年齢や国籍などが多岐にわたり、働く人の多様化が進む現代。実際に、私たちの生活に身近なコンビニエンスストア でも人材の多様化が進んでおり、誰もが働きやすい環境を整えようと、コンビニ各社は工夫を凝らして奔走しています。

豊かな社会・環境を未来世代へつないでいくために、健康・地域・環境・人財の4つのビジョンを掲げるセブン‐イレブン・ジャパンも、そのひとつ。 特に人財のビジョンでは、多様な人財が活躍し、幸せな社会を実現することを掲げ、多様な業務をこなす 店舗従業員の業務をスムーズにするため、さまざまな対策を講じています。

  • セブンイレブン外観

そんな中、目を付けたのが「業務用電子レンジ」の改善でした。より簡単で、より迅速かつ適切に温められる次世代電子レンジを導入し、省人化と省力化につなげたいと考えたのです。そこで、オファーを受けたのがシャープ 。同社が抱える課題を解消するべく、これまでになかった業務用電子レンジを開発し、現在は東海エリアのセブン‐イレブン1,080店(2024年3月末時点)に試験導入されています。

  • 次世代電子レンジ

今回は、次世代電子レンジの開発・導入を進める両社のキーマンたちを直撃。開発秘話や導入後の変化について、詳しくお聞きしました。

より簡単で、より迅速かつ適切に。思い描いたのは、操作不要の次世代電子レンジ!

お話を伺ったのは、セブン‐イレブン・ジャパンで設備開発を手がける山田さん、シャープで調理企画を担当する芝さんと法人営業に携わる野見山さんです。

  • 取材を受けてくれた皆さん

セブン‐イレブン・ジャパンでは、数年前から業務用電子レンジの使用に課題を感じていたと山田さんが明かしてくれました。

セブン‐イレブンの店舗でも、今やさまざまな年齢や国籍の従業員が勤務していますので、どの業務においても「より簡単で、より迅速かつ適切に」ということが求められています。

業務用電子レンジに関していえば、商品によって加熱ワット数と加熱時間が異なるため、適切に温めようとすると、ボタン操作に手間が取られて時間のロスが発生していました。


  • 山田さん

セブン‐イレブン・ジャパンが思い描いたのが、操作不要の次世代電子レンジ。その発想に舌を巻いたと野見山さんは振り返りました。

2017年頃に「次世代電子レンジの導入を検討したい」とご相談をいただいたときは、操作パネルの簡略化を提案していました。ところが、“そもそも操作をしない”という画期的なアイデアを頂戴したことで、当時まだ世の中になかった次世代電子レンジを開発する挑戦が始まったのです。


  • 野見山さん

シャープが開発した次世代電子レンジの最大の特長は、商品ラベルに印字されたQRコードをカメラで読み込むだけで適切に加熱されること。QRコードには、あらかじめ加熱ワット数と加熱時間が記録されています。

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

  • QRコード

さらに、QRコードを読み込み、商品を庫内に入れて扉を閉めれば、加熱が自動でスタート。“操作不要”のコンセプトに則り、スタートボタンを押す工程すら省いてしまったのです。

  • 商品を電子レンジに入れる様子

    レンジに内蔵されたカメラにQRコードをかざすと、加熱ワット数と加熱時間が自動で表示(写真左上)される。

「自動検知するセンサーによって庫内に商品があるかどうかを判別するため、庫内が空の状態で扉を閉めても作動することはありません」と、芝さんが教えてくれました。

ちなみに、庫内ではなく、電子レンジ入口にカメラを設置したのは、カメラに汚れが付着する可能性を低くすることに加えて、レンジを操作する方が自ら確実にQRコードを読み取らせることができるからです。

また、庫内にカメラがあるとQRコードの印字場所が天面に限られますが、入口でかざす方式なら側面にも印字が可能となり、将来的な加熱商品の拡充にも対応できます。


  • 芝さん

高性能なカメラを搭載し、読み取り精度に自信を覗かせますが、もちろん、一朝一夕に成し得たことではありません。

初期のカメラは読取精度が十分ではなく、実際の運用に見合う精度にまで高めていくには相当苦労しました。


商品ラベルに新たにQRコードを印字することになったセブン‐イレブン・ジャパンも、試行錯誤を重ねたといいます。

QRコードのサイズを大きくすると読み込みやすくなるのですが、そのためにラベル面積が増えて商品の中身が見えなくなってしまってはいけません。

どの場所にどれくらいのサイズのQRコードを印字すると、かざしやすく読み取りやすいのか、メーカー様とも連携しながら最適な仕様を追求していきました。


  • 山田さん

検証が始まったのは2018年のこと。数年にわたる両者の努力の甲斐あって、QRコードをかざして自動で加熱処理を行う一連の流れは、ストレスのないスムーズなものとなりました。

電子レンジの操作時間を大幅に削減!お客様からの評判も上々で、セルフレンジの利用率アップ!

QRコード読み取り式の次世代電子レンジは、お客様がセルフで加熱を行うパターンと、従業員が加熱を行うパターンの2パターン展開で、実店舗でのテストを2021年11月より開始。東海エリアのセブン‐イレブン1,080店(2024年3月末時点)に設置店舗を拡大していますが、導入以降大きな変化をもたらしているそうです。

※お客様がセルフで加熱を行うパターンは、名古屋市内の一部店舗のみ

  • 次世代電子レンジ

    お客様がセルフでレンジ加熱を行うパターン

従業員からは「電子レンジの操作時間を大幅に削減できた」という意見が挙がっています。加えて、QRコードをかざすだけなので、年齢や国籍にかかわらず誰でも簡単に操作でき、従業員教育の時間を短縮できているとの報告もあります。


  • 店員さんが電子レンジに商品を入れる様子

    店舗従業員がセルフでレンジ加熱を行うパターン

東海エリアにある店舗を取材してみたところ、働くシニアスタッフと外国人スタッフは次世代電子レンジをこのように評していました。

  • インタビューに答えてくれた店員の皆さん

Iさん

以前は、商品ごとに何回もボタン操作をしたうえで、自分が正確に押したかの確認作業も発生していました。また、従業員に教える際も、従業員ごとに操作の教育が必要でした。

導入後はQRコードを読み込むだけになったので、確認をする手間が減り、操作方法を教える時間も大幅に少なくなりました!


Mさん

海外出身のため、日本語の表記は丁寧に確認しなければミスにつながるし、接客にも時間をかけたいという思いがあります。そのため、お客様が多くなると丁寧に接客したい気持ちと、早く作業しなければという気持ちで、余裕がなくなることも……。

現在は、レンジのボタン操作や確認作業が減ったので、時間的な節約に加えて心の余裕にもつながり、接客に集中できています!


一方で、セルフレンジとしてもお客様からの評判は上々。

Cさん

これまではお客様に都度レンジの説明が必要で、お客様も使用のたびに私たち従業員に聞かなければいけないという手間がありましたが、今は操作が簡単なのでその手間が省けて、お客様にストレスなく使用いただけています!


ほかにも、「忙しい時間帯に加熱をお願いするのを躊躇っていたが、セルフレンジを操作するのは面倒だった。QRコードをかざすだけで適切に加熱できるのは、簡単でありがたい」といった喜びの声が届いているそうですが、セルフレンジの利用が広がることで、より一層の省人化・省力化につながる好循環が生まれています。

口頭での説明やPOPでの案内を通じて利用を促すことで、先行導入している東海エリアでは徐々に浸透してきているのだとか。

  • 電子レンジの使い方POP

さらなる利便性の向上を目指し、導入店舗の拡大に取り組んでいきたいと山田さんらは手応えを感じている様子でした。

次世代電子レンジの導入は、誰もが働きやすい環境づくりの一環!

山田さんは、次世代電子レンジはまだまだ可能性を秘めていると指摘します。

現状は一定の加熱ワット数で温めることしかできませんが、ゆくゆくはステップ加熱にも対応できるようにしたいと考えています。

例えば、冷凍食品を高出力で解凍し、出力を下げながら温めて仕上げるといったことができるようになれば、商品開発の裾野が広がるのではないかと期待しています。


  • 山田さん

次世代電子レンジの進化に向け、芝さんと野見山さんも力を込めました。

QRコードは膨大な情報を記録できるので、ステップ加熱も技術的には可能です。電子レンジの開発・納品に留まらず、セブン‐イレブン・ジャパンさまの商品開発に協力できることがあれば嬉しく思います。


  • 芝さん

これまでも検証の中で改善を繰り返してきましたが、今後ますます導入店舗が増えていくにあたり、従業員さまやお客さまに快適に長く使っていただけるよう、営業と生産部門が一丸となって電子レンジ自体の品質にこだわっていきたいです。


  • 野見山さん

次世代電子レンジの導入は、誰もが働きやすい環境づくりの一環」と念を押す山田さん。これからも店舗の困り事や悩み事をヒアリングし、解消できるように設備開発を続けていきたいと展望を語ってくれました。

シャープが開発したQRコードを読み取り式の次世代電子レンジには、人財を大切にするセブン‐イレブン・ジャパンの想いが詰まっていました。

  • 皆さん

次世代業務用電子レンジ
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