NGOの米National Labor Committee (NLC)が4月13日(現地時間)、米Microsoftが中国のマウス/カメラ/Xboxコントローラ製造工場で若年労働者に劣悪な労働環境を強いているとの告発レポートを公開している。

問題となっているのは上記Microsoft周辺機器を製造している台湾KYE Systemsの中国工場で、深セン市と広州市の間にあたる広東省東莞(とうかん)市に位置している。KYEの同工場は複数契約で他のメーカーの製造受託も行っているが、主な取引先はMicrosoftだという。中国の他の工場と同様、いわゆる要塞型の運営形態を取っており、衣食住を用意する代わりに労働者はほぼ工場内に囚われた形で勤務にあたる。

ここでの労働条件は過酷で、1週間休みなしに日々12時間労働が行われており、シフト内に業務が完了しなかった場合は追加作業で15時間勤務も常態化していたという。1年のうち休めるのは、国などが定めた祝日だけだったようだ。中国の法律では15歳の以下の労働が禁止されており、未成年のカテゴリながら16 - 17歳では8時間までの労働が許されている。工場での学生労働者の雇用はよく行われているが、これら未成年クラスの学生労働者にも上記のような超過勤務を強いていたようだ。なお2009年の金融危機以降、15歳以下の違法雇用は減少したというものの、依然としてそれ以上の年齢では超過労働で学生らを縛る状態が続いているという。また提供される衣食住も劣悪なもので、上記NLCには現場就労者のさまざまな声が収録されている。

英Reutersによれば、このNLCの報告を受けてMicrosoftは4月15日(米国時間)に調査を開始したことを発表した。米Microsoftエンターテイメント&デバイス部門の製造担当責任者のBrian Tobey氏は「現在弊社の独立した監査チームが同工場の調査に当たっており、もしわれわれの規定する基準に則っていなかった場合、しかるべき処置を執る」とコメントしている。同氏によれば、MicrosoftはKYEの同工場を年単位で調査しており、過去2年間で違反は見受けられなかったという。超過労働は軽減されており、広東省のElectronic Industry Citizenship Coalitionに則った形での補償が行われていると付け加えている。

NLCが報告する中国KYEの製造現場。10分間の休憩がやってくると、学生労働者はみな倒れ込むように仮眠を取る(Copyright: The National Labor Committee)