一般的に、2Dから3Dの設計に移行すれば数多くのメリットが得られる。3Dモデルをもとに製造までの工程を一貫して進めることによって、設計に関する知識を持たない人でも完成後のイメージを容易に把握でき、ミスの削減や、作業効率の向上が可能になる。

こうした3D設計のメリットを最大限に生かし、さらなる事業の発展を実現したのが「いそのボデー」だ。2Dから3D設計に移行した理由、移行方法、そして成果について同社設計開発部で部長を務める石井 崇氏に話を伺った。

トラックボデーメーカー「いそのボデー」

設計・製造期間の短縮に向け、“外注ゼロ”を目指す

いそのボデーは、山形市を拠点とするトラックボデー(荷台)のメーカーで、顧客に寄り添ったビジネス方針と卓越した技術により、高品質な製品を世に送り出している。従来は屋根のないタイプの「平ボデー」を主力製品としていたが、最近では屋根付き・箱型の「バン・ボデー」に事業領域の中心をシフトしている。また、リモコン操作が可能で、オートロック機能も備えるスライド式のドア「iSkipDoor」など、顧客ニーズに対応した優れた製品も生み出している。

いそのボデーで製造している平ボデーの製品

バン・ボデーの製品

革新的なトラック用オートスライドドア「iSkipDoor」

さらに近年はトラックボデーだけでなく、移動式の大型セキュリティ・ボックス「i-Safety」を製品化し、他業種へも進出している。i-Safetyは、建設現場や災害現場、イベント会場などでの活用を想定した一時保管倉庫だ。このように同社は、長年にわたりトラック業界向けの製品開発で培ってきた技術を活かしながら、事業領域を拡大しつつある。

移動式の大型セキュリティ・ボックス「i-Safety」

バン・ボデーの製造では、板金と呼ばれる金属の平板から作られた部品が多用される。バン・ボデーの製造に事業をシフトしていくうえで、板金部品の製造においていくつかの課題を抱えていたという。

石井氏は、最大の課題として納期の制限を挙げる。「当社ではそれまで板金加工の設備を保有しておらず、ほとんどの部品を外注していました。そのため、最終的な製品であるボデーの納期が、外注先の企業が製造する部品の納期によって制限されてしまうことが多々ありました。そこで2010年ころから、板金部品の自社製造を検討したのです」と同氏は語る。

設計・製造期間の短縮に向けた部品の内製化による納期短縮だけでなく、部品在庫の過多の解消、外注コストの削減といった面でも大きな効果があった。

3D導入で、設計プロセスを変革

「部品の内製化」という方針に即し、いそのボデーはレーザー加工機やタレット・パンチ・プレスの複合機(以下、加工用複合機)に加え、塗装設備までも整備した。さらに同社は、従来は2Dを主としていた設計フローの3D化と、それに伴った新しいソフトウェアの導入を決定した。

いそのボデー設計開発部 部長 石井 崇氏

「部品製造のための加工用複合機を使用するには、3Dでの設計が必須でした。実は、それ以前にも部品の内製化と設計の3D化を検討したのですが、その当時導入した高価な3D-CADの操作性が悪く、うまく立ち上げることができませんでした。しかし、3D設計への移行は当社の念願であり、わたしたちが求める利便性をもつ3D-CADの導入が必要でした。」

3D設計によるメリットを実現するには、設計技術者全員が3D-CADを使った設計へ移行するという思い切った変革が不可欠だったのだ。

そのような中、いそのボデーは3D-CADにシーメンスの「Solid Edge」を採用。同製品を選定した理由を石井氏は次のように話す。「価格面においては、当社の設計技術者約10名分を購入できるリーズナブルな価格帯のものをと考えていました。その点、Solid Edgeは大きなコストメリットがあり、全員分を購入しても当初の予算を下回るものでした。また、過去に他社の3D-CADを試したときの経験から、“3D-CADは難しいもの”というイメージがありましたが、Solid Edgeを使ってみると直感的に操作でき、非常に使いやすい印象を受けたのです。コスト・利便性の両面で最適と判断し、導入を決定しました」

同社の設計技術担当者は3D-CADを本格的に使ったことがないメンバーばかりだったが、2日間の講習を受けただけで、部品の設計から製造部門にデータを提供するまでの一連の作業をひととおり行えるようになったという。

現在、企画開発部と設計部ではSolid Edgeを使って3D設計しており、Solid Edgeのシートメタル機能が活躍している。さらに、Solid Edgeのアドオンソフトウェアであるキャドマックの「MACsheet SEG5」を、3Dモデルから曲げ伸び値を設定した板金加工向け展開図の生成に活用している。これにより、設計から製造へデータをスムーズに受け渡すことができるようになり、トータルで作業効率が飛躍的に上がったという。

Solid Edgeでボデーの3D設計を行っている様子

3D設計への移行で得られた成果

コストと利便性に優れたSolid Edgeによって、3Dへの移行を実現したいそのボデー。同社は、設計プロセスの全面的な刷新を果たしたことで、以下の成果を得ることができたという。

まずは当初の課題であった納期の短縮だ。外部委託を行っていたときは、設計を開始してから最終製品の製造が終わるまでに3ヶ月程度を要していた。しかし現在では、製造期間は平均で約1ヶ月と、設計・製造期間を1/3にまで短縮。また、部品在庫の過多が解消され、コストや在庫を確保しておくスペースの削減も実現した。

さらに、こうした当初の構想以外の面でも効果が出ていると石井氏は続ける。「まず、製造部門に対する指示が容易かつ的確になりました。2D設計の場合、製造部門に対しては、基本的に三面図を示しながら指示を出すことになります。この場合、製造担当者はでき上がりを頭の中でイメージするしかなく、設計者の意図が正しく伝わらないこともあるのです。3D設計の場合、図面と3Dモデルのプリントアウトを示すことで製造担当者もでき上がりを容易に把握し、より効率的な工程を提案することも可能です。口頭での説明だけでなく、視覚的に情報を伝達できるので、非常に効果的です。

加えて、設計時にツール上で仮想的に各部品の組み付けを行い、部品間で干渉が生じないことを事前に確認できるため、ケアレスミスが激減しました。Solid Edgeでは3Dモデルから三面図を自動生成できるので、位置/サイズの不整合といった問題も生じなくなります。さらに、加工用複合機で使用するデータも自動生成することが可能になりました」

車両本体も含めた構造解析の実用化を目指す

Solid Edge を使い3D設計に移行することで得られるメリットはもうひとつある。Solid Edgeでは、モデルの作成だけでなく、強度を見積もるシミュレーションも実施可能なのだ。

「3D設計への移行を進めたかった理由のひとつとして、設計段階で品質を確保できるようにしたかったという狙いがあります。当社では、2Dで設計を行っていた当時でも、部品レベルの強度解析を手計算で行っていました。しかし、3D設計に移行してからは、複数の部品を組み合わせた構造解析も設計しながら行えるようになり、最終的な品質の向上が図れています。」(石井氏)

従来の設計スタイルでは、どうしても勘と経験といった属人的な要素が大きくなる。この部分をツール上で行えれば、経験の少ない若年層の社員でも設計を担当できるようになるのだ。現在同社では、車体全体の強度解析の実施までを視野に入れ、シミュレーション用のデータやノウハウを蓄積している。

3D設計のメリットをさらに引き出す

いそのボデーは3D設計への移行により、納期とコストを圧縮、効率と品質の向上を実現した。同社は今後、ここまでで触れた製造工程以外でも、Solid Edgeを活用していく予定だと石井氏は述べる。

「シーメンスは、Solid Edgeで作成した3Dモデルをタブレット端末やスマートフォンで表示するためのビューアソフト(無償)として「Solid Edge Mobile Viewer」と「JT2Go」を提供しています。Solid Edgeがインストールされていないタブレットなどの機器でも表示用のデータを容易に閲覧できるため、これらのビューアを製造部門だけでなく営業用のツールとして活用するなどし、3D活用の可能性を探っていきたいと考えています」(石井氏)

ビューアソフトを使えば、Solid Edgeで設計した3Dモデルのデータをタブレットなどで表示できる

営業担当者と顧客の双方にとって、三面図から完成後の製品をイメージするのは難しい。三面図の代わりに、Solid Edgeで作成した3Dモデルをビューアで確認してもらえば、容易にでき上がりをイメージすることができる。これにより、イメージの認識違いにより発生するミスを抑えることが可能になるのだ。

最後に石井氏は、「ビューアは製造部門でも重宝しています。ビューアを使用すれば、必要な部分を拡大したり角度を変えて確認したりすることができます。そのため、設計の意図を細部にわたってより正確に把握でき、製造品質も向上します。このように、Solid Edgeには非常に満足しています。頻繁にバージョンアップされており、新たな機能を使うたびに新鮮な感覚を得られているため、今後のさらなる進化に期待しています」と同製品の魅力について語ってくれた。

(マイナビニュース広告企画:提供 シーメンス)