--ITガバナンスに取り組む上で重要なことは何でしょうか。

意外に把握できていない企業が多いのですが、まずは、既存のIT資産を把握することが大切だと考えています。それも1つのビュー(見方)で全体像をとらえることです。資産状況が見えなければ、IT戦略も打ち立てられず、投資の方針や基準も作れません。

資産状況を見る1つの方法として、最近、ポートフォリオ管理の話題がポツポツと上がるようになってきました。IT資産構成をポートフォリオの考えで見るというものです。HP自身も旧コンパックと合併した際のシステム統合で、その手法を使っています(HPによれば、2002年5月の合併当初に7000本以上あったアプリケーションを2007年10月までに1500本へ統合するなどの取り組みを行っているという)。また、2006年11月に買収したマーキュリーが持っていたITポートフォリオ管理ツールを「HP Software BTO(Business Technology Optimize)」の1つとして提供しています。まだ国内では実績が多くありませんが、今後は、増えてくると見ています。

--ITガバナンスの考えは、日本企業にも根付きますか。

ITガバナンスは、地道な作業の積み重ねで、すぐに何かが劇的に代わるものではありませんが、その積み重ねが大きな差になり、最終的な競争優位につながるものです。

ただ、日本企業の場合、やるとなると徹底してやり、手段が目的化するきらいがあります。最初から100点満点を目指すのではなく、60点でも70点でもよいので、とにかく始めることが大事です。"何もないよりまし"という考えで進めていったらよいと思います。