都心に特化した高品質なリノベーションを提供するグローバルベイス株式会社。2019年にSalesforce上で機能するグループウェア「mitoco(ミトコ)」を導入し、コミュニケーションまで含めた顧客情報の集約化を実現。複数のツールを経て同社がmitocoを採用した背景には、導入したSalesforceを最大限活かして顧客情報を利益化するという会社目標があった。Salesforceの利用率を上げ、営業のモチベーション向上にまで繋がったという、mitocoを使った取り組みに迫ってみたい。

オンリーワンのリノベーションを提案するグローバルベイスの課題

グローバルベイスは、中古マンションを再生し、新たな価値を付与して市場に送り出すというリノベーションサービスを軸とした企業だ。都心部や活気のある街を中心に年間約350件の物件を取り扱っており、これまで携わった数はおよそ4,000件に上る。

グローバルベイス株式会社 新規事業部 広報企画室 / 副部長 原田 直生之氏

グローバルベイス株式会社 新規事業部 広報企画室 / 副部長 原田 直生之氏

昨今は、物件探しから資金計画、設計、施工までワンストップで行うオーダーメイドサービス「マイリノ」を開始。さらに、IoTを活用したスマートホームや獣医師監修のペットと人が快適に暮らせるプラン、家の中で季節を感じられる室内緑化のプランなど、住環境に自分の色を出したい顧客のニーズに合わせたリノベーションサービスを積極的に進めている。

そんな同社は、数年前に顧客情報管理にSalesforceを導入した。グローバルベイス 新規事業部 広報企画室 副部長の原田 直生之氏は当時の経緯をこう話す。

「以前は別のCRMを利用していましたが、顧客情報を十分に活用できる段階には至りませんでした。顧客情報という資産を活用し、利益化に繋げたい、Salesforceの導入にはそういった思いがありました。実際にSalesforceを導入したことで、顧客の要望や仲介物件情報までを全て統合し、可視化、分析し、利益に繋げていくといったことが一気にできるようになったのです」(原田氏)

グローバルベイス株式会社 不動産事業部 / 次長 八木原 竜也氏

グローバルベイス株式会社 不動産事業部 / 次長 八木原 竜也氏

また、事業が急成長するグローバルベイスがSalesforceに期待したのは、顧客情報の活用だけではなく業務の効率化もある。以前のグローバルベイスでは、営業部員から管理職への報告を口頭ベースで行っており、外出先から電話をすることが多かった。これでは部下を多く抱えれば抱えるほど管理職の負担が大きくなってしまう。Salesforceであれば、情報が集約されているため詳細の説明が必要なくなり、管理者も営業部員も報告に割く時間を大幅に削減することができる。

一方、Salesforceを導入してから別の課題が浮上した。グローバルベイス 不動産事業部 次長の八木原 竜也氏はこう語る。

「Salesforceになるべく情報を集約しようとする中、それまで使っていたチャットツールは、Salesforceとの連携ができないことが課題となりました」(八木原氏)

mitocoを組み合わせて必ずSalesforceにログインする仕組みを設ける

グローバルベイスは、外出先からの報告や社内コミュニケーションを頻繁に行うため、より良いコミュニケーションツールを求め複数のツールを使ってきた経緯がある。モバイルのSNSチャットも4種類の導入経験がある。これまで利用してきたチャットツールはモバイルアプリなので、外出時は非常に操作しやすいがPCと連動していなかったり、デスクでは使いにくいという問題があった。また、会社の成長とともに取り扱う物件や議題が多岐にわたってきたため、話題が分散したり、検索しにくいといった点にも、不便を感じていた。

外出先でも社内でもコミュニケーションが取りやすく、そしてSalesforceに情報を統合したいグローバルベイスが目を付けたのがmitocoである。mitocoにはチャットアプリ「トーク」が搭載されているほか、カレンダーやワークフローなど多くの機能があるのもSalesforceに情報集約をしていきたい同社にとっては魅力であった。Salesforceと連携可能なので、「トーク」のやり取りや「カレンダー」のスケジュールも、顧客を訪問した履歴と直接リンクさせることができる。これまでチャットで報告してきたこともSalesforceの顧客情報にスムーズに集約されるわけだ。

「Salesforceは活動履歴を残すことにメリットがあります。誰がこのお客様に何をした、というのを全て残すことで、さらに良さが発揮できます。以前のCRMは、導入しても使い難さのためにユーザーに敬遠されてしまい、けっきょく顧客情報を活かせなかったという経験があります。mitocoを組み合わせて必ずSalesforceにログインする仕組みを設けることで、Salesforceにも入力してくれるだろう、という思惑がありました。Salesforceに情報集約していこうという中で、営業部員がコミュニケ―ションのたびに別のツールを使うのは効率的ではないでしょう」(八木原氏)

mitocoに興味を持った両氏は、2018年12月にSalesforceのイベントで実際にデモなどを見てから、2カ月後には導入を決断し、約半年後となる2019年6月には運用開始に至ったという。

「トーク」の浸透がSalesforceの活用を進める狙い通りの展開に

導入までスムーズに進んだmitocoだが、実際に「トーク」機能を活用するにあたって、ひとつのハードルがあった。それは、いかにして社内に浸透させるかである。新しいツールを使い始める際は反発が伴うもので、ただ導入しただけではユーザーに受け入れられない可能性があった。ましてや、コミュニケーションという頻繁に使うツールであればなおさらだろう。

「導入当初はmitocoではなく、既存のツールを使い続ける社員もいました。ですが、必要としていたのはあくまでビジネスチャットツールです。しっかりとルールを作り指導を行っていったところ、まず意識がSalesforceに向きました。この効果も大きいです。さらに『トーク』の特性を活かしカテゴリを分けて会話すると、あとから読み返すのが容易で、仕事が進めやすくなることに気がつきました。使うことによってmitocoの特性や利便性について社員の理解が深まり、使用率が上がりました。そして、さらにSalesforceが活用されるようになるという、狙い通りの展開になりました」(八木原氏)

わかりやすいUIもひとつの決め手になった。日本で人気のあるグループウェアを研究して作られたmitocoは、詳しいマニュアルがなくとも利用が進んだという。

「基本的な機能は“想像でこういう風に使えるんじゃないか”と感じたままに操作できるのが魅力でした」(原田氏)

情報の取りこぼしを削減しモチベーション強化にも貢献したmitocoのさらなる活用

「みんな、さも昔からmitocoを使っていたかのように馴染んで利用していると思います。狙った通りのコミュニケーションが取れていると感じますね。これまでは電話で行っていたやり取りが『トーク』に残っていますし、お客様のコメントや営業アプローチを振り返ることで情報の取りこぼしもなくなりました。成約があると全社に通知が入るので状況を把握しやすく、モチベーションの強化に繋がっていると感じます」(原田氏)

いまでは「トーク」だけでなくmitocoのほかの機能も活用している。たとえば「文書管理」は契約書のひな型や社内ルールの文言など、勝手に書き換えられては困る文書を保存・配布するのに使われているそうだ。八木原氏は、今後、mitocoを利用したペーパーレス化にも取り組んでいきたいと展望を述べる。

「当社は不動産業ですので、社内で部署間をまたぐ書類が発生したり、申請・承認が必要になる場面がよくあるのですが、こういった業務を社外から行えるよう『ワークフロー』機能によって申請・承認できるようにしたいと考えています。現在すでに計画を進めており、4~5月には稼働を予定しています」(八木原氏)

mitocoを通じて社内コミュニケーション情報をSalesforceに集約し、Salesforceの利用率を上げ顧客情報の利益化を果たしたグローバルベイス。社内への浸透まで含めた一連の取り組みは、Salesforceの活用を考えている企業にとって、ぜひとも参考にしたい事例といえるだろう。

  • 原田 直生之氏と八木原 竜也氏

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