9月17日に開催された「WRO Japan 2017」決勝大会に、全国からITキッズたちが集った

9月17日、BumB東京スポーツ文化館で、国際的なロボット競技会「WRO (World Robot Olympiad)」の日本国内戦「WRO Japan 2017」の決勝大会が開催された。参戦するのは国内公認の37地区で開催された予選会を勝ち進んできた子どもたち。年々注目度が増すWRO Japanには、ここ近年、全国各地で急増しているロボットプログラミング教室からのエントリーが増えているとのこと。なぜ今ロボットプログラミングが盛り上がっているのか? 教室を運営している企業に話を聞いてみたい。

「我が子にもプログラミング教育を」保護者たちの想いと願い

今、全国各地に子ども向けのプログラミング教室が急増しており、新しい才能が地方から芽生え始めている。その最大の理由は、2020年から開始が予定されている「プログラミング教育必修化」にあるだろう。ITはすでに社会を構成するために欠かせない技術となっており、プログラミングはこれからの社会を担う子どもたちにとって必須の知識となっている。

また総務省の調査によると、2011年にプログラミング教室・講座を開始した団体は8団体だったが、2016年には4倍の32団体に。プログラミング教室・講座の教室数は、2014年に51教室だったのが、2016年には322教室まで増加している。

この状況にもっとも関心を寄せているのは、子どもの保護者だ。2017年現在の小中学生は、デジタルネイティブでありながらもプログラミング教育必修化以前という、狭間の世代になる。この狭間世代の保護者は、必修化後の子どもと現在の小中学生の間でIT知識に差が生まれることを懸念しているという。また未就学児の保護者の間でも、必修化後に後れを取らないよう、習い事としてプログラミングを学ばせようという熱が高まっているそうだ。

  • ロボットプログラミングの競技会に臨む子どもたち

プログラミング学習の盛り上がり、プログラミング教室を始める企業の増加にはこういった背景がある。今、学習塾に留まらず、多種多様な業種が子どもたちの未来に向けた教育を模索している。中でも「子どもたちの興味を引き、楽しみながら学ぶことができる」と注目を集めているのが、アフレルが提供する教育版レゴ® ブロックによるロボティクス教材「教育版レゴ マインドストーム® EV3(以下、マインドストーム)」を活用した、ロボットプログラミング教室だ。

「学習塾」がロボットプログラミング教室を始めた理由

学習塾向け教材の販売で知られるエデュケーショナルネットワーク。同社は2014年から「マインドストーム」を使ったロボットプログラミング教室「ロボットアカデミー」を全国で運営している。2017年度には生徒数が倍増しており、現在800名弱がプログラミングを学んでいるという。同社 コンテンツ事業本部 ロボットアカデミー事業室 マネージャーの重藤義博氏はロボットプログラミングの授業を開始したきっかけを「これからの教育にはプログラミングが求められる」という役員の一声だったと述べる。

エデュケーショナルネットワーク コンテンツ事業本部 ロボットアカデミー事業室 マネージャー 重藤義博 氏

「小学校低学年で通塾というのは決してありません。どうしても、ご家庭としては水泳やピアノに通わせることが一般的です。ですが、このプログラミング教育を学習塾で導入することによって、早期から通っていただけるのではないかという想いがありました。ピアノや水泳、習字といった習い事と同様に、ロボットプログラミングは子どもの関心を強く引きます。また保護者からすれば『子どもにさまざまな体験を与えられる』ことにつながります。親子の関心が噛み合うことで、塾に通う子どもの数が増えました」と同氏は語る。

  • ロボットアカデミーの授業風景

ロボットアカデミー開始当初、生徒のほとんどは教育熱心な家庭の子どもだったそうだ。しかし、プログラミング教育必修化が発表された現在では「学校で授業が始まる前に楽しくプログラミングを学ばせたい」という保護者の需要が増えており、ここ1~2年で教室数は6倍近くに増え、最近では自治体からの問い合わせも多くなっているという。

  • 男女問わず、多くの子どもたちがレゴ ブロックを使ったプログラミングを楽しみながら学んでいる

実際に子どもたちに感じられる変化として、重藤氏はコミュニケーションの活発化を挙げる。「レゴ ブロックによるロボットプログラミングという共通の話題ができることで、学年が違っても友だちになりやすい」のだという。ロボット競技会も会話のきっかけとなり、出場する上級生などは憧れの対象ともなるそうだ。重藤氏は、今後のロボットアカデミーの展望を次のようにまとめる。

「今年はロボットアカデミーからWRO Japan 2017の決勝大会に出場できるチームも現れました。今後は、世界大会も望めるようなチームの誕生を期待したいですね。ロボットプログラミングは知識だけでなく、子どもたちの積極性やコミュニケーションをも促します。子どもたちがプログラミングに楽しく触れられる場として、ロボットアカデミーを発展させていきたいと思います」