miVitals

個人の健康情報をWebで管理する日はやってくるだろうか---

個人の健康情報をWebで管理するというのは合理的といえば合理的な発想だ。かかりつけの医療機関を変更しても、個人健康情報をニュートラルに保持しておけばこれまでのデータを活用できる。描く理想通りに活用できれば素晴らしいツールになるだろう。ただしそこには常にセキュリティという問題と、システムの互換性という懸念事項が潜んでいる。

オーストラリアにおいてmiVitalsと呼ばれるサービスがスタートした。miVitalsは言ってしまえば健康情報をオンラインで記録するためのセキュアオンラインストレージシステムだ。オーストラリア以外にも米国、カナダ、英国が対象として検討されている。今後予定されている機能追加をみても魅力的なWebアプリケーションだ。

miVitalsサイト画面より抜粋

医療機関や医療従事者間の電子システム化はさまざまなレベルで進んでいる。miVitalsが最初に狙うのはそういった医療機関そのものにおけるサービスではなく、コンシューマを対象としたサービスだ。ユーザは自分で医療従事者から自身のバイタルデータを受け取り、自分でデータをmiVitalsに記録していく。セキュアなオンラインストレージというわけだ。

miVitalsのサイトには同サービスを使うストーリーがいくつか紹介されている。たとえばそれは子供の成長記録をつけるプラットフォームとしての活用だったり、自分の健康情報管理システムとして、または病気情報の記録のプラットフォームとしてだ。将来的には、これは困難なことだとしながらも他のシステムとの統合や、医療従事者にも活用してもらう取り組みを計画しているようだ。

同サービスのポイントは、主眼があくまでコンシューマにあるということだ。医療システムは扱う対象が対象なだけにむげに取り組むわけにはいかない。たとえ体重と体脂肪率を記入してグラフを見るといった利用だけだとしても、ユーザ側から自発的に活用するというところが重要だ。方向性も含めてmiVitalsの戦略はきわめて妥当であるように思える。今後地道に普及していくかもしれない。

Googleは同様の健康管理システムをGoogle Healthとして開発しているがいまだにローンチしていない。どういったサービスを提供するべきか、どういった戦略でサービスを進めていくかがいかに難しいかがわかる。これまでこの手のコンシューマ向け医療Webサービスは広く普及していないが、ここにきて現実的なソリューションが目の前の現れた感がある。日本で同様のサービスが普及するかどうかはわからない。しかし海外で大きな動きがあればいずれは日本でも同様の動きが生まれるだろう。同サービスの動向に注目しておきたい。