DXの課題を解決し、取り組みを加速させるカギを読み解く

デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた国内企業の取り組みが加速している。2020年12月には「DXレポート2」の中間取りまとめが公表され、企業が直ちに取るべきアクションや短期・中長期で取り組むべき施策の例も示された。具体的には、DX戦略の策定やDX推進状況の把握、デジタルプラットフォームの形成、DX人材の確保などだ。

コロナ禍においてデジタル技術を活用するメリットが明確になったこともあり、「DXレポート2」で述べられているような「素早く変革し続ける能力を身に付ける」ことや「ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革する」ことの重要性を現場の担当者から経営層までが広く認識するようになっている。そうした状況で、多くの企業がDX戦略の策定からデジタルプラットフォームの形成などに積極的に取り組み始めている状況だ。

しかしながらDXを実現しようとしても、各社さまざまな課題を感じているのが現状だ。実際にプロジェクトが思うように進まず、悩みを抱えている企業も珍しくない。そうした課題を乗り越え、DXを成功させた企業には、実は共通した特徴がある。

「DX成功企業」は具体的にどのようにして課題を乗り越え、どのような取り組みを実践しているのか。また、デジタルプラットフォームを形成するうえで何が課題になり、どのようなポイントを押さえるべきなのか。そうした問いに対する1つの答えを提供しているのが、データを軸に国内外のDXの取り組みを支援しているネットアップだ。

ネットアップの日本法人を指揮する中島シハブ・ドゥグラ氏は、2020年2月に行われた「NetApp INSIGHT Japan」において、成功企業の要件をこう解説している。

「今は、デジタルを活用する時代から、デジタルが前提の時代へと変化しています。そうした中では、データを活用し、全社を上げて変革していくことが重要です。変革に成功している企業は、明確なビジョンをもったリーダーシップに牽引されています」(中島氏)

しかしデジタル前提の時代における課題も見えてきた。それがデータのサイロ化だという。

「デジタル化の中で陥りやすいのがデータのサイロ化です。部署ごと、チームごとにデータ活用を進めると、横の連携が難しくなり、サイロ化してしまうのです。クラウドの活用が進むことで、データが各所に散在することになってしまいがちです。変革に前向きな企業ほどクラウドの活用に積極的ですが、これが裏目に出てしまっているケースもあり、対策が急務です」(中島氏)

こうした課題をふまえ、ここからは実際にDXを成功させている企業の例を見ていこう。