BTOオーダーで購入できるデスクトップPCの最大の魅力は、最新のハイエンドパーツをいち早く利用できる点にあるといえるだろう。登場したばかりの高性能パーツには、発熱や電源容量、ドライバのバージョンといった点で若干の不安を感じることもあるが、専門メーカーの十分な検証を経て販売される製品なら、そのような心配はまったくない。しかもBTOマシンの多くには、将来のパワーアップに備えた拡張性や、さまざまな工夫が盛り込まれている。

そのような性能、信頼性、使いやすさを持つハイエンドマシンを、リーズナブルな価格で手に入れられるとすれば、これは魅力以外の何物でもないだろう。今回ご紹介するマウスコンピューターの「MDV-ASG8000X」は、パワーユーザーのニーズに応える性能と、コストパフォーマンスの良さが売りのBTOデスクトップPCだ。早速その実機に触れてみよう。

MDV-ASG8000X。12万円台とリーズナブルで、コストパフォーマンスに優れたハイスペックPC

最強グラフィックカードを文字通り「支える」オリジナルケース

「MDV-ASG8000X」のスペックシートには、Sandy Bridgeアーキテクチャの「Core i7-2600」や、NVIDIAの最新ビデオカード「GeForce GTX 580」といったハイエンドパーツの名が躍っている。それらを見ているだけでもワクワクするが、まずはそれらを納めるケースに注目してみよう。

サイドパネルを開けるため本体の横に回ると、グラフィックカードなどが装着される場所付近にたくさんのエアホールが開けられていることがわかる。また、フロントマスクの側面にもスリットがあり、これらの部分から冷却のための空気がケース内に取り込まれる。パワーユーザー諸氏には釈迦に説法だが、冷却効率を高めるためにはただ開口部を多くすればいいのではなく、ケース内に適切な空気の流れを作ることが重要だ。その点で、グラフィックカードとHDDという熱源に直接外気を触れさせられるこれらの機構は有利。むやみにファンの回転数を上げずに済むので、低負荷時には耳障りな騒音がほとんどない。

冷却効率アップが期待できるエアホール

そして、サイドパネルを開けてまず目に入ってくるのが、ケース中央付近でまっすぐに立つ「VGAサポートバー」だ。GeForce GTX 580のようなハイエンドグラフィックカードは大型化が進んでおり、全長はマザーボードの前後方向の長さよりも大きく、大型のヒートシンクや冷却ファンを搭載するため、厚みは2スロット分が当たり前になっている。これだけの大型カードを拡張スロットと背面ブラケットだけで支えると、スロットに無理な力がかかりかねない。VGAサポートバーは、拡張スロットの反対側でグラフィックカードの重さを支えて、スロットにかかる力を軽減。これによってスロットの破損や接触不良といった不安を解消している。将来さらなる重量級のカードが登場してきても安心だ。

サイドパネルを開けたところ。中央に見えるのが「VGAサポートバー」だ
搭載されているハイエンドグラフィックカード「NVIDIA GeForce GTX 580」 グラフィックカードをここで支える。カードの装着時などはサポートバー自体を簡単に取り外せる

また、電源ユニットの出力は合計最大850Wと極めて大きな容量を確保。12Vラインは22A×2系統、26A×2系統の計4系統で、CPUやグラフィックカードが大きな電力を要求した場合の安定性にもまったく不安はない。また、変換効率の高さを示す「80PLUS」の認証を受けており、80PLUSスタンダードよりもさらにワンランク上の「80PLUS BRONZE」を満たす電源となっている。変換効率が高い電源なら、熱としてムダになってしまう電力を少なく抑えられるため、電気代の節約になるだけでなく、結果として静音性の向上やパーツの経年劣化の低減といった効果が期待できる。

80PLUS BRONZE対応の極めて大きな容量の850W電源

本モデルは値ごろ感の高いPCだが、スペックシート上であまり目立たない部分も含め、隅々まで決して手を抜いていない本格派の製品であることがわかる。

また、フロントパネルは虚飾を廃したシンプルなデザインだ。そんな中にも、電源ボタンやUSBポートなどが集まるフロントインタフェース部はヘアライン仕上げのアルミパネルとなっており、落ち着きの中に上質さを感じさせる。今回の試用機ではブラックのパネルが装着されていたが、購入時にシルバー、レッド、ブルーのパネルを選択することもでき、好みのカラーでワンポイントを演出できる。

フロントインタフェース部はブラックのパネルのほかにも3色を選択可能 静音かつ冷却効率の高い大口径12cmファンを装備