ZDNet Japanによるコミュニティメディア「builder」は28日、技術者向けイベント「builder tech day : openAPI & beyond」を開催した。builderは"コードを書く技術者"にフォーカスを当てて昨年12月にオープンした、ZDNet Japanによる新しい新しいコーナー。コンテンツを提供するメディアとしての役割だけでなく、技術者や企業を結びつけるコミュニティとしての側面も持っている点が特徴だ。

「builder tech day」はそのbuilderによる技術者を対象としたイベントであり、「openAPI & beyond」をテーマとしてオープンな技術やその動向の紹介、ディスカッション等が行われた。本稿ではその中から、「イマドキなWebアプリケーションの作り方」と題されたパネルディスカッションの様子をレポートしたい。パネリストはSix Apart,Ltd. Lead Application Engineer 宮川達彦氏と、日本アイ・ビー・エム株式会社 コンサルティング・テクノロジー・エバンジェリスト 米持幸寿氏。モデレータをアークランプの鈴木雄介氏が務めた。

Six Apart Lead Application Engineer 宮川達彦氏

日本アイ・ビー・エム社 コンサルティング・テクノロジー・エバンジェリスト 米持幸寿氏

アークランプ 鈴木雄介氏

モノを公開するということに対する考え方

まず前半のテーマは「テクノロジー」ということで、Web 2.0やAjaxといった"イマドキ"な技術が登場したことによって開発の仕方がどのように変わってきたのか、宮川氏が語った。

「技術とは直接関係ないかもしれませんが、顕著な変化としては、OSS(Open Source Software) のツールを使うこがスタンダードになりました。逆にそのようなツールを作る側の立場としては、以前のように一般的に広く使えるものだけでなく、自分たちが欲しいというだけの特定の用途に限定されるツールを作った場合にも、それを公開するという流れに向かうようになりました。するとそれを使ってみよう、改良してみようという人がでてきます。非常にニッチなツールだとしても、OSSの横のつながりによってそれが広まってエコシステムに発展していくという現象があって面白いです」

一方で米持氏は、業界をリードする最大手企業という立場から、モノを公開するということに対するまったく異なる考え方を紹介している。

「まずIBMにとってのエコシステムというのは、みんなが必要なものをみんなで別々に作るのは無駄だ、という考え方から始まっています。すると共通のものを各ベンダが一緒に作ろうということになる。これがOSSになります。IBMは顧客に責任を持って製品を提供するためにベンダとしてそのメンバーの中に入っているということです」

同氏のコメントの中で非常に興味深かったのは「一般のユーザにとってはOSSは無料のソフトウェアだという認識が強いかもしれませんが、IBMにとってはOSSは投資です」という一言だ。「IBMはOSSに対して莫大な金額を支払っています。なぜそういうことをするかというと、IBMが投資してソフトウェアが育ることで、そこに新たな事業が生まれる可能性があるからです。それがIBMにとってのOSSの価値のひとつでもあります」