ハイブランドは、多くの人に愛される名品を持っています。それぞれのブランドのこだわりや技術、センスが詰まった奥深い世界には魅力がたっぷりです。本連載では、『教養としてのハイブランド』(彩図社)で話題のとあるショップのてんちょう氏が、毎月選りすぐりのアイテムを語っていきます。
第十回目の名品語り、今回紹介するのはグッチの3連リングです。
長く覇権を握ったストリートの流行の影響でいわゆる「ロゴドン」に代表されるようなスタイルがハイブランドの世界でも隆盛していたのは、記憶に新しい人も多いでしょう。
その後2023秋冬頃から、ストリートムーブメントの終焉と共に、新たに「クワイエットラグジュアリー」というワードが台頭。
控え目な上質さとエレガンスを求めるスタイルが、今後のモードの覇権を握っていく…。 のかと思いきや、束の間の流行で終わってしまいました。
現在のファッションピープルたちの気分を、誤解を恐れずにあえて簡潔に言い表すなら
「ロゴドンのようにブランドを見せつけすぎるのは下品だけれど、ブランドが隠れすぎていても物足りない」
そんな感じじゃないでしょうか。
今回は、そんな今のファッション情勢において、個人的に「気分が合うな」と思うリングを紹介します。
簡単にブランドの紹介をしましょう。
グッチは1921年に創業したイタリアのブランドです。
創業者はグッチオ・グッチという人物。ブランドのアイコンであるGGロゴや、緑・赤・緑で構成されたストライプ柄、シェリーラインをご存じの方は多い事でしょう。
世界的に有名な高級ファッションブランドですね。
今回紹介するのは、グッチの多角形の3連リング。
素材はシルバー925で、3つのリングはそれぞれ太さや形が異なるのが特徴。良い意味でハイブランドらしくない、インダストリアルな雰囲気が魅力です。
実はこのリング、購入したのは随分前のもので、決して最新のアイテムではありません。 最近になってまた、身につけたい気分になったんです。
ハイブランドの3連リングといえば、マルジェラのリングを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、今回紹介するこちらはそれと比べるとややマイナーな存在。
「これぞグッチ!」といった主張の強いデザインもないため、「私、ブランドものをつけてます」といったこれ見よがしな印象もありません。
それでいて、一般的なリングとは一線を画す独特のフォルムをしているので、決して“普通すぎる”こともない。
なんと言いますか、丁度かゆいところに手が届くような、絶妙なバランス感が良いなと思っています。
たとえ最新のアイテムではなく、古いものであろうとも、たとえ高価なアイテムではなく、使わない時期があろうとも、なんとなくずっと、自分のワードローブに残り続けているモノ。
そんなところにきっと、自分にとって唯一の“名品”があるのかもしれません。
あなたの家にも、そんな名品があったりしませんか?





