台湾Synologyは、2017年5月30日から6月3日まで開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2017に合わせて、台北市内の商業施設にプライベートブースを設け、これから発売を予定する最新製品の展示やデモを行った。

Synologyといえば、NASメーカーとして知られた存在であり、日本の「NAS市場」でも高いシェアを獲得している。日本国内ではどちらかというと、一般コンシューマ向け製品のイメージが強いが、エンタープライズ向けの製品も数多く提供している。近年では"NAS"を「Network、Application、Storage」と再定義して、ルーターなどネットワーク製品にも力を入れている。

今回のプライベートブースは、それを反映した形となっており、ストレージ製品に留まらず、ルーターやセキュリティゲートウェイの新製品、ビデオ管理システムの新バージョンなどを展示していた。

台北の商業施設「誠品信義店」に構えたプライベートブース。かなりゆとりのある展示スペースでゆったりと製品を見ること可能。さながらショールームのよう

豊富な機能を備えた高性能ルーター「RT2600ac」

無線LANルーター「RT2600ac」は、家庭内だけでなく、SOHO/SMBもターゲットとした製品。2016年11月に日本で開催したイベント「Synology 2017 Tokyo」でも展示されていた。

無線LANルーター「RT2600ac」

IEEE802.11ac wave2に対応し、MU-MIMOやレイヤー4(L4)/レイヤー7(L7)のハードウェアアクセラレーションをサポート。ネットワーク通信をもとにアプリケーションを判断して、それに応じた帯域制御が端末単位で行える。

通信速度は5GHz帯が最大1,733Mbps、2.4GHz帯が800Mbps。1つのSSIDデバイスと接続する周波数帯を自動で切り替える「スマートコネクト」機能が利用できる。また、有線接続でもWANポートとLANポートを組み合わせて、フェイルオーバーやロードバランシングが可能な「スマートWAN」機能を持つ。

「スマートコネクト」や「スマートWAN」といった機能を備える。通常の無線LANルーターでは、2.4GHzと5GHzで異なるSSIDとなっているケースが多いが、「スマートコネクト」では1つのSSIDで接続が切り替えられる

また、本体にUSBポートやSDカードリーダーを搭載。外部ストレージと接続することでNASとしても使うことができる。

外部ストレージと組み合わせてNASとしても利用できる

Synology製ルーターの大きな特長といえるのが、独自OS「SRM(Synology Router Manager)」だ。Synology製のNAS向けOS「DSM(DiskStation Manager)」と共通点が多く、分かりやすいインタフェースに加えて、さまざまな機能を備える。

SRMのインタフェース。日本語化も完了している。ほとんどDSMを変わらないことが分かるだろう。Synology製NASを使っているユーザーであれば、違和感なく使いこなせると思われる

前述した「スマートコネクト」や「スマートWAN」もSRM上から設定が可能なほか、接続しているデバイスの管理やトラフィックのコントロール、ペアレンタルコントロールなどもここから行える。

接続しているデバイスの管理

ペアレンタルコントロールでは、有害サイトのほかSNSなど閲覧可能なサイトの閲覧制限ができるが、アクセスできない時間帯を設定できる。例えば、企業での導入時でも就業時間中はFacebookやTwitterに接続させないといった運用も可能だ

また、SRM向けのVPNアプリケーション「VPN Plus」も提供する。追加のクライアントなしで、ブラウザから社内WebシステムにアクセスできるWebVPNや、SSL VPN、OpenVPN、PPTVなどをサポート。また、専用クライアント「Synology SSL VPN Client」で容易にVPNを設定できるという。このほか、離れた複数の拠点をVPNで接続する「Site-to-site VPN」にも対応する。

特別なクライアントをインストールすることなく、社内のWebシステムにアクセスできる「Web VPN」

豊富な機能を備えた高機能な「RT2600ac」だが、2017年7月の国内投入を予定しているという。前モデル「RT1900ac」のころから、Synology製ルーターの国内販売を望む声が多かったが、もうすぐお目見えとなる。

Synology初のセキュリティゲートウェイ「SG1000」

ルーターとともに展示されていたのが、セキュリティゲートウェイ「SG1000」だ。Synologyとして初となるUTM製品で、100名以下の小規模オフィスでの利用を想定する。

セキュリティゲートウェイ「SG1000」

アピールポイントはOSの「NSM(Synology Network Manager)」。DSMやSRMのような分かりやすいインタフェースを採用する。

システムの状況をモニタリングできるほか、各種設定が可能だ

L7ファイアウォールを備え、アプリケーションごとに通信を制御できるほか、Captive Portalをサポート。オブジェクトベースで、ネットワーク管理やファイアウォールポリシーの適用をしやすく、設定にかかる時間を節約できるという。SMBでありがちな"1人情シス"での運用や、専任のネットワーク管理者がいないといった場合の担当者にありがたい機能が盛り込まれている。

トラフィックスのレポートも分かりやすく参照できる

具体的な発売時期や日本国内での販売予定については、現段階で未定となっている。