米マサチューセッツ工科大学(MIT: Massachusetts Institute of Technology)は、同大学が発行する技術情報誌「Technology Review」の最新号にて、将来、もっとも大きな影響力があると予測される10の先端技術「TR10」を発表した。
「TR10」は同誌にて毎年発表されている。今年(2008年)のTR10に選ばれたのは、オフラインでもWebアプリケーションを利用できるようにする「Adobe AIR(Adobe Integrated Runtime)」や、電力をワイヤレスで供給できる「WiTricity」など、IT業界でも高い注目を集める技術が並んだ。
また、米国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)の物理学者であるJohn Kitching氏が研究開発を進めている、小型で低消費電力ながらも非常に精度の高い原子磁気探知機も選出されており、将来的にポータブル探知装置などに実用化される可能性が高いとしている。
バイオ燃料の活用に注目が集まってはいるものの、エタノール生産にトウモロコシなどの穀物原料を大量に消費することが新たな問題を招いている。TR10には、カリフォルニア工科大学(Caltech)のFrances Arnold教授による、セルロース原料の活用効率を上げる酵素に関する研究も選ばれており、今後の展開に期待が高まっているようだ。
そのほか、携帯電話に搭載するセンサから収集した情報を分析活用する新技術、脳神経回路の正確なマッピングの応用技術、わずかにコンピューティング技術のパフォーマンスを落とすことで、バッテリ寿命などを大幅に向上できる「PCMOS」技術など、興味深い技術が厳選されている。