シャープは23日、同社の環境・CSRへの取り組みを説明した「シャープ 環境・社会報告書2007」を発行した。「スーパーグリーンファクトリー(SGF)」実現への取り組みや「気象キャスターと連携した環境教育」などの事例を分かりやすく紹介している。また、環境性能と開発効率を同時に高める「環境配慮型製品開発システム」を構築し、液晶テレビ「AQUOS」に活用、消費電力を大幅に削減することに成功したことも同日明らかにした。

「シャープ 環境・社会報告書2007」は、大きく分けて以下のような構成となっている。

  • 特集 シャープが目指す「持続可能なモノづくり」
  • クローズアップ
  • 環境とシャープ
  • 社会とシャープ

「特集」では「太陽光発電の普及拡大」「AQUOSに象徴される商品の環境配慮設計」「環境負荷を低減し、地域に貢献するグリーンファクトリー」という3つの側面から、同社の取り組みを紹介。このうち、太陽光発電に関しては、同社が全世界の事業活動で排出する年間の温室ガスの量を可能な限り削減する一方、同社が生産した太陽電池による創出エネルギーと商品の省エネルギー効果による温室効果ガス削減量を大きく拡大することで、2010年度までに温室効果ガスの削減量が排出量を上回るようにする、という高い目標を掲げている。太陽光発電の課題としては、発電コストが高いことをあげ、さらなるコストダウンが必要との認識を示している。

また、同社は1999年度に工場のグリーンファクトリー※(以下、GF)化の指針として、「グリーンファクトリーガイドライン」を策定、国内の全工場に導入。海外の工場においても、2001年度から一斉に導入し、国内外のすべての工場をグリーンファクトリーにすることを目標に、環境負荷低減の取り組みを本格的に開始している。

※ シャープは独自の評価基準をもとに、環境配慮性の高い工場を「グリーンファクトリー」、きわめて環境配慮性の高い工場を「スーパーグリーンファクトリー」にそれぞれ認定している。

特に、2004年1月に稼動した亀山工場は「スーパーグリーンファクトリー(以下、SGF)」と位置づけ、工程排水の100%リサイクルやゼロ・エミッションをはじめとする先進的な環境保全システムを導入している。同社では亀山工場の建設と歩調をあわせ、2003年度にSGFの評価・認定基準を設定し、2004年度に三重工場、2005年度には海外の工場としては初めて、フランスのSMFを3番目のSGFに認定。2006年度はさらに、国内でSGF5工場とGF5工場を達成するとともに、海外ではSGF3工場、GF12工場を達成したと報告。2007年度末には、国内外の全工場をGF以上にするという計画が順調に進んでいるという。

「クローズアップ」では、CSRの向上を目指したシャープの活動として、「お客様相談センターの活動」「地域社会に根ざした国内営業拠点のCSR活動」「気象キャスターと連携した環境教育」の3つの事例を紹介。「環境とシャープ」「社会とシャープ」の項目では、上記取り組みなどについて詳しく報告している。

また、報告書と同日に発表された「環境配慮型製品開発システム」(略称:G-PAS「Green-Product Assessment System)においても、同社は環境・CSRに対する取り組みを加速している。京都議定書の第一約束期間(2008年-2012年にCO2排出量を1990年比6%削減)を翌年に控え、世界的に広がる環境法規制強化の動きに対応。世界生産拠点の全製品において、生産からリサイクルに至るまでのライフサイクル全体の環境負荷低減と、リードタイム短縮を図る。

同システムは、部材や製品・環境法規制などの情報をデータベースで一元管理、ライフサイクルアセスメント(LCA)の手法により、CO2排出量の測定算出など環境性能の定量的な評価を開発現場で行う。これをさらにグローバルにネットワーク化することで、各拠点で情報の共有化を図り、製品の開発効率と環境性能アップを実現できる。同システムを活用した初めての製品となる液晶テレビ「AQUOS Gシリーズ32V型」(8月発売予定)では、3年前の同型AQUOSに比べて、リードタイムを約30%短縮しながら、年間消費電力量を43%削減することに成功したという。同社では、2006年度に国内の全設計・生産事業所で同システムの運用を開始、2007年度中に、海外の設計・生産拠点全12カ所に導入する予定。