BIOSだけでも緻密なファンコントロールが可能に
第2世代Intel Coreプロセッサ登場以降、各マザーボードメーカーはグラフィカルなインターフェースを備えたUEFIベースのBIOSに乗り換えた。
これらのBIOSのメリットは、単に"画面がキレイ"だとか"マウスで操作できる"とか、"画面の情報量が多い"といったものなど、実際に表示される内容は文字ベースのBIOSと大差ないものが多かった。ところが、ASUSK製9シリーズマザーボードで実装されたBIOSは、これまで以上に強力なものになっている。Z97-PROと、その1世代前のZ87-PROのBIOSのトップメニュー(EZ Mode)を比較してみだけでも、画面構成が全体にスッキリして各種情報が見やすくなったほか、画面の切り替えもちょっとしたトランジション効果が入り、よりリッチな感じになった(この効果はAdvanced Mode内のメニューでいつでもオフにできる)。
![]() |
![]() |
Z97-PROのEZ Mode(左)は、Z87-PRO(右)よりも情報が見やすく整理されている。最下段のファンのアイコンは、ファンが接続されているものだけクルクルと回転するので、どのファンが動いているのか一目瞭然だ |
Z97-PROのBIOSで最も目を引くのが、ファンの回転数制御機能「Q-Fan」の強化だ。従来は自動設定と静音・冷却重視程度の大ざっぱな設定しかできなかったが、新BIOSではWindows用のファン制御アプリ「Fan Xpert」の機能をBIOSに実装した。
これにより、温度と回転数の関係をグラフィカルなUIで細かく設定できるようになった。マザー付属のアプリは入れたくない人はもちろん、Windows以外のOSを動かしたい人でも効率のよい静音化・冷却力向上が期待できるのだ。
後述する「Fan Xpert 3」ほどではないが、Z97-PROのBIOSにもファンの最低回転数を実測値から求める機能が搭載されている。これらをうまく組み合わせて使いたい。
![]() |
![]() |
回転数の設定を変えたい時には、グラフの頂点部分をマウスで移動。これがBIOS設定画面内で完結する |
「QFan Tuning」というテストを実行すると、接続されたファンに最適な最低・最高回転数がBIOSにセットされる |
単にグラフィカルなUIを使ったファンコントロールであれば他メーカーでも採用実績があるので特に驚くには値しないが、
ASUSのBIOSがすごいのは、CPU以外の温度センサの温度情報をトリガーにファンの回転数制御が可能な点だ。Z97-PROの場合、VRMとチップセット、基板上の温度センサ、さらに基板上の「SENSOR1」ヘッダピンに接続したサーミスタの温度情報とリンクさせることが可能だ(温度センサの数はマザーのシリーズやグレードによって異なる)。このヘッダピンに使えるサーミスタは同梱されていないのが残念だが、HDDやグラフィックボードの温度とケースファンの回転数を連動させることも可能になる。
ここまで重装備なら、製品に同梱されたツール「Fan Xpert 3」はもう不要では……と考えてしまうが、実はWindows上で動作する「Fan Xpert 3」のファン回転数制御はBIOSよりさらに細かい。
マザーに接続されたファンの特性をチェックし、制御可能なギリギリの低回転域を使えるほか、CPUクーラーのファンに関しては"Extra Quietモード"が利用できる。このモードでは通常はPWM制御だが、超回転域では自動的にDC制御に切り替えることで、ファンを止めることなく静音化できるのだ。また、BIOSと同様に"Chassis Fan"コネクタに接続されたファンの回転数をCPU以外の温度情報に関連付けることも可能。Fan Xpert3はBIOSの完全上位互換機能なのだ。