今年もこの季節がやってきた。そう、梅雨である。「大好き!」という方もいるかもしれないが、わりと嫌われがちな時期ではないだろうか。
特に何が嫌って、当然雨の日に出かけることだ。通勤・通学、休みの日でも、雨は傘で何とかしのげるとしても、問題は足元だ。強めの雨が降った日には、そこかしこに水たまりができ、うっかり突っ込んだら最後、ビシャッと泥水が跳ね足元が濡れてしまうのは避けられない。毎日着るようなスーツや新調したばかりの靴やズボンの場合、テンションが下がってしまうのは言うまでもない。
しかし、である。
この「水が跳ねる」という現象は、歩き方や靴の形状次第でどうにかならないものだろうか。たとえば革靴とヒールでは形状が異なるが、どちらの方が水を跳ね上げないのだろうか。また、かかとから着地するのと爪先から着地するのとではどちらの方がしぶきが上がらないのだろうか。
そう! わからないことは専門家に聞くべし。ということで、数値解析を専門とする企業、アンシス・ジャパンに協力いただき、靴の形状と歩き方による水たまりの跳ね方をシミュレーションで検証していただいた。
今回、検証に使用する靴は、ビジネスパーソンをイメージして革靴とハイヒールをチョイス。ハイヒールにはいろいろな高さがあるが、ビジネスを想定しているということで、高すぎず低すぎないものを選択した。革靴も極めて一般的な形状のものだ。
そして、歩き方だが以下の4パターンの接地方法で検証することにした。
(1) 足裏全体
(2) かかとから
(3) つまさきから
(4) 靴の内側から
まずはアンシス・ジャパンが数値解析によりはじき出したシミュレーションをご覧いただきたい。
(1) 足裏全体 | (2) かかとから |
(3) つまさきから | (4) 靴の内側から |
ご覧のように、明らかに水が多く跳ねているのは(1)足裏全体で接地したときとなる。続いては(2)かかとから、(4)靴の内側からの順で跳ねる水量が減っていき、もっとも跳ねないのは(3)つまさきからといったところだった(※)。
水が跳ねる量の多さを不等号で表すと、以下のようになる。
足裏全体>かかとから>靴の内側から>つまさきから
検証を行ってくれたアンシス・ジャパンの藤井氏によると、「接地する瞬間の面積が大きければ大きいほど水を跳ね上げやすい」ということだ。
なるほど、たしかに足裏全体でベタッと降りるのはもっとも接地面積が大きいのだから当然といえる。かかとよりもつま先から降りた方が水が跳ねないのも、横幅が狭く接地面積も少し小さくなることを考えれば納得だ。
では、続いて靴の種類でどう変わるのかを見ていこう。あまり雨の日にハイヒールを履いている人は見かけない気もするが、どうなるだろうか。実際にハイヒールを履いて検証した動画とあわせて確認してみよう。
なんと、明らかにハイヒールの方が水を跳ね上げていない!
実はこれも先ほどと同じ「接地面積が少ない方が水が跳ねにくい」という理屈で説明できるのだ。たしかにハイヒールの方がかかとも細いし、地面に足を下ろしたときに地面に設置する面積が少ない。
ちなみにハイヒールの場合、土踏まずにあたる部分に空間があるため、革靴のように内側や外側から接地するのは難しい(そもそも、危ない歩き方になりそうだ)。
つまり結論としては以下のようになる。
・革靴とハイヒールならハイヒールの方が水が跳ねにくい
・革靴ならつまさきから接地するのがもっとも水が跳ねにくい
***
さて、このシミュレーションが正しいのかどうか、実際に筆者自身で試してみることにした。革靴とハイヒールをそれぞれ履いて、あらかじめ用意した水たまりを歩き、水が跳ねる様子をスローモーションで撮影してみよう。
……いかがだろうか。
足を踏み出すスピードをつねに一定に保てるわけではないので参考程度としてほしいが、たしかに検証通り、「革靴かつ足裏全体で接地」すると、すごい勢いで水が飛び散っているのがわかった。また、ハイヒールでかかとから接地した場合も、おおよそ検証の通りとなった。
ただし、雨の日にそもそもハイヒールを見ないのは、水を跳ねる以前の問題として、足元が不安定なので悪天候時に歩くのは危険といった理由もある。雨上がりの水たまりくらいならいいのだが、土砂降りなどの日には素直にレインブーツなどを履いた方がいいだろう。その場合のおすすめの歩き方は革靴と同じである。
一方、男性は革靴やスニーカーなど、形状の似ている靴ばかりなので、形については選択の余地はあまりない。そのかわり、歩き方については「つま先から接地」する歩き方をオススメしたい。また、内側から接地した場合は、外側に水が跳ねるため、動画のとおりつまさきかつ内側から接地する合わせ技もありではないだろうか。
水が跳ねにくい靴と歩き方をマスターして今年の梅雨を乗り切りたいものだ。
アンシス・ジャパンのHPはこちら
http://www.ansys.com/ja-JP
※検証結果はあくまで仮定であり、条件や状況に応じて必ずしも本結果通りになるとは限りません
[PR]提供:アンシス・ジャパン