経済誌『Economist』を発行する英Economist Groupは11日、IT競争力ランキング「IT industry Competitiveness Index」を発表した。トップは米国で、日本は第2位となった。このほか、韓国、オーストラリア、台湾などアジア太平洋地域の国が上位にランクインした。

Economist Groupの調査部門であるEconomist Intelligence Unit(EIU)が、世界64カ国を対象にIT競争力を調べ、まとめたもの。同社初のIT競争力指標であり、米国ベースのソフトウェア業界団体Business Software Alliance(BSA)の支援を受けて行った。

調査では、ビジネス環境、ITインフラ、人的リソース、法的環境、研究開発環境、IT産業開発への支援の6カテゴリと25の指標を用いて対象国のIT競争力を測定、100点を満点として点数を付けた。

首位は米国で77.4点、2位は日本で72.7点を獲得した。3位以降のトップ10は、韓国(67.2)、英国(67.1)、オーストラリア(66.5)、台湾(65.8)、スウェーデン(65.4)、デンマーク(64.9)、カナダ(64.6)、スイス(63.5)の順。上位には西欧州各国など先進国が多くランクインし、新興国として注目されているインドは46位(29.1)、中国は49位(27.9)、ブラジルは43位(31.4)につけた。

EIUでは、IT競争力に不可欠な要因として、スキルの供給、イノベーションを促進する文化、世界レベルの技術インフラ、法整備、バランスのとれた政府の支援、競争を奨励するビジネス環境などを挙げている。これらをすべて満たす国は少ないが、トップ4位にランクした国はこれらの多くを満たしており、これらの要因はその国のIT業界の強さと関係があるという。また、IT競争力とIT労働力の生産性の関連性も指摘している。

このほか、才能あるIT労働力は世界的に需要過多の状態だが、必要とされるスキルは常に変化しており、この状況は今後さらに進むと予想している。また、技術スキルだけではなく、プロジェクトマネジメント、変革管理、ビジネス分析などの知識も必要とされる傾向が強く、このニーズに応えるような教育システムを持つ国は少ない、とまとめている。

また、ロシア、ブラジル、マレーシア、ベトナム、リトアニアなどの国はIT競争力につながる要素を最低1つ持っており、国民のITスキルも向上しているため、インドと中国は今後これらの国との競争に直面するとも予言している。

今後の課題として、才能ある人材を供給できるか、競争とイノベーションを奨励するため政府の支援を確保できるかなどを挙げている。