タイムリープやDance×Mixerなど魅力的な3Dタイトルを数多く手がけるゲームメーカー「フロントウイング」の3D制作チーム「ポリゴン村」に直撃インタビュー! PCパーツショップの老舗「TSUKUMO」が展開するPCブランド「eX.computer」を長年愛用している同チームが、最新モデルを導入したという。ハイエンドなスペックが開発にもたらすメリット、そしてゲームの開発チームがPCに何を求めるのか、お話を伺った。

3Dを駆使した可愛いキャラや動きに定評のあるフロントウイングの3D制作チーム「ポリゴン村」

マイコミジャーナル(以下マ):さっそくですが、ポリゴン村はどのような業務を担当しているのでしょうか。

フロントウィングの3D制作チーム「ポリゴン村」(以下ポリゴン村):主に3D関連のオブジェクトやアニメーションの制作を担当していますが、タイムリープなど3Dグラフィックをメインにした自社タイトルについては、企画段階から関わっています。2Dメインのタイトルについては、オープニングなどのムービー部分に3Dのオブジェクトやエフェクトが入る場合、その制作を担当しています。例えば、爆発のシーンをもっと派手にしたい、炎が燃えているシーンにパーティクル(火や煙など不規則な形状をリアルに表現するための技法)を加えたいといった、2Dタイトルの開発チームからの要望に応える形ですね。

このほか、外部の作業を請け負うこともあります。3Dを使用したアニメのオープニングやエンディングを動画という形で納品するのをはじめ、ゲームのキャラクターだけを制作して、データとして納品するケースもあります。他社が作るゲームの3Dキャラクターとその動きの部分だけの制作を請け負うという感じですね。最近では、半分ほどが外部からの作業となっています。ちなみに、チームは基本5名で、外部のスタッフが入ることもあります。

ポリゴン村という名前をロゴを決めるのにも紆余曲折があったという

マ:3Dのクオリティはこの数年で驚くほどの進化を遂げていますが、制作現場として苦労はあるのでしょうか。

ポリゴン村:時代と共に、求められるクオリティはドンドン上がっています。しかし、ポリゴン村の場合は、求められているからクオリティを上げているというよりは、チーム内での技術の積み重ねによって、スタッフ同士の見る目が厳しくなり、その結果、クオリティがアップしているという面が大きいですね。

マ:技術的な向上に合わせて、ハードウェアもよりハイスペックが求められているのではないのでしょうか。

ポリゴン村:それはあります。昔のゲームでは3Dをリアルタイムに動かす場合、せいぜい数百ポリゴンだったのが、いまでは数万ポリゴンぐらい当たり前になっているので、制作に時間もかかるようになっていますね。さらに、動画とかアニメではワンシーンで百万ポリゴンを超えることもあり、チームはハイスペックなマシンに飢えています。現在はCPUにCore 2 DuoやCore 2 Quadを搭載するマシンがメインで、OSは32ビット版がほとんどという状況。百万ポリゴン級のシーンを作るとメモリが足りないためかテクスチャーが貼れないという事態が起きることがあります。そのため、作品の最終データを出力するためのレンダリング用には、高性能なマシンを確保しているのですが、そのマシンは引っ張りだこですね。

マ:今回導入されたeX.computerの「QA7J-D32/S2」はCore i7-970を搭載するハイエンドマシンです。チーム内で人気になっているのでは?

ポリゴン村:取り合いになってますね(笑) いま誰か使ってる? 次は使って大丈夫? といった事態が発生しています。実際、1万ポリゴンぐらいの製作物ならCore 2 Duoのマシンでも平気なんですが、50万ポリゴンになるとかなり厳しい。ゲームの場合は、いろいろとデータを軽くする方法はあるんですが、ハイビジョン動画になるとハイエンドな環境じゃないとクオリティを高くするのが大変ですね。

ポリゴン村が今回導入したのはクリエイター向けとなるNVIDIA Quadro搭載モデルでも最上位となる「QA7J-D32/S2」をベースに、Quadro 4000を採用するなど、さらにハイスペックにカスタマイズしたものという

マ:具体的に、どういった作業が大変になるのでしょうか。

ポリゴン村:現在、3Dゲームの制作には「Softimage XSI」のバージョン6.02/6.5というソフトを使用し、動画の編集には「After Effects」のバージョンCS2/CS4のほか、試験的にCS5を試験的に導入しています。どちらのソフトも、マシンのスペックが低いと作品の仕上がりを確認するレンダリングに時間がかかるというのがありますが、制作上、影響が大きいのは「After Effects」です。メモリが少ないと、作った映像の動きを確認するプレビューがほんの数秒しか再生できないため、作業効率が非常に悪いからです。その点、ハイスペックなマシンなら、長時間のプレビューが可能になるため、仕上がりの確認作業がグッとラクになります。

PS3の「アガレスト戦記2」(販売:コンパイルハート)では、ダンスシーンのモデリングやモーションを担当。Softimage XSIで制作されているのがわかる