が楽しみだ。