iiyama PCのゲーミングブランド「LEVEL∞」は、デスクトップPC、ノートPCと、さまざまなサイズやスペックのモデルを展開しているが、そのなかで先進機能の搭載と高いカスタマイズ性が特徴なのが「R-Class」だ。
今回はそのR-Classから、ビデオカードにNVIDIA最新世代の「GeForce RTX 4070 Ti」を採用し、AAA級ゲームを4K解像度で楽しめたり、人気FPSを超高フレームレートでプレイできるだけの高い基本スペックを備えながら、20万円台の高いコストパフォーマンスを実現している「LEVEL-R7X5-LCR57X-ULX」を紹介する。
なお、現在販売中の最新モデルは、1200W電源を搭載した「LEVEL-R7X5-LCR57X-UL1X [Windows 11 Home]」となっている。
高いスペック、冷却力、拡張性が魅力のミドルタワーゲーミングPC
「LEVEL-R7X5-LCR57X-ULX」は、ゲーミングブランド「LEVEL∞」のデスクトップPCシリーズでミドルタワー型のPCケースを採用する「R-Class」に属するモデル。約幅220mm×奥行493mm×高さ465mmと大きめのサイズをいかした高いスペック、冷却力、拡張性が最大の特徴だ。
ゲーミングPCの心臓部といえるビデオカードには、NVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 4070 Ti」を搭載。現在登場しているデスクトップ向けのRTX 40シリーズの中では一番下ではあるが、その性能は前世代のハイエンドモデル「GeForce RTX 3090」を上回る強烈なもの。それでいながら、仕様上の消費電力はRTX 3090が350Wに対して、RTX 4070 Tiは285Wと電力効率が非常に高いのも強みだ。
また、RTX 4070 TiはNVIDIA独自の描画負荷軽減技術「DLSS」に、フレーム生成技術を追加してより滑らかな描画を可能にした「DLSS 3」に対応。2基のNVENC(ハードウェアエンコーダー)を備え、その2基を同時に使用した超高速な動画エンコードが可能だ。
高圧縮でも高い画質が維持できる注目のAV1コーデックでのハードウェアエンコードをサポートするなど、基本性能の高さに加えて、よりゲームを快適にしたり、クリエイティブな用途にも活躍できる最先端機能を多数備えているのも魅力となっている。
CPUは、AMDの「Ryzen 7 5700X」を搭載している。前世代のCPUだが、AMD最新のRyzen 7000シリーズは対応するメモリがDDR5のみなど、システム全体の導入コストがやや高めなので、コストパフォーマンスとのバランスを考えての選択だろう。
なお、Ryzen 7 5700Xは、8コア16スレッドで最大クロック4.6GHzとゲーミングPCと十分な性能を持っている。さらに消費電力の目安となるTDPは65Wと低めなので、高性能ながら低消費電力&低発熱のCPUとして定評がある。ワットパフォーマンスに優れるRTX 4070 Tiとの組み合わせはナイスと言えるのではないだろうか。
そのほかスペックは、メモリがDDR4-3200を8GB×2枚搭載で合計16GBとゲームプレイに十分な容量が確保されている。ストレージはPCI Express 4.0 x4接続で1TBのNVMe SSDと高速なものを採用。ゲームのロードで不満を感じることはないだろう。
なお、カスタマイズしての注文にも対応しており、メモリの追加やSSDを大容量のタイプに変更、SSDやHDDの追加なども行える。より大容量の環境を求めているなら、変更するのもアリだろう。
次はPCケースとその内部に目を向けよう。ミドルタワー型だけに内部にはゆとりがあり、配線も美しくまとめられていることもあってエアフローは良好だ。CPUクーラーは12cmクラスのラジエーターを備えた簡易水冷が前面に装着されている。水冷としては小型だが、CPUの発熱が大きくないので問題ないだろう。天面に2基、背面に1基の12cm角ファンを搭載、NVMe SSDにもヒートシンクが備わっており、熱対策は盤石と言える。
ビデオカードは、カード長306.8mm、重量は筆者の実測で1,118gとかなり大型だがサポートステイでしっかりと固定されているので、運搬や設置も安心だ。電源は850Wと、今回の構成ならまったく問題のない出力が確保されていた。
レイトレ有効&4K設定でも快適に遊べるパワー
ここからは、実際の性能をチェックしていく。まずは、CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測る「CINEBENCH R23」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」から実行する。
CINEBENCH R23の結果はRyzen 7 5700Xとして順当なスコアだ。本機はCPUのパワーを十分引き出せてるといえる。
PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべて大きく上回っている。Digital Content Creationのスコアもそれなりに高く、クリエイティブな作業にも対応できるパワーがあるといってよいだろう。
続いて、実ゲームを試そう。定番のFPSとして「レインボーシックス シージ」と「オーバーウォッチ 2」から実行する。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を使用、オーバーウォッチ 2はbotマッチを観戦した際のフレームレートを「FrameView」で測定した。
レインボーシックス シージは軽めのゲームということもあって、最高画質の4K解像度でも平均210fpsと高フレームレートを記録。WQHDとフルHDで平均フレームレートにそれほど差がないのは、フルHDだと描画負荷が軽すぎてビデオカードの性能を使い切れないためだろう。CPUがボトルネックになっている可能性もある。オーバーウォッチ2も最高画質のエピック設定でも4Kで平均108fpsと余裕で快適にプレイできるフレームレートを達成。フルHDでは228fpsと高フレームレートを出しており、高リフレッシュレートのゲーミング液晶と組み合わせるのもよいだろう。
最後は、レイトレーシングおよびRTX 40シリーズのみが利用できる“DLSS 3”に対応する「サイバーパンク2077」を試そう。ゲーム内のベンチマーク機能を利用してフレームレートを測定している。このゲームに関してはDLSSを使わない場合とパフォーマンス設定にした場合の2パターンを掲載する。DLSS 3を使うとどこまでフレームレートが伸びるのか確認するためだ。
サイバーパンク2077は発売から2年以上経過しているが、それでも描画負荷の高さはトップクラスだ。RTX 4070 Tiのパワーを持ってしても、レイトレーシング有効時の最高画質であるレイトレーシング:ウルトラ設定では、4Kだと平均20.3fpsしか出ない。フルHDで快適なゲームプレイの目安である平均60fpsをようやく超える。
その一方で、DLSSをパフォーマンス設定にすると4Kは平均92.1fpsまで上昇。約4.5倍もフレームレートがアップしている。DLSSの威力がよく分かる結果だ。フルHD、WQHDでも大きくフレームレートが伸びており、滑らかな描画を楽しめる。DLSS 3を活用すれば、レイトレーシングを使った描画負荷の高いゲームも余裕で楽しめるのは素晴らしいことだ。ただし、DLSS 3はゲーム側の対応も必要となるが、最近のAAA級ゲームでは最初から対応しているケースが増えている。
続いてシステム全体の消費電力を見てみよう。OS起動10分後をアイドル時、CINEBENCH R23実行時の最大値とサイバーパンク2077実行時の最大値を測定した。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。
CPUにだけに強烈な負荷がかかるCINEBENCH R23では136W、CPUとビデオカードの両方に負荷がかかるサイバーパンク2077では379Wまで消費電力がアップした。RTX 4070 Tiを搭載したシステムとしては、それほど高くない消費電力と言える。
次はビデオカード単体の消費電力もチェックしてみよう。FrameViewのGPU NV Powerの値を集計したものだ。
注目はサイバーパンク2077のDLSS有効時だ。DLSSは描画負荷を軽減する技術なので利用すると消費電力が大きく下がる。DLSSを活用すれば、RTX 4070 Tiのワットパフォーマンスをさらに高められるわけだ。
最後にサイバーパンク2077(4K、レイトレーシング:ウルトラ設定)を10分間実行したときのCPUとビデオカード(GPU)の温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。室温は22℃だ。
CPUとGPUの両方に大きな負荷がかかるテストだが、CPUは最大43.6℃、GPUは最大72.2℃とまったく心配のいらない温度。特にCPU温度は低く、12cmの小型水冷クーラーでも十分過ぎるほど冷えているのが分かる。それでいて動作音は筆者の感覚ではあるが、“静か”と言えるレベルに収まっているのが素晴らしい。
DLSS 3対応ゲームが増えている今だからこそほしい1台
DLSS 3は描画負荷の高いAAA級ゲームのフレームレートを伸ばせる非常に優秀な技術だ。現在のところ対応するのは、デスクトップ向けでは高価なGeForce RTX 40シリーズのみという状況。
コスト面でのハードルは高いと言えるが、本機はそれを30万円以下の価格で実現しているのが大きな強み。人気FPSで高フレームレートを出したい、レイトレーシング対応のAAA級ゲームを4K解像度でも快適に遊びたいと考えているなら、ぜひとも注目の1台といえる。
なお、レビューした「LEVEL-R7X5-LCR57X-ULX」は現在在庫切れになっているが、電源を1,200W出力に変更した最新モデル「LEVEL-R7X5-LCR57X-UL1X」は好評発売中。電源以外は今回レビューしたものと同じ構成なので気になる人はチェックしてほしい。
標準スペック
メーカー | ユニットコム |
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モデル名 | LEVEL-R7X5-LCR57X-ULX [Windows 11 Home] |
型番 | ILeDEs-R7X5-LR57X-ULSXB |
OS | Windows 11 Home [DSP版] |
形状 | ミドルタワー / ATX |
CPU型番 | Ryzen 7 5700X |
コア数 | 8コア |
スレッド数 | 16スレッド |
最大クロック数 | 4.6GHz |
基本クロック数 | 3.4GHz |
CPUクーラー | 120mm 水冷クーラー |
グラフィックス | GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X |
メモリ規格 | DDR4-3200 DIMM (PC4-25600) |
メモリ容量 | 16GB(8GB×2) |
メモリスロット数 | 4 |
1stストレージ | 1TB NVMe対応 M.2 SSD [PCIe 4.0×4] |
光学ドライブ | 光学ドライブ非搭載 |
チップセット | AMD X570 [ASUS X570-PRO] |
オーディオ機能 | High Definition Audio subsystem |
有線LAN機能 | 1000BASE-T |
無線機能 | 非搭載 ※無線機能は別途カスタマイズにてオプション選択可能 |
キーボード | 日本語キーボード |
マウス・ポインティングデバイス | 光学式マウス |
電源 | 850W 80PLUS GOLD認証 ATX電源 |
拡張スロット1 | PCI Express4.0 [x16] ※グラフィックカード使用済 |
拡張スロット2 | PCI Express4.0 [x1] ※グラフィックカード使用済 |
拡張スロット3 | PCI Express4.0 [x1] ※グラフィックカード使用済 |
拡張スロット4 | PCI Express4.0 [x16] ※x8動作 |
拡張スロット5 | PCI Express4.0 [x1] |
拡張スロット6 | PCI Express4.0 [x16] ※x4動作 |
拡張ベイ | 3.5/2.5インチ兼用内蔵ベイ×2 、2.5インチ内蔵ベイ×2 |
外部端子(前面) | ヘッドフォン端子×1 ,マイク端子×1 ,USB 3.0×2 ,USB 3.0 Type-C×1 |
外部端子(背面) | PS/2コネクタ(キーボード/マウス兼用)×1 ,アナログ8chサウンド(ライン出力×1/ライン入力×1/マイク入力×1/センター・サブ出力×1/リア出力×1) ,S/PDIF出力(角型)×1 ,USB 3.1×4(Type-A×3/Type-C×1) ,USB 3.0×4 ,1000BASE-T LANポート×1 ,マザーボード側ディスプレイ出力(HDMI×1/DisplayPort×1)※搭載CPUにより画像の出力は出来ません。 ※グラフィックアクセラレーターの出力端子についてはカスタマイズページ内にてご確認頂けます。 |
内部端子 | M.2×2(Key ID:M/Type:2242/2260/2280/22110 PCIe4.0×4対応) ,SATA 6Gbps×6 ,内部USB 3.1 Type-C(×1ポート分) ,内部USB 3.0(×2ポート分/20Pin×1) ,内部USB 2.0(×4ポート分/10Pin×2) |
TPM | TPM2.0(AMD fTPM) |
主な付属品 | 電源ケーブル ,各種マニュアル ,保証書 |
サイズ | 約幅220mm×奥行493mm×高さ465mm ※最大突起物除く |
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