昨今、アクセサリ好きやフリマサイトを賑わせているのが"ハンドメイド"作品だ。ただし、いざ作ろうと思ってもアイデアはあるのに、形にならない、思っていたように仕上がらないという経験をした人も多いのではないだろうか。

そうした人たちにこそおススメしたいのが、3DCGを使った作品作りだ。3DCGというと“難しそう”というイメージがあるかもしれないが、そんなことはない。まるで粘土をこねたり絵を描いたりするような感覚で誰でも簡単に思い通りの立体物がデザインできるのだ。3Dプリンターも徐々に普及しており、自らデザインした立体物をすぐに形にできるのも魅力といえる。

とは言っても、まだまだ難しそうと思っている人もいるだろう。そこで今回は、人気インスタグラマーでありイラストレーターとしても活躍する小鳥遊しほさんと、自身でハンドメイドアクセサリを制作しているという松本由加利さんに、3DCGを使った小物作りに挑戦していただいた。ちなみに、お2人とも3DCG初挑戦である。

挑戦にあたり、講師を務めてもらったのが、デザイン事務所HOPBOX代表の福井信明氏。今回使用するのは、3DCGソフト「ZBrushCore」とワコムの液晶ペンタブレット「Wacom MobileStudio Pro」。なお、Pixologic公認ZBrushCoreインストラクターも務めるスペシャリストだ。

  • 講師を務めるHOPBOX代表の福井信明氏

まったくの初挑戦からどこまでできるのか。2人の挑戦の模様をレポートしよう。

絵を描く感覚で3DCGが作成可能

ZBrushCoreは3D作品をまるでペンで絵を描くように制作できるソフトだ。3Dプリントにも簡単に最適化できるため、特に難しい知識がなくても立体物を簡単に出力することができる。ZBrushCoreはマウスでも操作できなくはないが、ストレスなく自在に制作するなら液晶タブレットとスタイラスペンを用いるのがベスト。今回は「Wacom MobileStudio Pro」を使用した。

  • 「ZBrushCore」と「Wacom MobileStudio Pro」を使用

まずは、ZBrushCoreの基本的な考え方や操作のレクチャーからスタートした。

お手本として、福井氏は球体オブジェクトをペンで整形。撫でたところが膨らんで、みるみる鼻や頬、耳ができていく。これが「膨らみブラシ」ツールである。次にモードを切り替えて、今度は撫でることでへこませたり削ったりして形を整える。どれくらい削るのかといった分量は、ペンの筆圧で自動的に感知する仕組みだ。手に力を込めてペンを押し付ければ大きく削れるし、弱く撫でれば細い筋を彫ることもできる。

感覚としては粘土を手でこねて形を作っていく作業に近い。ペンが手や指の代わりをしていると考えるとイメージしやすいだろう。非常に直感的な操作だ。

  • 粘土をこねるような直感的な操作が魅力

もうひとつの便利な機能が「抜き出し」。ペンでオブジェクトに線を引いてから抜き出し機能を使うと、その線に沿ってオブジェクトが盛り上がるのだ。細かい造形はいちいちペンで盛り上げたり削ったりするのが大変。今回、福井氏は猫の服を作る際にこの機能を使用していた。

あっという間に完成した猫をモチーフにした立体物を見て、「すごいですね」と感嘆の声を上げる小鳥遊さんと松本さん。

  • あっという間に猫をモチーフにしたカワイイ作品が

この時点ではまだ不安そうな表情を浮かべていた2人だったが、実際にやってみると福井氏も驚くほどスムーズに制作を進めていた。

液晶タブレットにペンで描くというZBrushCoreの操作方法が、普段からイラストを描いている二人にとっては慣れ親しんだ動作だったからだろう。福井氏によると、「3DCGソフトによっては、こういった有機的な形状を作る場合はもっと時間がかかる場合もある」のだという。

  • 2人の飲み込みの早さには福井氏も舌を巻くほどだった。写真左奥が小鳥遊しほさん、左手前が松本由加利さん

解説の途中で福井氏が普段制作している作品がディスプレイに映し出されたが、どれもすばらしいクオリティで、とても個人で制作できるレベルのものとは思えないほど。しかし、これらはたしかに福井氏がZBrushCoreとWacom MobileStudio Proで制作したものなのだ。これには小鳥遊さんと松本さんも驚きの表情を隠せない様子だった。また、福井氏が制作したアクセサリの現物も登場した。

  • 福井氏の作品。素人目にはかなりハイレベルな印象を受けたが、福井氏曰く「基本操作を覚えて、アイデアさえあれば誰でも作れる可能性がある」とのこと

いよいよオリジナル作品の制作に

さて、基本操作を覚えたところで、今回2人にお題として与えられたのはタマゴ型のアクセサリの制作だ。まずは紙とペンでどんな模様をつけたいのか、自由な発想で描いていく。

  • まずはアイデアを紙にメモする

松本さんは蝶や花が美しく散りばめられたラグジュアリーなデザインを、小鳥遊さんはタマゴが割れて中からキャラクターがのぞいているようなキュートなデザインを考案した。いずれも3DCGでの制作のしやすさなどは考慮していないデザインだが、福井氏によると、問題なく再現可能なのだという。

  • 松本さんがスケッチしたのは蝶や花が散りばめられたデザイン。一見複雑そうなのだが、問題なく作成可能とのこと

福井氏が解説するさらに詳しいテクニックを参考にしながら、小鳥遊さんと松本さんの二人はオリジナルのアクセサリの3Dデザインに取り組んでいく。たとえば蝶を描く場合はまず1匹デザインして、それを抜き出し機能で盛り上げて、さらに複製して数を増やしていく。

タマゴが割れたような表現はペンでギザギザのふちを描いてやり、その部分をマスクして分割する……といった具合だ。二人がデザインしたような複雑な造形もZBrushCoreの各種機能を駆使すれば問題なく作ることができる。ZBrushCoreのポテンシャルの高さについては、「2万円もしないソフトウェア、特にスカルプト(粘土・彫刻系)系のなかでは非常に高いポテンシャルを持っている」と福井氏も太鼓判を押す。

  • タマゴが割れる表現もお手の物

この時点で2人はすっかりZBrushCoreとWacom MobileStudio Proを使いこなして進めていた。2人が飲み込みが早かったというのもあるが、初挑戦でもここまで短時間で使いこなせるようになるのも、直感的に作業できるからだろう。

予定していた3時間のレッスンが終わる頃には、福井氏から当初は教えるつもりのなかったというやや難解なテクニックなどもレクチャーがあったほどだ。

  • 真剣な表情で福井氏の言葉やレクチャーに耳を傾ける小鳥遊さん(左)と松本さん(右)

最後は今回デザインしたアクセサリを3Dプリントするための手順やポイントなども福井氏から解説があり、2人の初挑戦は終了となった。

3DCGは怖くない!

見事、3時間でZBrushCoreの基本操作をマスターした小鳥遊さんと松本さん。今回の挑戦を受けての感想を伺った。

小鳥遊さん:「3Dって面白いです。プロしか使えないイメージがあったので、自分では無理だと思っていましたが、こんなアナログな感覚でできるんだなって。没頭してしまったらキリがなさそうです(笑)。仕事柄、食器やフード関係に関わることが多くて、食器型のグッズを制作することもあります。3Dプリントも他人事だと思っていましたが、自分のキャラクターを立体で作りたくなりましたね」

  • 「少しでも興味がある人はぜひ一度触ってみて」と絶賛していた小鳥遊さん

松本さん:「タブレットでは趣味で絵を描くくらいだったので、今回は3D初挑戦でした。最初は難しいかもって思っていましたが、筆で描いたり粘土をこねているみたいな感覚で触っているうちに慣れました。今後はオリジナルのチャームやアクセサリをデザインしてみたいですね。ZBrushCoreとWacom MobileStudio Proはかゆいところに手が届くツールという感じで、使いやすかったです」

  • 「デジタルデバイスにはあまり詳しくないですが、直感的にアナログ的に使えることに驚きました」と松本さん

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2人のように、これまで3DCGに難しいイメージを持っていた方も多いかもしれない。しかし、ZBrushCoreとWacom MobileStudio Proの組み合わせであればまるで絵を描くような感覚で簡単に小物やアクセサリ作りをすることができるのだ。

3DCGは決してプロしか扱えない難解なツールではない。むしろ、趣味のレベルでも十分楽しめる。つまり、誰でも自由に表現できる有力な手法のひとつ。

あなたのアイデアを形にする"道具"として使ってみてはいかがだろうか。

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