ドリコム社内で始めた"社内ブログ"

ドリコムブログオフィスは、企業のニーズから生まれた。元々コンシューマ向けのブログ関連サービスをしているドリコムに、「社員一人ひとりが自由に情報を発信できる、ブログを使った情報発信、収集ツール」を作ってほしいという声が寄せられたのだ。

製品化する前の2004年、ドリコムは自社で社内ブログを試験的に導入してみた。「導入した当初は反応はあまり芳しくなく、書き込みがあまり増えない日々が続いた」(同氏)という。メールで通知したり、タグでカテゴリ分けをしたりと使いやすくすることで、徐々に日記やコメントが増えていった。しかしアクティブ率に一番大きく影響を与えたのは、システムよりも意識の変化の方が大きかったという。情報を出した時に反応があったり他の人に喜ばれたりすることで、記事やコメントが増えていった。

社内ブログの成功には活発な記事投稿が欠かせない。山本氏は、社員に記事を書いてもらうための方策に頭を悩ませたという

当初は運用者がこまめにコメントを書き込むようにしていたが、参加者が増えるに従って記事も増えていった。今は1日50件くらいの記事が上がる。社員全体の約30%の人たちが書いている計算になるという。社内ブログを導入した他の企業でも、社員の10~30%ほどの記事数が上がることが多いそうだ。書かれる内容は実に様々で、日報、アイディア、現場でのトピック、プロジェクト成功報告、新入社員の成功報告、プライベートな話題などが自由に書かれていく。「SFA(sales force automation:営業支援システム)みたいなベースでは事実しか載らないが、(社内ブログのような)自由に発信できる場はこれまでなかったので歓迎された」と同氏は考えている。全体に「利用人数が数百名以上いるところが成功することが多い」傾向にある。利用人数が多いと記事が増えるためで、コンテンツが増えれば見る人も増えるため、成功につながるケースが多いのだ。


記事を書いてもらう運営ノウハウがポイント

社内ブログを導入してから問題となるのは、どうやったら面白い記事が継続的に投稿されるかという運用面だ。導入して成功させるためには、まずは「企画担当者が社内ブログにしっかりとコミットしていくことが大切であり、目的に立ち返りながら運用するとよい」と同氏はアドバイスする。

運用がスムーズにいくように、ドリコムでは、ルール作りや目的の設定など、運用ノウハウをマニュアル化している。具体的には、見るのを習慣づけるため、社長やキーマンのブログを用意するといったことが挙げられる。また、業務時間にブログを書くのを禁止するなどの規則は設けてはならず、会社全体で情報発信を推奨する雰囲気を醸成していくことが大切となる。

社員に記事を書かせるためには、たとえばブログデーを作って「水曜日の昼はブログタイム」などと業務時間内にブログの執筆時間を設ける方法がある。その他、キャンペーンを張って「●日~▲日の3日間は必ず書いてください」としたり、テーマを設定して書きやすくしたりするなどの方法も有効だ。ブログは書き始めるまでが敷居が高い。しかし、一回書くと、読んでもらえたり反応があったりすることでモチベーションが上がるようになる。同時に「こんな記事も書いていいんだ」と感じて書きやすくなるので、まずは一度書いてもらうことが大切なのだ。

注意点は、「目的を限定してしまうとかえって盛り上がりづらい」ということだ。いくら仕事に使える情報のみを取り出したいと考えても、それに限定してしまってはかえって出てこなくなってしまう。だからこそ、まずはブログに慣れてもらい、読んだらコメントをつけてもらうところから始めて、内容は自由にするのがオススメだ。