BTO - ITによってビジネスを最適化していく取り組み

さらに、この環境においてCIOが直面する課題として、「IT予算の65%が既存リソースの運用管理に費やされている」「ITプロジェクトの50%は"コスト" "利益" "価値"といったビジネス上の目的を満たすことができずに終わっている」といった問題を指摘した上で、同氏は新たな取り組みとして"Business Technology Optimization(BTO)"と"Business Information Optimization(BIO)"を挙げた。

BTOは、ITによって実現されるビジネスを最適化していくことであり、現在のITとビジネスの間に存在するギャップを埋める取り組みだと言える。一方、BIOはビジネス情報から最大限の価値を引き出す取り組みで、これは従来のITでいうBI(Business Intelligence)に相当する。この分野ではHPはエンタープライズデータウェアハウスの新製品として「NP Neoview」をすでに発表済みだ。

さらに同氏は、「HPが定義する"情報"はビジネス情報に限定されず、もっと幅広い意味を持っている」として、デジタルエンターテイメントメディアに向けた技術も積極的に投入していくことを表明している。具体的には「DMP(Digital Media Platform)」を提供し、メディア業界やエンターテイメント業界向けのデジタル化支援を行っているという。

かつては「ITの活用によって競争力を高め、差別化する」といったコンセプトが語られ、さらにはそれに対する反論として「ITは問題ではない(IT does not matters)」などという論文が書かれて物議を醸したりもした。しかし、HPが予測するように「ITがビジネスそのもの」になれば、結局のところITの良否がビジネスの成果を直接左右することになるだろう。当面は、ITはユーザー企業にとって重要かつ深刻な問題であり続けるということだと理解してよさそうだ。