富士ゼロックスマニュファクチュアリング 鈴鹿事業所 事業所長 古川雅晴氏(左)需要管理部情報プロセス改革グループ 鈴鹿情報プロセス改革チーム チーム長MONOZUKURIコラボ事務局長 田中俊毅氏(右)

業務用の大型印刷機からオフィス向けの複合機まで、多種多様なドキュメントソリューションを展開する富士ゼロックス。その各種製品の組み立て、およびトナーなどの消耗品を製造する国内唯一の企業が、富士ゼロックスマニュファクチュアリングである。

富士ゼロックスマニュファクチュアリングの三重県鈴鹿事業所では、主に複写機やプリンターの基幹部品、環境に配慮した資源循環型(リサイクル)商品の提供を行っている。そんな同事業所では、兼ねてより一つの大きな課題を抱えていた。それは製造現場で発生する膨大な紙の作業日報の管理と、それらをデータとして入力する際にかかる時間の削減である。同社は、多くの製造業が抱えているであろうこの課題をどう解決したのか。

i-Reporterの導入を推進した当時の部門リーダーである森氏(右)と、現部門リーダーでありi-Reporterを活用する山尾氏(左)。同事業部でi-Reporter導入することになったきっかけは、ロッカールームで偶然出会った田中氏に、森氏が相談したことがきっかけだという

今回、同社鈴鹿事業所 事業所長 古川雅晴氏と需要管理部情報プロセス改革グループ 田中俊毅氏、および現場のライン責任者の方々に話を伺い、課題解決に向けて同事業所が取り組んだ書類の電子化について紹介する。

「データ入力する」だけの時間を“ゼロ”に

かつての現場では、作業工程を管理するために、各作業スタッフが紙に記した日報を担当者が回収し、事務所の端末で「Excelへのデータ入力」を行っていた。だが、このデータ入力により、貴重な作業時間が削られるという大きな問題が発生していた。

「現在の東海地区において製造業は大変な人手不足です。鈴鹿事業所でも必要な人数が十分に集まらない状態が続いています。そのため、貴重な人材の作業時間を、必要ではあるが、それ自体には生産性のない日報回収とデータ入力に費やすことなく、効率的に仕事に取り組んでもらいたいと考えていました。」(田中氏)

当時の現場では、それぞれのラインリーダーが毎日一時間以上をかけて、前日の生産実績を入力していたとのことだ。時間もかかる上に、転記作業は入力ミスも伴う。「これをできる限りゼロに近づけたい」それが田中氏と、現場を管理するラインリーダーが抱いていた共通の願いだった。