関西に密着した「大手私鉄」が教える21世紀型スキル

意外に思われるかもしれないが、関西の足、阪神電気鉄道もロボットプログラミング教室を展開する企業だ。同社は、「子どもたちへの充実した教育が、ひいては鉄道沿線の価値向上につながる」という考えのもと事業を開始。事業を展開する株式会社ミマモルメ(阪神電鉄100%出資)の小坂氏は「STEM教育を提供することで、子どもたちの21世紀型スキルの向上を目指しています」と説明する。

ミマモルメ常務取締役 小坂光彦 氏

2016年4月から、同社は読売テレビと共同でアクセスが良好な駅前や高架下などに、マインドストームを使ったロボットプログラミング教室「プログラボ」を開設している。現在は13教室、生徒数は約1,000名を超え、関西の学校で積極的に特別授業も行っている。

同氏は、「プログラボでは、社会に必要とされる人材を生み出すため、学校で踏襲されてきた教育とは別の考え方で授業を行っています。様々な新しい事業を展開する鉄道事業グループだからこそ、求められる人材を育成できるのです」と説明する。

当初はアプリ教室も検討していたそうだが、ロボットサイエンス教育を実践する中学校を見学し、「子どもたちが手に取って動かせること」の重要性を認識したという。

  • プログラボの授業風景

プログラボでとくに重視されているのが、表現力とコミュニケーション能力だ。普段は1人1台のロボットを利用するが、ロボット競技会などに向けた授業ではチームで活動する。同氏は、自身が体験したエピソードから、チーム活動が子どもたちに与える効果を次のように説明する。

「ある競技会で『2つのロボットの組み方のうち、どっちが正解だと思う?』と質問したことがあるんです。私は『どっちも正解』という答えを想定しましたが、子どもたちは理由を考えて『ボクはこっちだと思う』『私はそっちだと思う』と主張するんです。意見を交わしてさらに改善しようとする姿勢に、私の方が教えられた気持ちでした」

  • コミュニケーションを取り、自分の考えを述べながらロボットプログラミングを楽しむ子どもたち

阪神電気鉄道が始めたプログラボは、10月より分社化された株式会社ミマモルメにて、IT教育のさらなる発展を目指す。2018年4月からは、JR東日本グループの株式会社JR中央ラインモールが東京でプログラボを展開することが決まっている。最後に小坂氏は、教室運営への熱い想いを次のように語る。

「私たちは、大会での勝利のような目先の成果を目指しているのではありません。プログラミング教育でもっとも重要なのは『プロセス』であると考えています。子どもたちには、失敗を恐れずに工夫することの意義、身に付けた知識を使って創造する喜び、という根本的な考え方を学んでほしいのです。そのために、これからも子どもたちがロボットに触れる機会を増やしていきたいと思います」

技術の街・浜松の「システム会社」が目指すIT脳作り

静岡県浜松市でソフトウェアを開発するCAIメディア。教育ソフトを得意とし、各種アプリや対話型英語学習ロボット「チャーピー」などを開発している。

同社 代表取締役社長の福地三則氏は「2011年に浜松市から『産業界からの早期IT教育を』と要望をうけ、静岡大学の日曜日空き教室で開始したロボットプログラミング教室が『浜松ITキッズプロジェクト』です」とプログラミング教育の発端を説明する。

CAIメディア 代表取締役社長 福地三則 氏

浜松ITキッズプロジェクトは、小学3年募集時に定員24名に対し毎年約150名もの応募がある人気プログラムだ。しかし人気が高いがゆえに、8割強の応募者が落選してしまうという。浜松ITキッズプロジェクトの運営に携わる同氏は、プログラミング教育を「学びたい、学ばせたい」という想いの受け皿を作るため、自ら小学生向けの学習塾「ITロボット塾」を始めた。2014年に浜松市で誕生した同塾はその後、静岡市、藤枝市へと広がり、生徒数は静岡県内で約220名まで増加。10月には都内でも開校した。

ITロボット塾では、マインドストームを使ったロボットプログラミング、「Scratch」を使ったゲーム制作、ITを理解するための数学、理科、英語という5つの授業を行っている。これは、諸外国に対して後れを取る日本のIT技術者の基礎学力に危機を感じてのものだという。

「課題解決に向けた『IT脳』を育成し、子どもたちに『自ら学び自ら考える力』を身につけてほしいのです」と福地氏は熱く語る。

  • 「浜松ITキッズプロジェクト」と「ITロボット塾」の両方に所属する小学生を含むチームがWRO2017コスタリカ国際大会にチャレンジする様子

  • ITロボット塾の授業風景。浜松は、土地柄的にもITに強い関心を持つ親子が多く、子どもたちもレゴ ブロックを楽しみながら学んでいる

プログラミング教室が増えている理由として同氏は、子どもの「レゴ ブロックが好き」という純粋な興味、そして「子どもたちにプログラミングを学ばせたい」という保護者の想いを挙げる。とくに浜松市は、先端技術産業が集まっているという土地柄もあり、多くの家庭が「ITの知識を子どもたちに!」と望んでいるという。福地氏は、最後に自身の想いをこうまとめた。

「たくさんの子どもたちに、ロボットプログラミングを体験してほしいと思います。ですが現在は、ロボット塾の要望をいただいても先生が足りません。例えば、定年を迎えた技術者の方などに、ぜひご協力いただきたいと思っています。また、全国にこうした教室が生まれることで、みなさんと情報交換する場が増え、それが日本の技術力向上につながればと考えています」

高まるロボットプログラミング教室への関心

三者の話からも分かるように、プログラミング教育への関心は一層増しており、その熱は高まる一方だ。現在は学べる場所や教育者、ノウハウが不足しているが、マインドストームを用いたカリキュラムにより、子どもたちが楽しみながらプログラミングを学べる下地ができつつあり、優秀な子どもたちも育っている。お子さんをおもちのご家庭や、新しい教育に興味のある方は、ぜひ一度ロボットプログラミング教室の面白さを感じてみてほしい。

子どもたちが楽しくプログラミングを学べる環境を増やすため、アフレルは、全国各地で「こどもロボットプログラミング教室 全国縦断 事例・開設セミナー」を無料で開催しています。セミナーでは、開設事例や体験ワークショップ、個別相談会を行っています。これからの教育ニーズにご興味のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。
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【開催概要】
名称:こどもロボットプログラミング教室 全国縦断 事例・開設セミナー
セミナー概要:
 1.プログラミング教育の現状
 2.開設事例紹介
 3.教育版レゴ® マインドストーム® EV3体験ワークショップ
 4.個別相談会
主催:株式会社アフレル
参加費:無料
開催日程(全日程で、同じ内容を実施いたします):
 東京 2月5日(月)、2月19日(月)13:00~16:00
 大阪 2月6日(火)、2月19日(月)13:00~16:00

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