この記事では、ZERO スーパーセキュリティとアバスト プレミアムセキュリティを6つの切り口で比較します。
セキュリティ機能、性能、使い勝手などの観点でそれぞれの製品の違いをじっくりと確認、それぞれのソフトに適したユーザータイプを探ります。
更新料金がかからないZERO スーパーセキュリティは、総合セキュリティソフト的な内容を持ちつつコスパが上々な製品です。一方のアバストも、特別セールによりコスト圧縮に大きく貢献できる可能性があります。この辺りの事情についてもしっかりチェックしていきましょう。
【結論】ZERO スーパーセキュリティとアバストはどちらがおすすめ?
先に結論からお伝えすると、それぞれのセキュリティソフトは、以下のようにおすすめできるユーザーが異なります。
ZERO スーパーセキュリティがおすすめのユーザー
- 総合セキュリティソフトをリーズナブルな価格で利用したい方(台数が少ない場合)
- ネットワークゲームなどを遊ばない方、誤検出があっても自分で対処が出来る方
アバストがおすすめのユーザー
- たくさんのデバイスを使用している方、家族みんなのデバイスを守りたい方
- 多くのデバイスで総合セキュリティソフトらしい機能をお手頃価格で利用したい方
ZERO スーパーセキュリティとアバストの違いを6項目で比較
ZERO スーパーセキュリティとアバスト プレミアムセキュリティを、機能、使い勝手などの以下6つの観点で比較します。
- ウイルス検出能力
- セキュリティ機能
- 料金と利用可能台数
- 軽さ
- ユーザービリティ
- サポート
ウイルス検出能力
はじめに、両者のウイルス・マルウェアの検出能力を比較してみましょう。参考にするのは、第三者機関であるAV-TESTの結果です。
【ZERO スーパーセキュリティ】
Real-World Testing | reference set | |
2023/10 | 100% | 100% |
2023/9 | 100% | 100% |
2023/8 | 100% | 100% |
2023/7 | 100% | 100% |
2023/6 | 100% | 100% |
2023/5 | 100% | 100% |
※ZERO スーパーセキュリティの結果は同製品のセキュリティエンジンである「Bitdefender Internet Security」の結果を用いています
【アバスト】
Real-World Testing | reference set | |
2023/10 | 100% | 100% |
2023/9 | 100% | 100% |
2023/8 | 100% | 100% |
2023/7 | 100% | 100% |
2023/6 | 100% | 100% |
2023/5 | 100% | 100% |
※アバストの結果は同じエンジンを搭載する無料版のデータを使います。
2022年6月までの半年の評価において、どちらのソフトもとても優秀な成績を残しています。ZERO スーパーセキュリティのセキュリティエンジンであるBitdefender Internet Security、アバストとも1回だけ満点を逃しただけでした。
どちらも安心してお手元のデバイスを任せられる基本防護能力を備えていると言えます。さらに過去まで遡るとBitdefender Internet Securityが検出漏れを記録したのは実はかなり久しぶり。そういった実績を加味するとZERO スーパーセキュリティの安心感の高さは評価できます。
基本防護能力の観点でのおすすめは、ZERO スーパーセキュリティということになります。
セキュリティ機能
次に、それぞれの製品が備えるセキュリティ関連のプラスαの機能を比較してみます。
セキュリティ機能 | ZERO スーパーセキュリティ | アバスト |
パスワードマネージャー | 〇 | 〇 |
セキュアブラウザ | 〇 | ― |
バックアップ機能 | ― | ― |
独自VPN | △ (200MB/日) |
△ (アルティメットのみ) |
Webカメラ保護 | 〇 | 〇 |
ダークウェブ監視 | ― | ― |
ペアレンタルコントロール | 〇 | 〇 |
データの完全消去機能 | 〇 | 〇 |
ZERO スーパーセキュリティは、リーズナブルながら総合セキュリティソフトらしい機能を備えた製品です。アバストも総合セキュリティとしての機能を備えますが、それを上回るほどの機能を持っています。
ZERO スーパーセキュリティの特徴
更新料が0円という特徴から料金面のメリットが集まるZEROシリーズですが、ZERO スーパーセキュリティは機能面も非常に充実しています。この点は、姉妹版のZERO ウイルスセキュリティとの大きな違いです。
上記の表からも分かるように、他の総合セキュリティソフトと比べて機能面において全く見劣りしません。パスワードマネージャーもフル機能が使えますし、ネットバンキングなどで安心感が高まるセキュアブラウザ(決済ブラウザ)も搭載しています。
どんなユーザーにもおすすめできる機能を搭載した製品と言って良いでしょう。
アバスト プレミアムセキュリティの特徴
アバストも総合セキュリティソフトらしい機能を搭載した製品で、パスワードマネージャー機能やセキュアなデータの消去機能など、他のセキュリティソフトでオプションとなることが多い機能を最初から搭載しています。
ただ、ZERO スーパーセキュリティと比較すると、機能面でアバストが優れているポイントはありません。カバーする機能範囲は、ZERO スーパーセキュリティの方が広くなっています。
料金と利用可能台数
ZERO スーパーセキュリティとアバスト プレミアムセキュリティの価格と利用可能台数は、以下の通りです。
【ZERO スーパーセキュリティ】
料金(税込) | 3,900円/無制限 | 5,900円/無制限 | 8,900円/無制限 |
利用可能台数 | 1台 | 3台 | 5台 |
【アバストプレミアムセキュリティ】
料金(税込) | 2,980円/1年 4,980円/2年 4,940円/3年 |
3,980円/1年 5,980円/2年 6,740円/3年 |
利用可能台数 | 1台(Windowsのみ) | 10台 |
ZERO スーパーセキュリティは初期費用が安いだけでなく、「更新料0円」という非常に大きな強みを持っています。そのため、インストールしたデバイスを長く使うほど、セキュリティソフトの導入・維持の費用を大きく抑えられる可能性があります。
注意点は、ZEROシリーズのライセンスは最初にインストールしたデバイスにのみ紐付けられるという点です。他の端末に流用できないため、デバイス買い替え時には再度ライセンスを購入する必要があります。
一方のアバストは開催中のセールが極めて強力で、公式ネットショップで購入すると最大69%の割引が適用されます。そのため、利用台数が多い場合はコスト面でZERO スーパーセキュリティを上回る可能性があります。
3年10台版をわずか6,980円(税込)で購入できるというのは、非常に大きなインパクトがあるのではないでしょうか。
軽さ
ZERO スーパーセキュリティとアバスト プレミアムセキュリティの動作の軽さを、AV-TESTの「Performance」テストから見てみましょう。両者の結果をまとめると、以下のようになります。
【Performanceテスト結果(ハイエンドPC)】
テスト項目 | ZERO スーパーセキュリティ | アバスト |
Webサイト表示性能低下 | 16% | 19% |
アプリの性能低下 | 1% | 1% |
アプリ起動性能の低下 | 8% | 5% |
アプリのインストール性能低下 | 11% | 17% |
ファイルコピーの性能低下 | 1% | 1% |
上記の結果をみると、2023年10月時点ではZERO スーパーセキュリティとアバストの性能の傾向は非常によく似た傾向を示しています。どちらのソフトも特別苦手な項目がなく平均して良好な性能を示しています。
一般的に利用することが多いのはWebアクセスですから、この項目でわずかですが性能が良いZERO スーパーセキュリティの方が使用感が良くなる可能性があります。
AV-TESTが評価した全製品と比較しても、ZERO スーパーセキュリティの結果は非常に優秀なものです。「軽さ」の観点で選ぶなら、ZERO スーパーセキュリティとなります。
ユーザビリティ
正規のプログラムをマルウェアと判定してしまう誤検出などをチェックする「Usability」テストの結果も、確認しておきましょう。
誤検出などセキュリティソフトが招く問題が多いほど、ユーザビリティが低い=使いづらいと考えられます。
【Usabilityテスト結果(2023年10月までの半年分)】
テスト項目 | ZERO スーパーセキュリティ | アバスト |
Webサイトの誤ブロック | 0 | 0 |
正規ソフトの誤検出 | 8 | 0 |
ソフトインストール時の誤警告 | 0 | 0 |
ソフトインストール時の誤検出 | 0 | 1 |
ユーザビリティのテストでは、かなり極端な結果が出ています。
ZERO スーパーセキュリティは、他のセキュリティ製品と比較して頭二つ三つぐらい飛び抜けてこのテストを苦手にしているようなのです。
2022年6月のレポートでは誤検出がありませんが、これはどちらかというとこの月が例外。コンスタントにかなりの数の誤検出を出し続けているのです。2022年6月までの半年で、8件のエラーを記録しています。
非常に優秀な基本防護能力とは、対照的な結果と言えますね。
筆者の想像に過ぎませんが、基本防護能力を徹底的に磨き上げる代わりに、ある程度の誤検出は容認する開発方針を採っているのでは?と思えるようなテスト結果です。
対するアバストはこの半年の結果はかなり安定しており、1件の誤検出を記録するに留まりました。ただ、それ以前の期間では誤検出に関して動作が不安定な時期が続いていました。
この記事で比較している2製品はどちらも誤検出に関して不安定な動作を示しますので、この点に優れた製品を必要としているユーザーは、ESETやカスペルスキーを検討してみてください。
今回の2製品から選ぶなら、ユーザビリティの観点ではアバストに軍配が上がります。
ちなみに、誤検出が出ても「例外設定」を行なうことで多くのケースはカバー可能です。その対応をマスターしているユーザーであれば、ZERO スーパーセキュリティをどんな環境でも運用できるでしょう。ただし、例外設定を行うと、どんなセキュリティソフトでもトータルのセキュリティレベルが少し低下します。その点は、頭の隅に置いておいてください。
サポート
ZERO スーパーセキュリティとアバスト、それぞれのサポート内容は、以下の通りです。
ZERO スーパーセキュリティ | アバスト |
・電話(10時~18時) ・メール(24時間) |
・電話(9時~19時) ・チャット ・メール(24時間) |
ZERO スーパーセキュリティのサポート窓口は、電話とメールの2つ。リアルタイム応答が可能なのは、電話のみになります。
これに対し、アバストにはチャットサポートのチャンネルが用意されています。他に電話、メールもカバーしており、電話対応可能な時間帯もZERO スーパーセキュリティより長く取られています。
メールによる対応には「ユーザーが都合の良い時間に好きなタイミングで応答を返せる」問うメリットがありますが、発生している現象をキチンと理解して説明するスキルを持ったユーザー向けという印象です。
そういった手順になれていないユーザーには、リアルタイム応答が可能な電話やリアルタイムチャットによるサポートの方が使いやすいのではないでしょうか。
その点、アバストにはリアルタイムで応答可能な窓口が2つ用意されており、サポートは充実していると言えるでしょう。
さらに手厚いサポートが必要なユーザーは、ウイルスバスターもチェックしてみてください。
ZERO スーパーセキュリティとアバストおすすめはどっち?
ZERO スーパーセキュリティ、アバスト プレミアムセキュリティともに総合セキュリティソフトと言える中身を持つ製品です。
ZERO スーパーセキュリティ | アバスト | |
ウイルス検出能力 | ◎ | 〇 |
セキュリティ機能 | ◎ | 〇 |
料金と利用可能台数 | 〇 | ◎ |
軽さ | 〇 | △ |
ユーザビリティ | × | △ |
サポート | △ | 〇 |
アバストのセール価格も含めて考えると、どちらも総合セキュリティ機能を非常にリーズナブルな価格で利用できる魅力的な製品にまとまっています。
機能面では、ZERO スーパーセキュリティがやや有利。
コスト面は、利用する台数により軍配がどちらに上がるかが変わりそうです。
ユーザビリティについては、ZERO スーパーセキュリティがある程度割り切った作りをしているように感じられ、アバストの方が上を行っています。
これらの特徴を踏まえ、それぞれのソフトがマッチするユーザータイプをまとめます。
ZERO スーパーセキュリティがおすすめの方
ZERO スーパーセキュリティは、総合セキュリティソフトを低コストで導入・運用できる製品です。導入後の追加コストが不要な「更新料0円」という、非常に強力な特徴があります。
機能面、コスト面において非常に魅力的な製品ですが、ユーザビリティには少し難があります。例えば、アンチチートプログラムを組み込んだネットワークゲームなどをプレイするユーザーは、運用する際に気をつける必要があるでしょう。
コストパフォーマンスで考えると、ZERO スーパーセキュリティは1台のデバイスを長く使い続ける個人ユーザー向けで、個人ユーザーの中でも使用しているデバイスの数が少ない方が適しています。
アバストがおすすめの方
ZERO スーパーセキュリティと比較すると、機能面においてアバストのアドバンテージはありません。しかし、一般的なセキュリティ機能はカバーしており、多くのユーザーが問題なく利用できるようになっています。
アバストも誤検出に関しては特別優れている訳ではないのですが、対ZERO スーパーセキュリティで考えるとかなりのリードがあります。この点を意識する方は、アバストを選ぶと良いでしょう。
料金面においても、アバストのセール価格は非常に魅力的です。利用可能台数が増えるほど、更新料まで含めたトータルコストで比較してもZERO スーパーセキュリティより割安となる可能性が高いです。
そういった意味では、アバストは一人で何台もデバイスを利用しているヘビーユーザーや、家族が多いユーザー向けと言えるでしょう。
セキュリティソフト乗り換え時の手順
ライセンスを更新して同じセキュリティソフトを使い続ける際は特に注意は必要ありませんが、セキュリティソフトを変更する際は注意が必要です。
具体的には、新しいセキュリティソフトをインストールする前に、以前使っていた製品のアンインストールをしておきましょう。アンインストールをせずに新しいセキュリティソフトをインストールしてしまうと、干渉しあって動作が重くなる、削除しあって不具合が起こるといった問題が生じてしまうからです。
新規でセキュリティソフトを導入するのではなく、今のセキュリティソフトから乗り換えを行う際は、必ずそれまでのソフトをアンインストールしてから新しいソフトをインストールするようにしましょう。
まとめ
今回の2製品は、使い方次第でどちらも「コスパ最強」を実現しうる製品になっています。
ZERO スーパーセキュリティ | アバスト | |
ウイルス検出能力 | ◎ | 〇 |
セキュリティ機能 | ◎ | 〇 |
料金と利用可能台数 | 〇 | ◎ |
軽さ | 〇 | △ |
ユーザビリティ | × | △ |
サポート | △ | 〇 |
基本防護能力、セキュリティ機能の幅広さではZERO スーパーセキュリティが少し上を行きます。一方、アバストは誤検出が少なめの安定した動作、と言う点でZERO スーパーセキュリティを上回っています。
コスト面については、インストールする台数が少なければZERO、台数が増えて10台に近づくとアバストに強みがあります。
最後に、それぞれのソフトがどんなユーザーにおすすめかという点を簡単にまとめておきますので、ご自身のニーズに合った方を選んでください。
ZERO スーパーセキュリティがおすすめのユーザー
- 総合セキュリティソフトをリーズナブルな価格で利用したい方(台数が少ない場合)
- ネットワークゲームなどを遊ばない方、誤検出があっても自分で対処が出来る方
アバストがおすすめのユーザー
- たくさんのデバイスを使用している方、家族みんなのデバイスを守りたい方
- 多くのデバイスで総合セキュリティソフトらしい機能をお手頃価格で利用したい方
より幅広い防護機能が欲しい方は、「オールインワン」なノートン 360も検討してみてください。また、より誤検出が少ない安定した動作を求める方はESETやカスペルスキーがおすすめです。