番町に本社を構えるアイティーシー

最新パーツをいち早くそろえ、注文時に選べるパーツも非常に幅広いことで知られるBTOメーカー「ストーム」。工場のライン制御などに使われるFAや組み込み向けなど、通常のBTOメーカーでは対応できない特殊な仕様のPCやサーバーまで納品が可能と、法人が求める細かなニーズにも応えられるのが大きな特徴となっている。なぜ、そこまで素早く最新パーツを導入したり、法人の多種多様なニーズに対応できるのか。その秘密は、メモリを中心とした工業製品の商社であり、ストームの運営会社でもある「アイティーシー」にあった。

メモリ中心の商社らしく入り口にはウェハが飾られている 受け付けにはパソコン寄贈による感謝状も

今回は商社がBTOメーカーを運営するメリットをアイティーシーの代表取締役である池田 正氏とストームの担当である下村 雅紀氏のインタビューを交えてお届けする。それは「PC」に関わる人間であれば、誰もが驚く興味深い内容となった。法人、個人を問わず、高品質を必要とする機能や、スペックにマッチするPCを求めているなら、ぜひともチェックしてほしい。読んで損はないと自信を持ってオススメできる。

アイティーシー代表取締役の池田 正氏 アイティーシー インターネット事業部 下村 雅紀氏

アイティーシーは1998年にメモリチップとモジュールの販売を中心とした商社として創業。池田氏が勤めていた亜土電子工業時代に築いた仕入れのネットワークを活かし、現在ではメモリ、SSD、CPU、HDDといったPCパーツ全般の卸売り、工業用のマザーボード、カスタム電源、インバーターの販売、オリジナルモジュールの製造、開発などを手がけている。そのほか、A-DATAやCrucialなど、自作ユーザーに人気のあるメーカーの国内正規代理店でもある。ストームとは古くから取引があり、2005年6月に買収。これにより、サーバーやパチンコのホールを制御するコンピューターなども自社で製造が可能になったという。アイティーシーとストームが一緒になることで得られた最大のメリットは“仕入れ”にあるとのこと。アイティーシーでは、海外で仕入れを行っており、最先端や高品質なパーツが出た瞬間に入荷できるという。

池田氏「アメリカ、香港、台湾など世界中から1日1便は入っている状態です。

と語る。それを裏付けるエピソードが、人気のクアッドコアCPU「Core i7-2600K」の発売時。ワールドワイドで品不足になるなか、日本で大量の仕入れを実現し、大手のパーツショップから多くの問い合わせを受けたという。この強力な仕入れによって、完成したPCだけではなく、パーツだけなど、顧客ニーズに合わせて細かな対応が可能になっている。

池田氏「官公庁などにもPCを導入していますし、FAのお客様も多いです。FAになると工業用マザーボードが必要になったり、電源、きょう体、LANの数まで仕様が細かく指定されることがありますが、世界中にパーツの仕入れネットワークを持つ弊社ならすべてに対応が可能です。また、エンベデッドのウィンドウズを使った組み込みシステムの需要が増えていますが、お客様が用意したエンベデッドに合わせてハードを作り、OSのインストール、動作のテストまで行える体制も整えています。最近では大手の家電量販店のオリジナルPCの開発にも関わっています。

と、商社であるアイティーシーとPCをはじめとするシステムの製造に長けたストームが一緒になるメリットが随所に感じられる。さらに、ストーム担当の下村氏も

下村氏「FAやサーバー、組み込み系への対応力には自信があります。先進性のある最新パーツを、登場後すぐに販売できる体制になっています。最新パーツを求める法人のニーズに対して、一般のPCショップで扱えない特殊な部品を指定されたり、他社で実現できなかった仕様も、ストームだと対応できます。

と相乗効果を語っている。

これによって、ゲームやパチンコの開発メーカーからも引き合いが強いという。PCの速度が開発効率に直結するため、最新のビデオカードの発売と同時に注文が入るとのこと。さらに仕入れの強さは、リピーターという形にも表れている。

池田氏「FAは仕様を固めると仕様変更による検証が大掛かりとなることから、導入後簡単に仕様を変更するものではありません。そのためリピート率も高まります。同じ仕様のシステムがほしいと。特殊な部品を使っていても、同じものをその後も安定して提供できるのが弊社の強みですね。もし、部品がなくなったとしても、こう変えましょうと弊社の営業が提案してサポートさせていただきます。これも数多くのパーツの代理店をやっているからこそ可能な強みですね。