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3 藤田行生の経済先読み

"進展なし"の「米ロ停戦協議」が為替市場に与えた影響と今後の見通し

AUG. 21, 2025 17:30
Text : 藤田行生
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Contents

2025年8月、国際情勢は大きく動きました。特に、米中間の関税交渉と米国・ロシア間のウクライナ停戦協議は、市場にビッグウェーブを起こす可能性があり注目されました。これらの出来事は、私たちの生活にも影響を与える物価や通貨の動きに直結しています。本稿では、8月の主要な国際ニュースが為替相場にどう影響したのか、そして今後どうなるのかをわかりやすく解説します。

1.米中「関税戦争の休戦」の延長と市場の反応

2025年8月、米中間の貿易摩擦をめぐる交渉が注目を集めました。米国は4月に中国からの輸入品に最大145%の関税を課す「解放の日」政策を打ち出し、対抗して中国も米国製品に125%の報復関税を課しました。しかし、8月12日のストックホルムでの協議で、両国は90日間の「関税戦争休戦」延長に合意。このニュースは市場に一時的な安心感をもたらし、為替相場にも影響を与えました。

為替相場への影響

関税戦争休戦の延長により、米ドルに対する人民元のレートは安定しました。8月初旬に1ドル=7.20元付近だったUSD/CNYは、合意後7.15~7.18元で推移するなど、人民元がやや上昇。この動きは、投資家のリスク回避姿勢が和らいだ「リスクオン」環境を反映しています。また、ドル円相場も一時147円台まで円買いドル売りが進みました。

今後の見通し

米中交渉は、残りの猶予期間が次の焦点です。もし交渉が決裂し、関税が再び引き上げられれば、人民元安やドル高が加速する可能性があります。AIチップやレアアース輸出規制をめぐる対立が解決しない場合、市場は不安定になり、為替も大きく揺れる可能性があります。 逆に、恒久的な貿易協定が締結されれば、アジア通貨全体の安定や円安圧力の緩和が期待されます。消費者としては、物価上昇リスクへの備えが重要です。

2.米ロ停戦協議:ウクライナ問題と市場の動き

8月15日、米国とロシアはアラスカでウクライナ停戦をめぐる首脳会談を行いました。トランプ大統領とプーチン大統領が直接対話したこの会談では、停戦の枠組みや領土交換の可能性が話し合われたと伝えられています。この会談は、3年にわたるウクライナ紛争の転換点として引き続き注目されています。市場は停戦による地政学的リスクの低下を期待していましたが、具体的な成果はまだ見えていません。

為替相場への影響

停戦協議への期待は「リスクオン」ムードを後押しし、米ドルに対してユーロやポンドが上昇しました。EUR/USDは1.17台、GBP/USDは1.35台で堅調に推移。この動きは、ウクライナ紛争に伴うエネルギー価格の高騰懸念が期待先行で和らいだことも要因と考えられます。特に、ブレント原油価格が7月の73ドルから65ドル台に下落したことで、円安圧力も緩和されました。

今後の見通し

停戦が実現し、ロシアへの制裁が一部解除されれば、原油や天然ガスの供給増加によってエネルギー価格がさらに下落する可能性があります。その場合、ユーロや円が強含む一方で、ドル高圧力は弱まるかもしれません。しかし、協議が決裂すれば地政学的リスクが再燃し、原油価格の上昇や「有事のドル買い」が強まるリスクもあります。 投資家は停戦の進展とエネルギー価格の動向を注視する必要があります。

3. 日本経済と円安の影響

米中や米ロの動向は、日本経済にも直接的な影響を与えています。米中の関税休戦や米ロ停戦協議によるリスクオン環境は円安を一時的に抑制しましたが、米国の金融政策や地政学的リスクの影響で、ドル円は依然として147円台中盤で推移しています(8月18日現在)。

為替相場への影響

円安は日本の輸出企業には追い風ですが、輸入コストの上昇を通じて生活コストを押し上げています。ガソリンや食料品の価格上昇は家計への負担となっています。日銀は7月の会合で将来の追加利上げの方向性は示しましたが、関税問題や国際情勢の不確実性から慎重な姿勢を維持しており、円安を抑える力は限定的です。

今後の見通し

日銀が2025年10月に利上げを実施する可能性が報じられていますが、米中・米ロの動向次第では円安がさらに進むリスクがあります。停戦協議や関税交渉が進展すれば円安圧力は和らぐかもしれませんが、逆に紛争や貿易摩擦が再燃すれば円安が加速するでしょう。消費者には、物価上昇に備えた節約や為替リスクを考慮した資産運用が求められます。

4. グローバル市場と今後の注目ポイント

米中・米ロの動向は、新興国通貨やグローバル市場にも影響を与えています。米中の関税休戦によりインドやメキシコなどの通貨は安定傾向にありますが、米ロ停戦協議の不透明感から、原油価格に敏感な新興国通貨には下落圧力がかかっています。

為替相場への影響

停戦協議による原油価格の下落は、エネルギー輸入国の通貨を下支えしましたが、米ドル高傾向は新興国通貨全体に圧力を与えています。

今後の見通し

米中交渉や米ロ停戦協議の進展は、グローバル市場の安定に直結します。停戦が実現し関税が緩和されれば、新興国通貨やユーロ、円が強含む可能性があります。一方で、交渉の決裂や地政学的リスクの再燃は、ドル高や原油価格の上昇を招き、新興国経済に打撃を与えるでしょう。

まとめ:不確実な時代を賢く未来に備える

2025年8月の米中関税交渉と米ロ停戦協議は、為替相場に大きな影響を与えました。関税休戦の延長は人民元や円の安定を支え、停戦協議の進展はユーロやポンドの上昇を後押ししました。しかし、両交渉の先行きに不透明感がある中、為替相場は今後も変動しやすい状況が続きます。

これらの動きは私たちの生活にも直結します。円安による物価上昇は食料品やエネルギー価格を通じて家計に響きます。投資家は為替や原油価格の動向を注視し、柔軟な戦略を立てる必要があります。消費者としては、物価上昇に備えた家計の見直しや節約術を取り入れることが大切です。国際ニュースは遠い話ではなく、私たちの「今」に直結する話題です。最新情報をチェックし、賢く未来に備えましょう!


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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