現代人は仕事もプライベートも多忙――それでも、英語学習やMBA、資格取得、投資、フィットネスなど、新しい挑戦に踏み出す人は少なくありません。
ただ、そんな挑戦の前に立ちはだかる最大の壁は、昔も今も変わらず――「続かないこと」。
そして、よく聞く理由は決まってこうです。
「時間がないから」
しかし実際には、時間がないのではなく、時間を設計できていないだけであることがほとんど。
同じように多忙でも続けられる人がいるのはなぜでしょうか?
その違いは、時間をどう切り出し、どう使うかにあります。
「時間がない」は思い込み
英語の勉強時間を確保できるかどうかは、突き詰めれば1日のリソース配分の問題です。
YouTubeなどの娯楽時間を学習に置き換えるのは典型例ですが、他にも、移動中・待機中・会議前の5分といった「意識しなければ消えてしまう時間」は日常にたくさん散らばっています。
そこを「英語に充てる」と決めるだけで、1カ月で数時間から数十時間の学習時間を生み出すことができるんです。
まずは24時間を分解し、自分の隙間時間を“見える化”することから始めてみましょう。
隙間時間の積み重ねが、確かな成果を生む
「隙間時間を細切れに学習して、本当に意味があるのだろうか?」と不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、脳科学の研究では、人間がしっかり集中できるのは15分程度と言われています。さらに、東京大学・池谷教授の研究でも、まとめて1時間学習するよりも、15分×3回=45分の学習の方が記憶の定着率が高いという結果が報告されています。
つまり、「短時間の積み重ね」でも、十分に学習効果を生み出せるということです。
<隙間時間でつくる1日60分の学習例>
1日のちょっとした隙間を積み上げるだけで――1日60分、1カ月で30時間の英語学習時間を確保することができます。
- 朝の通勤中(20分):ニュースやポッドキャストをリスニング
- 昼休み(10分):朝聞いた内容をシャドーイング
- 会議と会議の間(10分):単語アプリで5個だけ覚える
- 夜の通勤中(20分):その日インプットした内容を復習
「事前に決める」だけで学習が続く理由
人は1日に数千回もの意思決定をしていると言われます。
たとえば――
- どの服を着るか
- 何時に家を出るか
- どこに座るか
- 仕事後に飲みに行くか …etc.
こうした小さな選択の積み重ねが「選択疲れ」や「決断回避」を生み、結果として「やらない」ことにつながります。
だからこそ、解決策はシンプル。
「いつ・どこで・何をやるか」をあらかじめ決めておくことが重要です。
余計な判断を減らせば、脳のエネルギーを消耗せずに済み、その分を学習に集中して使うことが可能になります。
1日のスケジュール例 (家族あり、フルタイムの場合)
どの学習をするかだけでなく、「どの範囲を、何回繰り返すのか」というところまで事前に細かく決めておくことで、余計な判断を減らし、学習の実行率をぐっと高めることができます。
上記のスケジュールで、1日3時間の英語学習時間を確保することができます!
やる気に頼らない! 学習を継続するコツ
「机に向かって30分しっかりやろう」と思っても、仕事や家事に追われて気づけば夜。
「今日もできなかった…」と後悔してしまう――そんな経験はありませんか?
続けられる人は始めるハードルを極限まで下げているのが特徴です。
例えば、
- 英語アプリを開いて 1フレーズだけ 音読する
- シャドーイングを 1回だけ やってみる
たった30秒で終わるレベルまで行動を小さくすれば、とにかく「取りかかる」ことができ、そして一度動き出せば、本当に1フレーズでやめる人はほとんどいません。そうすることで、自然と学習時間は少しずつ伸びていきます。
さらに効果的なのは、日常の行動とセットにすることです。
- 歯を磨いたら、1フレーズ音読
- 通勤で電車に乗ったら、前日の単語を復習
- コーヒーを淹れたら、シャドーイング
のように決めてしまう。
すでに習慣化している既存の行動をきっかけに学習を“ひも付け”すれば、やる気や気分に左右されずに継続することができるんです。
人の「気合」や「やる気」には波があります。だからこそ、学習を続けられる人は行動のトリガーを仕組み化し、日常の中にうまく学習を取り入れています。
朝10分ルール — 小さな習慣が成果を生む
多くのビジネスパーソンが口を揃えて言うのは、「やっぱり朝」。
朝は集中力が高く、邪魔も入りにくいゴールデンタイムです。
このうちのわずか10分を英語学習に充てるだけで、1カ月後には5時間の学習時間に積み上がります。
取り組む内容は、「前日の単語を復習する」などちょっとしたものでOK。
大切なのは「毎朝必ずやる」とルール化すること。
小さな達成感が毎日の自信となり、やがて学習は“やめられない習慣”へと変わっていきます。
環境を整えて"ゼロ日"をなくす
ハードルを下げる、きっかけを作る、朝を活用する……。
どんなに工夫しても、それでも人は無意識に「やらない理由」を探してしまうものです。
だからこそ、先に学習環境を整えておくことも大切。
例えば、
- イヤホンを常に持ち歩く
- デスクに教材を置きっぱなしにする
- スマホのホーム画面の1番タッチしやすい位置に学習アプリを配置する
こうして「すぐに始められる環境」を用意しておくことで、意志の力に頼らず、学習が日常の一部として自然に回り始めるようになります!
英語学習で成果を出すカギは「正しい方法 × 継続」
忙しい社会人でも英語を続けられる人は、特別な才能があるわけではありません。
違いは、自分に合った仕組みをつくり、それを淡々と回しているかどうかです。
<今回のまとめ>
- 時間は設計できる —— 隙間時間や朝の10分を活用すれば、月数十時間を捻出できる
- 事前に決めて仕組み化する —— 学習計画や環境を整えれば実行率が上がる
- ハードルを下げて始めやすくする —— 小さな一歩が継続の原動力になる
これまで5回にわたってお届けしてきた本連載。
一貫してお伝えしてきたのは、英語学習で重要なのは、
「正しい方法を、継続できる形でやること」ということです。
英語力は短期の追い込みではなく、日々の積み重ねによってしか育ちません。
そして、今日始める小さな一歩が、1年後・3年後に大きな差となって現れます。
皆さまの学習が確かな成果につながることを、心から願っています!


