「パソコンのパスワードを忘れてしまった」
「誤ってロックされてしまった」
そういった場合に自力でパスワードの強制解除を試みることもできますが、慎重に検討する必要があります。

自力で行う解除方法はデータ消失のリスクや、再びアクセスできなくなるリスクがあり、場合によってはパソコン自体のロックがさらに強固になることも考えられるからです。
本記事では、パソコンのパスワード強制解除のリスクと安全な解除方法、さらには専門業者に依頼する際のポイントについて詳しく解説します。
パソコンのパスワード解除を自力で行う前に知っておきたいリスク
自力で行うパスワード解除には、以下のようなリスクが伴います。OSやセキュリティ設定によっては解除操作が正常に進まないことがあり、慎重な判断が必要です。
- データが消失する可能性がある
- セキュリティロックが強化される可能性がある
- 専門知識が必要
データ消失のリスク
解除手順によっては、パソコン内のデータが消えてしまうことがあります。
特に、初期化操作を行うケースやパスワード解除専用のツールでエラーが発生しているケースにおいては、重要なファイルやドキュメントが完全に失われてしまうリスクがあるため、注意が必要です。
セキュリティロックが強化されるリスク
セキュリティ対策が施されたパソコンでは特定の不正アクセス対策が働くため、誤った操作が続くとパソコンそのものにロックがかかってしまう場合があります。
この状態になると正規のパスワードでも解除できくなるため、最悪の場合は修理に出す必要が生じます。
専門知識が必要
パスワードの解除にはコマンドプロンプトやBIOS設定の変更といった手順が必要になることが多く、操作を誤るとパソコンの起動に影響が出るリスクがあります。
初心者や技術に自信がない方が作業をすると誤操作によるデータ破損の恐れも伴うため、専門知識を持っていない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
パソコンのパスワードを強制解除する方法
パソコンのパスワードを強制解除する方法はいくつかありますが、利用できる方法はOSのバージョンやセキュリティ設定、または管理者権限の有無により異なります。

下記に代表的な手順をご紹介しますので、ご自身で作業される場合は慎重に実行してください。
- 専用ソフトウェアを使用してパスワードを解除する方法
- コマンドプロンプトを使用してパスワードを解除する方法
- Windows設定からパスワードを解除する方法
- パソコンを初期化してパスワードを解除する方法
専用ソフトウェアを使用してパスワードを解除する方法
専用のソフトウェアを使用することで、比較的安全かつデータを保持したままパスワードを解除することが可能です。
この方法はWindowsのパスワード解除に有効であり、以下のような手順で行います。
代表的なソフトウェア3選
代表的な専用ソフトウェアとしては、以下のようなものがあります。
ソフトウェア | 特長 |
---|---|
PassFab 4WinKey | USBまたはDVDにパスワード解除用のメディアを作成し、ロックされたPCで起動 |
Ophcrack | Windowsのパスワードを復元できるオープンソースのツールで、無料 |
PCUnlocker | Windowsに特化したパスワード解除ソフトで、ロック解除や管理者権限の付与が可能 |
これらのツールを利用してパスワードを解除する方法は、「パスワードを忘れた場合」や「ロック解除が必要な場合」に効果的です。

ロック解除後は、セキュリティのため新しいパスワードを再設定しておきましょう。
コマンドプロンプトを使用してパスワードを解除する方法
Windowsでは、コマンドプロンプトを使用してパスワードを変更する方法も選択できます。この方法には管理者権限が必要ですが、以下の手順で実行可能です。
- 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
通常、スタートメニューから「コマンドプロンプト」を右クリックし「管理者として実行」を選択します。 - コマンドを入力する
以下のコマンドを入力して、パスワードを変更します。plaintext
net user ユーザー名 新しいパスワード- ユーザー名:ロックを解除したいアカウントのユーザー名を入力
– 新しいパスワード:設定したい新しいパスワードを入力 - Enterキーを押して確定する
マンドが成功すると、パスワードの変更が完了します。再度ログインを試みてください。
注意点

この方法は管理者権限が必要なため、通常のユーザー権限では実行できません。
また、複雑なパスワードを設定するなど、解除後はセキュリティの強化を図りましょう。
Windows設定からパスワードを解除する方法
現在のパスワードを覚えている場合に限り、Windowsの設定画面からパスワードを解除できます。この方法は、再度パスワードを入力しなくても済む簡単な手法です。
- Ctrl + Alt + Del キーを同時に押す
すると、画面にオプションが表示されます。 - 「パスワードの変更」をクリック
新しいパスワードを入力する画面が開きます。 - 新しいパスワード欄を空白のままにする
現在のパスワードだけを入力し、新しいパスワード欄は空白にしてEnterキーを押します。 - Enterキーを押して確定する
これでパスワードが解除され、次回からパスワードを入力せずにログインできるようになります。
注意点

この手順はパスワード保護の解除を伴うため、データの保護に注意が必要です。
設定後は、再びパスワードを設定するか、他の認証方法を有効にすることをお勧めします。
パソコンを初期化してパスワードを解除する方法
ここまでご紹介した方法が実行できない場合、最終手段としてパソコンを初期化する方法もあります。この方法はすべてのデータが失われるため非常にリスクが高いですが、確実にパスワードを解除できます。
- サインイン画面でShiftキーを押しながら「再起動」をクリック
これにより、Windowsの回復オプションが起動します。 - 「トラブルシューティング」を選択し、「このPCを初期状態に戻す」をクリック
- 「すべて削除する」を選択
データを完全に削除して初期化する方法を選択します。以降の手順に従ってパソコンを初期化します。 - 初期化完了後、再設定を行う
初期化が完了したら、新しいアカウント情報を設定します。
注意点

初期化を行うとすべてのデータが消去されるため、事前にデータのバックアップがない場合は注意が必要です。
この方法は、最終手段として利用するようにしましょう。
パスワード解除ソフトを利用する際の注意点
前述したように、パスワード解除には「データの消失」「パソコンのセキュリティ低下」というリスクが伴います。
そういったリスクを少しでも減らすために、ソフトウェアを使用する際は以下の点に注意してください。
正規のソフトウェアを使用する
怪しいサイトからダウンロードするソフトウェアには、マルウェアが含まれている場合があります。
必ず、信頼できる提供元から入手するようにしましょう。この記事でご紹介したPassFabやPCUnlockerなども、公式サイトからのダウンロードを推奨します。
解除後はセキュリティを強化する
パスワードの解除が成功したら、それとセットでセキュリティの強化も実施してください。
具体的には、すぐに新しいパスワードを設定するか、多要素認証(MFA)の有効化がおすすめです。
パソコンのパスワード解除は専門業者への依頼が安心
上記の様なリスクを考慮すると、パスワードの解除は専門業者に依頼した方が安心です。

特に、企業のパソコンでにロックがかかり、社内に専門知識を持った人材がいない場合は、専門業者の利用を強くおすすめします。
フォレンジック調査業者に依頼するメリット
専門のフォレンジック調査業者に依頼することで、以下のようなメリットを得られます。
データ損失を防ぎつつ安全に解除できる
フォレンジック調査の技術には「パスワード解除」も含まれているため、専門業者は「データを保護しながら安全にパスワードを解除する技術と知識」を持っています。
解除過程でのデータ損失リスクが大幅に軽減されるため、特に重要なデータが保存されたパソコンがロックされてしまった場合は、依頼を検討すると良いでしょう。
セキュリティポリシーに配慮した対応ができる
企業でのパスワード解除においては、セキュリティポリシーや個人情報保護法などの法的要件を考慮しながら作業を進めることが重要です。
その点、フォレンジック調査業者に依頼すればデータ保護や法的遵守に基づいた手法で作業を行ってくれるため、組織のコンプライアンスに反しない形でのパスワード解除が可能です。
おすすめフォレンジック調査会社
フォレンジック調査を依頼するなら、デジタルデータフォレンジックがおすすめです。
サイバー攻撃やマルウェア感染調査、情報漏洩の調査の専門業者で、過去の相談件数は3.9万件以上。全国の捜査機関にも捜査協力を行うなど、豊富な実績があります。
システムのセキュリティや証拠保全の観点からも、安心して調査とパスワード解除を依頼できますよ。

24時間365日、無料相談を受け付けていますので、インシデントが発生した際は相談してみてください。もちろん、公的機関に提出可能な作業報告書(調査レポート)も作成してくれます。
まとめ
この記事でご紹介した手順を実行すれば、自力でもパソコンのパスワード解除は可能です。
しかし、自力での解除にはそれなりのリスクも伴います。

ロックされたパソコンに保存されている情報の重要度合いに応じて、専門業者への依頼も検討してみてください。