ネットワークスタックの仮想化がもたらす効能は?

ネットワークスタックが仮想化されることで結局なにができるようになるのか--端的に言えば「デフォルトゲートウェイを複数設定できる」ようになる。基本的に現在のOSはカーネルあたり1つのデフォルトゲートウェイしか設定できない。ネットワークスタックの仮想化が実現されると、これが複数設定できるようになる。

実現できることはいくつもあるのだが、もっともわかりやすい例としては、FreeBSD上にいくつものネットワークを作成できるようになることだろう。たとえばネットワークプロトコルの試験であったり、ネットワークプログラムのチェックであったり、そういったことを実施するにあたって物理的にネットワークを構成しなくとも、FreeBSD内でネットワークを構成できるようになる。Marko Zec氏が目指してきたのはまさにこれだ。

ネットワークスタックの仮想化を使ってFreeBSD上に複数のネットワークを構築したデモンストレーション

そのほか、わかりやすい例としては、同機能を使って複数のルータを1つのPCで実現できるようになる。たとえば5つのルータを1つのFreeBSDマシンで実現できるといった感じだ。ハードウェアを増設することなくソフトウェアでかなり柔軟なことができるようになるため興味深い。

ハードウェア費用削減へつながるテクノロジに注目

ネットワークスタックの仮想化が実現されると、1つのハードウェアに複数のサーバ環境を構築しやすくなる。OSごと仮想化する場合と比較してハードウェアリソースを効率よく活用できるため、ハードウェア費用を節約できるという利点もある。

同機能がユーザの手元に届くのは早くてもFreeBSD 7.1、場合によってはFreeBSD 8以降になるかもしれないが、同機能によってハードウェアに対する投資を削減できることはビジネス的に注目に値するものだ。ネットワークインフラストラクチャの関係者は同機能の動向を追っておくとよいだろう。