「ノートPCは性能的にデスクトップPCよりも控えめでゲームには不向き」という時代は終わり、最近はデスクトップPCにも匹敵するハイパフォーマンスなゲーミングノートPCが登場している。今回紹介するマウスコンピューターの「G-Tune E5-D」も、ノートPCの省スペース性と、デスクトップPC並みのパワーを兼ね備え、しかも低コストに抑えた魅力的な製品だ。

  • マウスコンピューターの「G-Tune E5-D」

AMD製のデスクトップ用CPUを採用

マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」の「G-Tunes E5-D」は、15.6インチのフルHD液晶ディスプレイを搭載したノートPCだ。本体サイズはW361×D258xH33mmと、15.6インチノートとしては少し厚みがある。これは、後述する発熱量の高いCPUやGPUの放熱スペースを確保して冷却するためだろう。

重さも公称で約2.71kgと、近年のノートPCの水準としては重さがある。ここは性能とのトレードオフにはなるが、いざとなればリュックサックに入れて持ち運べるので、家の中での移動だけでなく、LANパーティ始めとしたイベント参加時など、どこでも愛機で遊べるのはうれしい。

液晶パネルは狭額のノングレアタイプで、リフレッシュレートが144Hzと高速だ。リフレッシュレートは画面を書き換える頻度のことで、通常の液晶パネルは1秒間に60回(60Hz)だが、その2.4倍の頻度で書き換えられる。動画のフレームレートと同じで、リフレッシュレートが高ければ、その分滑らかに描画されることになる。FPSゲームなどはフレームレートが高ければ相手よりも一瞬早く視認できるため、最近はゲーミング液晶として高リフレッシュレートの製品も登場している。本機が搭載する144Hzは、eスポーツの大会などでも採用されるもので、ゲーミングPCにふさわしい装備といえる。

  • リフレッシュレート144Hzの液晶パネルを搭載

CPUにはAMDの「Ryzen 5 3500」を搭載している。このグレードはデスクトップPC用で、発熱や消費電力の面ではノート用CPUより不利になるのだが、その分性能が高く、パフォーマンス重視のゲーミングPCとしては正しい選択といえるだろう。CPUとしては6コア・6スレッドで、インテルのCPUと比較すると、同じ6コア・6スレッドの第9世代Core i5-9600番台と競合する。そしてL3キャッシュが16MBと非常に多いため(第9世代Core i5は9MB)、グラフィックスソフトなどでは高いパフォーマンスが期待できる。メインメモリは標準で16GBを搭載(最大64GB)しており、ゲームはもちろん、3Dグラフィックスやビデオ編集など、ヘビー級のソフトも快適に動作させられる。

GPUにはNVIDIAの「GeForce RTX 2060」を搭載。デスクトップPCでは、最新のRTX 30x0世代が出たばかりだが、ノート用としてはまだ最強クラスのGPUとなる。20x0番台の中ではエントリーに位置するが、GTX 16x0系など下位のGPUとの性能差は大きい。性能はもちろんだが、リアルタイムレイトレーシングをサポートする「RT Core」を搭載しており、対応するゲームであればリアルな映像を楽しめる。ビデオメモリも6GB搭載しており、最新のゲームでも十分な性能を期待できる。またAI(ディープラーニング)に利用できる「Tensor Core」を搭載しているため、AI関連の開発に活用したい人にとっても魅力的だ。

ストレージは512GBのM.2接続NVMe対応SSDを搭載しており、システムやゲームの読み込みも高速で処理できる。容量面に不安がある場合は、BTOで最大1TB、3500MB/秒で接続可能なPCIe Gen3 x4接続のSSDに換装できるほか、SATA接続のHDD/SSD(最大2TB)の増設も可能だ。

インタフェースは、本体左側にUSB 3.1(Type-A)×2とギガビットイーサネット×1、micro SDカードリーダー(UHS-I対応)×1、右側にUSB 2.0×1、ヘッドフォン×1、マイク×1、背面にUSB Type-C(USB 3.1)×1、HDMI×1、Mini Display Port×1を搭載している。無線LANはKiller™ Wi-Fi 6 AX1650 (最大2.4Gbps)。Wi-Fi 6対応で、対応ルーターを使用すれば有線並みの高速通信が可能だ。有線LANと併用すれば、ゲームのアップデートデータをダウンロードしながらブラウジングも快適に行える。また、Bluetoothも5.0にも対応。

  • メインインタフェースのUSB 3.1は本体左側にある。外付けのストレージなどを接続するならこちらに付けよう。SDカードスロットはmicro SD専用で、フルサイズのものは利用できない

  • 右側にはUSB 2.0ポートがある。外付けのマウスなどを接続する場合に便利な位置だ。ヘッドセット接続用のマイク/ヘッドフォン端子も右側。また大きな排気口がかなり目立つ

  • 背面は左右の排熱口は存在感がある。USB Type-CポートはDisplay Port Altモードに対応しており、ディスプレイ出力としても利用できる。HDMI、Mini Display Portと併用することで外部ディスプレイ3台、内蔵ディスプレイと合わせて合計4ディスプレイ構成が可能だ。フライトシミュレータなどと組み合わせると迫力の環境が構成できそうだ

バッテリー容量はおよそ5,600mAhだが、消費電力の高いデスクトップ用CPUとハイエンドなGPUを搭載していることもあって、駆動時間は約1時間とほぼ非常用。これについては、ハードウェアの構成上、仕方がないと割り切ったほうがいい。また、バッテリーパック自体は本体にネジ止めが必要で、気軽に交換できる設計でもない(ネジは取扱説明書に同梱されているので要注意)。ACアダプタも大きめで重く、ノートPCの姿はしているが、実質、コンパクトなデスクトップPCだと考えるのが妥当だろう。

  • バッテリーパックはネジ止めする方式

  • ACアダプタは230Wの大型なものを採用。重さは実測で690gと、本体と合わせると約3.4kgにもなる。しっかりしたキャリングバッグを使いたい

キーボードはキーピッチ約19mmで、テンキーも備えたフルキーボード。ゲーミングPCらしく、バックライトは設定アプリでカラフルに発光する。またポインティングデバイスとしてタッチパッドを装備しており、パッド左上には指紋認証機能も内蔵しているので、WIndows Helloによる生体認証でログインを安全かつ素早く行える。もっとも、ゲームをするならゲーミングマウスを別途用意したほうがいいだろう。

  • キーボードはフルサイズだが、テンキーの分でホームポジションがやや左寄りになっている

  • タッチパッドは左右のボタンが分離しているタイプ。指紋認証の速度はなかなか速く、素早くログインできる