トランスコスモスは10日、RSSを活用した新しい広告クリエイティブ生成ツール「Feed Powered」のサービス提供を開始することを発表、これについての説明会を行った。この広告モデルは、広告主が自社Webサイトで配信するRSSフィードをそのまま広告原稿の材料としてクリエイティブを生成、メディアサイトが持つ広告スペースに配信するというものだ。

既存コンテンツを生かせるRSSフィード広告

トランスコスモス 執行役員 日高俊児氏

説明会ではまず同社執行役員日高俊児氏より挨拶があり、RSSフィード広告ブランド「Pheedo」事業について、これまでの歩みとその可能性を述べた。Pheedo事業は、メディアサイトのRSSフィードでの広告収益化を約束するプラットフォームとして2004年に導入された。当時、いわゆるロングテールの"テール"部分に注目が集まる中にあってPheedoは"ヘッド"部分に対するソリューションであったため「あまりウケなかった」(日高氏)経緯があるが、現在では約50社がPheedo稼働メディアとし、さらにその数は増えているという。

続いて米PheedoのVice President ビル・フリッター氏より、Feed Poweredのサービス概要と事例が紹介された。Feed Poweredでは、RSSフィードを使うことでリアルタイムに広告の配信が行える、つまり「サイトの更新=RSSの配信=広告枠への情報配信」ということになる。ここには音声や映像を使うことも可能。広告から自社サイトへトラフィックを引き込むのに効果的で、口コミ効果を形成する機会も生まれる。さらに、広告効果について詳細なレポート、分析を同社がまとめる。

米Pheedo Vice President,Marketing/Founder ビル・フリッター氏

解説では、Feed Poweredを利用するプロセスはシンプルで導入が容易であることや、既存のコンテンツ資産を活用しつつ、ネット広告における標準的な業務フローに乗って配信できることが強調された。また、いくつかの事例を紹介しながら、配信先に合わせて柔軟性を持ったデザインを生成できることや、常に新鮮な内容を配信できること、クライアントサイトのRSS購読者を増やせることなどを付け加えた。紹介された事例では通常のバナー広告と比較して高いCTRを記録し、繰り返し出稿を行うクライアントも多いという。

「Feed Powered」のビジネスモデル

トランスコスモス アドソリューション2.0サービス部 長谷川武恒氏

Feed Poweredの日本におけるビジネスモデルについては、同社アドソリューション2.0サービス部の長谷川武恒氏より解説が行われた。現在のPheedo事業モデルではRSSを配信しているメディアサイトのフィードを同社が預かり、これに広告を挟み込んで配信をしている。この"インフィード型"モデルがメディア向けのソリューションであるのに対し、今回発表されたFeed Poweredについて同社では「広告主向けのアドユニット生成ツールと捉えている」(長谷川氏)と述べた。

その意味するところは、Feed Powered利用における広告主側のメリットとして、自社サイトのコンテンツを有効活用できる、広告原稿の新規作成・差し替えなしに常に最新の情報を配信できる、などが挙げられた点にあるだろう。さらに、ソーシャルサービスの活用でキャンペーン効果が持続する、新規RSS購読ユーザーを増やしダイレクトな情報発信が可能になるなどの点から、企業のWebマーケティング、ブランディングでの活用も考えられる。

「Feed Powered」ビジネスモデル概略図。広告主のサイトで配信されたRSSから広告原稿の形態を生成し、メディアの広告枠に配信する。枠の買い方はこれまでのバナー広告と同様となる

生成された広告原稿のサンプル。様々なサイズのバナー枠に合わせたデザインが可能。クリックすると対象となる記事へ直接リンクする

広告を掲載するメディア側においては、新規の広告タグ設置が不要で既存枠に導入できること、広告原稿の入稿設定が不要なことなどのメリットがある。また、インプレッション単価の向上または下げ止まりも狙えるとしている。

2007年6月時点での日本全国のバナー広告総インプレッションは約426億(日経BP社「日経ネットマーケティング」より)。Feed Poweredの市場規模については、システム的にはこの全てを狙うことが可能であり、ビジネスモデルとして大きな可能性を持っていると説明された。

デモとして「TechCrunch」のページが表示された。赤い枠がFeed Poweredにより配信されている広告

広告主側のRSS配信サポートが課題

しかし、今後の事業展開における課題として、広告主側がコンテンツのRSS配信を行っていないことに言及。特にプロモーション目的のコンテンツが不足しているという。同社ではフィードフォースとのパートナー戦略によりこれに対応する考え。最後に、フィードフォース代表取締役塚田耕司氏より、ASP型RSS統合ソリューションサービス「RSS Suite」についての説明が行われた。

フィードフォース代表取締役社長 塚田耕司氏

RSS Suiteは、RSS配信を行っていないWebページやメールマガジンから自動的にRSSを生成、配信・管理を行うツール。コンテンツ貼り付けなどのカスタマイズや、効果測定機能まで含めて企業のRSSマーケティングを総合的に支援するというもの。これを導入することで、企業は既存のサイトからRSSを生成し、Feed Poweredを利用可能な状態にすることができるというわけだ。

Feed Poweredは11月に事実上サービスを開始し、年内はいくつかのバリエーションで事例を構築。2008年1月よりプリセールスを行い、本格展開は春頃からを予定している。