2021年10月、いよいよ日本でもWindows 11の提供が始まった。Windows 10ユーザーは順次、Windows Updateを通じて無償アップグレードできるようになる。企業ユーザーは従来使用してきたソフトウェアとの互換性を確認しながら、着実にアップグレードを進めていく必要があるだろう。本稿ではWindows 11へのアップグレードで注意すべきポイントに加え、既存端末をアップグレードせずWindows 11を利用する選択肢、Windows 365に焦点を当てる。

セキュリティ機能の向上により、アップグレード要件も厳格に

Windows 11は刷新されたUIと、強化されたセキュリティに特長がある。コロナ禍でリモートワークが増え、重要データの入った端末を持ち運ぶことが多くなったことをふまえると、データの漏洩リスクを下げられるのは大きなメリットだと言える。そのために重要な役割を果たすのが、TPM (Trusted Platform Module) というチップだ。セキュリティに関するさまざまな処理を行うためにマザーボードに実装されている。

TPMはマイクロソフトもWindows Vistaの時代から対応してきたものだが、今回はTPM2.0がアップグレードの要件として明記されることとなった。つまり、端末のTPMが古いバージョンだったり、TPM 2.0が搭載されている端末でも設定が無効になったりしていれば、アップグレードは行えないということになる。これまで生体認証やドライブ暗号化など、TPMの機能を利用してこなかった場合、無効化されたままになっているケースもある。その場合は手動で、有効になるよう設定し直す必要がある。

既存の端末がWindows 11へのアップグレードに対応しているかどうか、TPMが有効になっているかどうかをチェックするには、マイクロソフトが提供している「PC 正常性チェック アプリ」を利用するのが便利だが、何十台、何百台とWindowsマシンを利用している企業のシステム担当者にとっては大仕事になってしまう。また社内の端末を一新するとなれば、自前での買い換えるにしてもリースするにしても、大きな出費を覚悟しなければならないだろう。

端末の性能に左右されない、DaaSという選択肢

端末の性能によってアップグレードの可否が左右される事態を極力避けようとするなら、DaaS (Desktop as a Service) を検討するのがいいだろう。クラウドで提供される仮想デスクトップを、クライアントPCから呼び出して利用するのがDaaSだ。

「ユーザー各人に仮想デスクトップを提供することで、クライアントPCの性能に大きく影響されないようにする」という発想はVDI (Virtual Desktop Infrastructure) も同じだ。だがVDIを自社内で整備する場合は、クライアントPCからの命令を処理させるサーバや、ネットワークの構築、セキュリティ対策などに加え、日常的な保守・メンテナンスにも手間がかかる。さまざまな設定ができるため自由度は高いが、そのためには専門的な知識を持つ人材や専用のソフトウェアが必要となる。

一方、DaaSでは契約後、簡単な設定を行えばすぐに仮想デスクトップが提供される。サーバのことを考える必要がないので、パフォーマンスの低下に合わせてスケールアウトを検討したり、メンテナンスを気にかけたり、バッチ処理のスケジュールを組んだりしなくてもいい。常に最新版の状態でサービスを受けられるうえに、演算処理の多くをクラウド側に依存できるので、多少古くなったPCでも使い続けられる。機種変更のためにかかる手間と時間を大幅に圧縮できるのは、システム管理者にとって大きなメリットだ。

WindowsをDaaSで利用できるAzure Virtual DesktopとWindows 365

もちろんWindowsもDaaSとして提供されている。マイクロソフトは2019年にWindows Virtual Desktopをリリース、その後、コロナ禍でリモートワークやデータのクラウド移行が加速したのを背景に、2021年6月には機能や料金体系を見直し、名称もAzure Virtual Desktop (以下、AVD) へと変更した。さらに同年7月には、AVDの機能をシンプルにした法人向けサービス、Windows 365 Cloud PC (以下、Windows 365) の提供を発表、8月からサービスをスタートしている。

Windows 365は、仮想マシンのカスタマイズや複雑な管理ができるAVDほど自由度は高くない反面、月額・ユーザー単位の低コストですぐに使い始められるのが大きな特長となっている。ユーザー上限数300の「Business」とユーザー数無制限の「Enterprise」の2つのプランには、それぞれBasic、Standard、Premiumの3つのグレードが用意されており、企業規模や用途、予算に合わせて、最新のWindowsを導入することが可能だ。

OSはWindows 10あるいはWindows 11を選択できるので、社内PCをアップデートするのではなくDaaSとして購入するという新たな選択肢も増える。数年使用して、動きが重くなってきたWindowsマシンも、DaaSを利用することで、まだしばらくは現役に踏みとどまらせることができるだろう。

連載初回となる本稿では、システムの導入や管理を行う部門の視点からWindows 365を紹介したが、次回は社員(ユーザー)、ひいては現場のビジネスにどのようなメリットがあるのかを見ていこう。

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