2026年7月に始まったJALとMarriott Bonvoyの新たな連携。世界では、航空会社の上級会員資格をホテル側へつなげるだけでなく、ポイントやマイルを相互に交換したり、飛行機とホテルの利用で両方のポイントを同時に獲得できたりする仕組みが広がっている。2026年8月時点で注目したい事例をまとめてみた。
Marriott Bonvoyは、ユナイテッド航空やエア・カナダとも提携
Marriott Bonvoyは、JAL以外にも複数の航空会社とロイヤルティ連携を構築している。代表的なのが、ユナイテッド航空のMileagePlusとの提携プログラム「RewardsPlus」だ。
MileagePlusのPremier Gold以上の会員は、Marriott Bonvoy Gold Eliteを無料で取得できる。逆にMarriott BonvoyのTitanium Elite以上なら、United MileagePlus Premier Silverを無料で取得可能だ。
Marriott BonvoyのGold Eliteになると、対象ホテルでの客室アップグレードや午後2時までのレイトチェックアウト、宿泊時の25%ボーナスポイントなど、ホテルの上級会員特典を受けられる。一方、United Premier Silverはチェックインや搭乗時の優先サービスなど、航空会社側の特典がつく。
さらに、ポイントとマイルの交換にも特典がある。United MileagePlusのPremier Silver以上は、MileagePlusの特典マイルをMarriott Bonvoyポイントへ1対1で交換できる。反対にMarriott BonvoyポイントをUnitedマイルへ移す場合、10%のボーナスに加えて、6万ポイントを移行するごとに1万マイルのボーナスが付く。
1点注意したいのが、ユナイテッド航空の「Status Match Challenge」で一時的にPremier Gold以上を取得した人は、Marriott Bonvoy Goldの無償付与対象外であることだ。Marriott側でも「Taste of Elite」で一時的にTitanium以上となった場合はUnited Premier Silverの対象外となる。
エア・カナダのAeroplanとも、Marriott Bonvoyは相互のステータス連携を行っている。Aeroplan 50K、75K、Super Elite会員にはMarriott Bonvoy Gold Eliteを付与。逆にMarriott Bonvoy Titanium、Ambassador Elite会員にはAeroplan 25Kが付与される。
しかも、一度連携すれば、対象ステータスを維持している限り再登録なしで特典を継続できるのも特徴だ。「航空会社の上級会員→ホテルの上級会員」だけでなく、「ホテルの上級会員→航空会社の上級会員」という双方向の設計は、JAL×Marriottとよく似ている。
IHGはANAと2026年10月から包括的連携をスタート
日本市場で今後、注目度が高まりそうなのが2026年10月以降に提供開始予定のANAとIHG Hotels & Resortsの「包括的ロイヤルティ・パートナーシップ」だ。
ANAマイレージクラブ(AMC)の「ダイヤモンド+More」「ダイヤモンド」「プラチナ」「ブロンズ」に対し、それぞれIHG One Rewardsの「Diamond Elite」「Platinum Elite」「Gold Elite」「Silver Elite」が付与される。ANAの上級会員がIHGホテルに泊まる際、客室アップグレードやレイトチェックアウトなどの優待を受けられるようになるわけだ。なお、Diamond EliteとPlatinum Eliteの獲得には最低2泊の宿泊実績が必要となる。
さらに興味深いのがダブルディップ、いわばポイントとマイルの二重取りだ。対象となる海外発旅程のANA国際線、かつANA便名・ANA運航便を利用した場合、通常のANAマイルに加えてIHG One Rewardsポイントも獲得できるようになる。アカウントを連携すれば、1回のフライトで航空会社とホテル、両方のロイヤルティを同時に積み上げられるというものだ。
さらにANAマイルとIHG One Rewardsポイントの相互交換もできる。これまで存在していた「IHGポイント→ANAマイル」に加え、新たに「ANAマイル→IHGポイント」も交換できる予定だ。
アコーはカンタス、エールフランス-KLM、カタール航空などと提携
海外に目を向けると、「ラッフルズホテル」や「フェアモント」を有するアコーのロイヤルティプログラム「ALL - Accor Live Limitless(ALL)」は、様々な航空会社と提携を進めている。
例えば、オーストラリアが拠点のカンタス航空「Qantas Frequent Flyer」との提携もその一つ。アジア太平洋地域の対象Accorホテルで宿泊した際、通常のALL Reward pointsに加えてQantas Pointsも獲得できる。さらにカンタス航空の対象便では、一定の会員資格を持つ人が両方のポイントを獲得できる仕組みだ。
さらにQantas Frequent Flyer Gold以上、およびPoints Club Plus会員は、アコーで1回目の対象宿泊後にALL Silverへ到達できる。Points Club会員も2回の2泊滞在でSilverへ到達する。しかもALL Reward pointsはQantas Pointsへ交換でき、2,000 ALL Reward pointsが2,500 Qantas Pointsになる。
エールフランス-KLMの「Flying Blue」とアコーは、ステータスそのものを直接交換するというより、「飛ぶ」「泊まる」という行動を両方のロイヤルティに反映させるタイプだ。
ALLとFlying Blueのアカウントを連携すると、対象となるアコーホテルへの宿泊では、通常のALL Reward pointsに加えて1ユーロの利用につき1 Flying Blueマイルを獲得できる。一方、エールフランス、KLMの対象便では、通常のFlying Blueマイルに加えて、2ユーロの利用につき1 ALL Reward pointが付与される。つまり、ホテルに泊まってマイルを貯め、飛行機に乗ってホテルポイントを貯める「相互ダブルディップ」の仕組みだ。
さらにユニークなのが、両方のプログラムのステータス進捗を同時に後押しする「ステータス・ブースト」。初めて対象となる宿泊またはフライトを利用すると、Flying Blue側で最大10XP、ALL側で2 Status Nightsが付与される。1回の利用だけで両プログラムのステータス獲得に近づけるのだ。
また、ポイントの相互交換にも対応。Flying Blueマイルは4,000マイル→1,000 ALL Reward points、ALL Reward pointsは2,000ポイント→2,000 Flying Blueマイルという交換レートが設定されている。
さらにALLは、カタール航空のPrivilege Clubともクロスリワードを展開。Privilege ClubのPlatinum会員はALL Gold、Gold会員はALL Silverへ、それぞれ最初の対象宿泊後に到達するルートが用意されている。反対にALL Diamond以上はQatar AirwaysのGold、ALL PlatinumならGold、ALL GoldならSilverへのFast Trackを利用できる。
さらにALL Reward pointsをAviosへ、AviosをALL Reward pointsへ相互交換できる。2,000 Reward points=1,500 Avios、3,500 Avios=1,000 Reward pointsというレートだ。
【番外編】JALはHoteLuxとも連携。航空のステータスを高級ホテル予約へ
JALには、Marriott Bonvoyとは少し性格の異なる事例もある。2025年2月に始まったのが、会員制高級ホテル予約アプリ「HoteLux」とのステータスマッチだ。JAL Life StatusプログラムのStarグレード会員が対象で、JAL側のステータスに応じてHoteLuxのEliteなどを利用できる。
JGC Three Star以上なら、通常年会費349ドルのHoteLux Elite、さらに上位のJGC Five Star、Six Starでは通常年会費499ドルのElite Plusが永年無料で付与される。Starグレードに応じて年間5,000~2万5,000円分のホテルクーポンが付く。
HoteLuxは、Marriott BonvoyやIHG One Rewardsのようなホテルチェーンの共通ロイヤルティプログラムではない。世界各地の高級ホテルを予約できる会員制サービスで、対象ホテルでは朝食無料、ホテルクレジット、客室アップグレードなどの特典を受けられる。
さらに2025年11月からは、HoteLuxポイントからJALマイルへの交換もスタートした。Eliteは1ポイント=4マイル、Elite Plusは1ポイント=5マイル、1A Clubは1ポイント=6マイルというレートで交換できる。
Marriottのような本格的な相互ステータス連携とは異なるものの、ホテルブランドにかかわらず、航空会社側で築いたロイヤルティを活かして、様々な高級ホテルに宿泊したい人にはぴったりのサービスだ。
「ステータスマッチ」「ステータスチャレンジ」「相互特典」は何が違う?
ここまで似た言葉が登場したが、制度上は明確な違いがある。
- ステータスマッチ
すでに持っている他社の上級会員資格を証明し、一定の条件で相手側のステータスを取得する仕組み。JAL×HoteLuxなどが代表例だ。
- ステータスチャレンジ
他社のステータスなどを起点に一定期間だけ優遇資格を受け、その間に所定の宿泊数や利用実績を達成すれば本格的な上級会員資格を獲得できる仕組み。JAL×Marriottの「6カ月以内に10泊でGold」「10泊でPlatinum」といった仕組みがこれに当たる。
- 相互特典、ステータス連携
両サービスを結び付けることで、双方の会員がもう一方のサービスでも特典を得られる仕組み。Marriott×UnitedやMarriott×Air Canadaは、その典型だ。
この違いを理解すると、現在のロイヤルティプログラムが単純な「ステータスマッチ」から、より複雑な連携へ進化していることが分かる。
上級会員資格は「1社の特典」から「旅行全体の資産」へ
こうして見ていくと、2026年の航空会社とホテルの連携には、いくつかの共通点がある。1つ目は、ステータスを相互に認めること。Marriott BonvoyとUnited、Marriott BonvoyとAir Canada、JALとHoteLux、そしてこれから始まるANAとIHGなどがこれに当たる。
2つ目は、ステータスだけではなくポイントやマイルもつなげること。MarriottとUnited、MarriottとAir Canadaではポイント/マイルの移行が可能だ。ANAとIHGでは相互交換、QantasとAccorではReward pointsとQantas Pointsの交換が行われている。
そして3つ目が、「ダブルディップ」やFast Trackによって、旅の1つひとつの行動から複数のプログラムを育てられるようになっていることだ。これまでなら、「飛行機に乗ってマイルを貯める」「ホテルに泊まってホテルポイントを貯める」と、それぞれ別々に考えるのが普通だった。
しかし現在は、「飛行機に乗る→航空マイル+ホテルポイントを獲得」、「航空会社の上級会員になる→ホテルの上級会員へ」、「ホテルの上級会員になる→航空会社の上級会員へ」、「ホテルポイントを貯める→航空マイルへ」というように、1つの旅行行動から複数のロイヤルティを動かせる。
こうした動きの背景にあるのは、「自社サービスだけで囲い込む」のではなく、「旅行全体を自社のロイヤルティ経済圏に取り込む」という発想だろう。旅行者にとっては、1つの上級会員資格が、これまでより広い範囲で効く時代になった。
これから上級会員を目指すなら、「どの会社を利用するか」だけでなく、「その会社のステータスが、どのホテルや航空会社につながっているか」まで見ることが、旅を賢く楽しむ新しい視点になりそうだ。
※本稿の内容は2026年8月21日時点で各社公式サイト等を確認したものです。制度、条件、特典内容は変更される場合があります。






