BTO-PCメーカーの老舗「サイコム」が2015年にスタートさせた新ブランド「Premium-Line」。高い品質と優れたデザインで人気の高い北欧のメーカー「Fractal Design」ケースやNoctua製静音クーラーといった高品質パーツを使用するとともに、標準で2年の長期保証や無償のオーバーホールなどの対応を受けられるその名の通りプレミアムな製品作りが魅力だ。そんなPremium-Lineに、コンパクトな新モデル「H170FD-MINI」が登場した。今回は、フルサイズに匹敵する性能とうたわれる「H170FD-MINI」の特徴について探っていこう。

「Premium-Line」のコンパクトモデル「H170FD-MINI」。MINI-ITXをベースとしながらも、静音性、冷却性能を重視した高い性能を実現している

サイコムの特徴を凝縮した「Premium-Line」

サイコムのBTO-PCは、BTOメニューのカスタマイズ性の高さ、メーカーや型番がわかる使用パーツ、他者の追随を許さない美しい配線などで、古くからの自作PCユーザーから高い支持を受けている。また、徹底した動作検証とユーザーサポートで、初心者の満足度も高い。このようなサイコムの特徴を凝縮したブランドが、Premium-Lineだ。

優れた製品を長く使用してほしいという想いから、サイコムが2015年にスタートさせた新ブランド「Premium-Line」。6月現在「X99FD」「Z170FD」、そして今回紹介する「H170FD-MINI」の3製品がラインナップされている

Premium-Lineは「誰もが長く使い続けられる」をテーマに、これまでのBTO-PCにない3つのアプローチを行っている。1つ目は、品質の高いパーツを積極的に採用していること。デザインとクオリティを両立したスウェーデンの「Fractal Design」や、クーリング分野で高い技術力を誇るオーストリアの「Noctua」などの選び抜かれたパーツを使用している。

保証書やドライバCD、製品マニュアルや組み立てマニュアルは、Premium-Line専用のバインダにまとめられている

バインダ内には、「Fractal Design」のCEOやサイコムの社長のサイン入りの品質保証書が同封されている。クオリティに対する、サイコムの自信の表れといっていいだろう

2つ目は、アフターサポートの充実だ。Premium-Lineに属する製品は標準で2年もの保証が付属し、オーバーホールは初回無償で受けることができる。この保証期間は、定価+2%で3年間へアップグレードすることも可能だ。保障期間を延長する場合、通常モデルでは定価+5%に設定されているため、Premium-Lineではお得に追加できる。さらに、内部パーツを最新モデルなどに交換する場合に、下取りなどの購入サポートや取り付けサービスも受けることができるため、初心者でも長期間にわたり安心して同じPCを使い続けることができる。

静音にこだわったMINI-ITXケース「Define Nano S」

本機に使用されているケースは、Fractal Designの「Define Nano S」だ。世界的にヒットし、現在の静音型PCケースブームを作ったといっても過言ではない、同社のミドルタワーケース「Define R5」。MINI-ITXサイズに小型化し、容積を50%減らすことに成功している。標準ケースはホワイトが採用されているが、BTOカスタマイズでブラックを選択することも可能だ。

Fractal Designの「Define Nano S」をケースに採用。ホワイトモデルのほか、ブラックモデルも選択が可能だ

ケース背面の様子。MINI-ITX規格に準拠しているため、拡張カードスロットは2つ。試用機ではグラフィックスカードですでに埋まっている

フロントパネルは一見すると「Define R5」のようなドアを搭載しているように見えるが、開閉には対応していない。5インチベイも設けられておらず、光学ドライブなどを搭載できるスペースもない。光学ドライブの使用頻度が下がった昨今、この5インチベイをなくすスタイルは増加傾向にあり、そのぶんエアフローを向上させることができる。フロントパネル内部には防音材と防塵フィルターを備えており、しっかりと騒音とほこりを抑えてくれるだろう。フロントインターフェースはフロント上部に用意されており、中央に大きな電源スイッチ、左側にリセットボタン、マイク入力、ヘッドフォン出力、右側にUSB 3.0端子を搭載する。

フロントインターフェースはケース上部に配置。左から、ヘッドフォン出力、マイク入力、リセットボタン、電源スイッチ、USB 3.0×2を搭載する

リアI/OパネルにはPS/2ポート、USB 2.0×2、USB 3.0×2、無線用アンテナ端子、ライン入力、ライン出力、マイク入力を搭載。CPU内蔵グラフィックス出力用のDVIーDとHDMIも確認できるが、別途グラフィックスカードを搭載している本機では使用されないため、カバーが取り付けられている。グラフィックスカードの出力は、DVI-I、HDMI、Displayport×3の5系統を備え、マルチディスプレイ環境にも柔軟に対応できる。

リアインターフェースは、PS/2ポート、USB 2.0×2、USB 3.0×2、無線用アンテナ端子、3つのオーディオ端子となる。マザーボードのDVI-DとHDMIは使用されず、グラフィックスカードからの出力となる

試用機の左右のサイドパネルは静音性を重視したスチール製。内側には防音材が貼付されており、たたいても"コツコツ"と鈍い音がするだけで、ほとんど音が響かない。PC内部の騒音をしっかりと抑えてくれそうだ。

防音材が貼り付けられたサイドパネル。スチールの一枚板で構成されているため、パネルを取り付けた状態では内部の様子は見えない。しっかりとした重量があり、共振の心配はなさそうだ